AWC トゥウィンズ・2 四章 ( 2/ 4) (25/43)  あるてみす


        
#1238/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE     )  88/11/ 9  20:32  ( 99)
トゥウィンズ・2 四章 ( 2/ 4) (25/43)  あるてみす
★内容
 でも今はミコちゃんのことが心配で、つい沈み込んでしまう。
 相変わらず美味しい朝食を済ませたあと、吉野さんにミコちゃんの状態を
聞いたら、少しくらいなら話をしても大丈夫だと言われたので、また皆でミ
コちゃんの部屋に押しかけた。
「本当にごめんなさいね。」
 そう言って、本当にすまなそうな表情をするミコちゃんの顔色は、まだ良
くない。
「なあ、お嬢さん、本当に大丈夫なのか? 顔色、良くないぜ。」
「ええ、今日はもうだいぶ気分もいいし、あと明日一日寝てれば、なんとか
なりますよ。だから皆さんも、そんなに心配しないで、テニスでもしてて下
さい。」
「もしよかったらさ、俺、ずっと付いててやるよ。」
 健司がそう言ったとき、ミコちゃんはさすがに嬉しそうな表情になった。
 吉野さんも、健司一人くらいなら、ずっと付いててもミコちゃんの負担に
はならないだろうからって言って許してくれた。
 でも、他の七人まで一緒にいるわけにはいかず、かと言って今更テニスを
する気にもなれない。
 で、一美は康司と一緒に二人きりでのデートとなった。これだけ広い敷地
だと、他に人間がいてもまず出会う確率は少ないから誰にも邪魔されずにデ
ートができるって寸法だ。
 由香ちゃんは、茂と真琴と一緒に散歩している。最初、茂が、一緒に散歩
でもしようぜって言って僕を迎えにきたんだけど、そんな気になれなかった
僕は、つまらなそうにしてた由香ちゃんに声をかけて、その役をゆずること
にしたら、なぜか真琴も一緒だったってわけ。
 麻里ちゃんは麻里ちゃんで、健司が一緒じゃないからつまらないって言っ
て、散歩もせずに部屋に閉じ込もっていたんだけど、しばらくしたら僕の部
屋に来た。
「ねえ、博美。健司くんと美子さんて、お互いのこと好きなのかしら?」
「さあ、判らないな。」
 ミコちゃんが健司を好きなのは知ってるけど、健司がミコちゃんを好きに
なってるかどうかは判らないもんね。
「そう。博美も判らないか。あたしもね、この前からずっと見てたんだけど
さ、美子さんのこと好きなのかなっていう態度を取ったかと思うと、そうじ
ゃなくて実は博美の方が気になってるんだっていうような態度を取ったりし
てるのよね。」
 そして、ため息をついて、
「ねえ、博美は健司くんのこと好きなの?」
「へ? 何でさ。」
「だって、すごく親し気でさ、あたしでなくたって、勘ぐりたくなっちゃう
じゃない。」
「親し気ったって、別に変な関係じゃないよ。中学んときから同じクラスで
さ、それに一美と康司があの通りだろ? 互いに双子だから、なんとなく一
緒にいる機会が多くてね。」
「ふーん、でも、健司くんはそう思ってないんじゃない?」
「そんなことないと思うよ。」
「だったらさ、あたし、健司くんに告白するわよ。」
 僕は一瞬、どう答えていいか判らなかった。だって、折角ミコちゃんと仲
良くさせたいなって思って、由香ちゃんと一緒に策を練ってるってのに、そ
れ、ぶち壊されたくなかったから。
 でも、変にミコちゃんとのことを邪魔されたくなかったから、こう答える
しかなかった。
「いいよ。でも協力はできないからね。」
 そしたら、
「でも邪魔はしないでよね。」
「うん。」
 それ以後は互いに話しかけることもなく、しばし沈黙の時が訪れる。と、
ドアをノックする音がして、
「博美、いるか?」
 という健司の声。
「なに?」
 ドアが開き、健司が顔をのぞかせる。そして、
「あ、麻里ちゃんもいたのか。なあ、ちょっと散歩にでも出ないか?」
「ミコちゃんは?」
「今、眠ってる。さっきさ、あたくしが眠ったら退屈でしょうから、そのと
きは博美と一緒に散歩でもしてきてって言われたんだ。それに吉野さんもつ
いててくれるって言うから。」
「でも、それじゃミコちゃんが目覚めたときが可哀想じゃないか。」
「ま、いいから、いいから。」
 有無を言わさずに連れ出される。麻里ちゃんも一緒に。そして、白樺の林
の中を散歩する。
「うーん、今日も暑いなあ。」
 健司が額を手で拭う。あまり暑いので、緑豊かな雑木林の中に入ることに
した。
 雑木林へと続く小道を歩きながら、いきなり麻里ちゃんが健司の腕にじゃ
れつく。
 健司は戸惑いながら、麻里ちゃんが腕にしがみつこうとしてるのを見て腕
を貸してやると、麻里ちゃんは、嬉しそうに健司と腕を組んで歩き始める。
と、健司が僕の方に向き直って、
「なあ、博美。お前、俺とお嬢さんを結びつけようとしてただろ。それも由
香と一緒になってさ。」
「あ、やっぱり知ってた?」
「当然だろうが。それでさ、さっき、お嬢さんに、もうそんなことしなくて
いいからってこと伝えてくれって言われたんだ。」
「えー? なんで?」
「実はさ、この前の海の家で、俺、好きな人がいるってこと言ったんだよ。
そしたら、お嬢さんは、それが誰なのかまで知ってたんだ。で、お嬢さんと
しては俺なんかよりその娘との友情の方が大事なんだとさ。」
 その言葉に、なぜか少しショックを受け、少し胸の奥が痛む。
「へ、へえ。健司、好きな人いたんだ。」
 戸惑いながら答えると、麻里ちゃんが、
「なんだ、博美。あたしに協力できないっていうの、美子さんに協力してた
からかあ。」
 と割り込んできた。一瞬、どう答えていいか判らず、曖昧に返事してしま
う。
「う、うん……。」
「じゃあ、美子さんがパスした今となっては、あたしが告白しても問題ない
ってことね。健司くんが誰を好きなのかは知らないけど。」

−−− まだあるよ −−−




前のメッセージ 次のメッセージ 
「CFM「空中分解」」一覧 あるてみすの作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE