AWC トゥウィンズ・2 三章 ( 4/ 6) (21/43)  あるてみす


        
#1234/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE     )  88/11/ 6  11:48  (100)
トゥウィンズ・2 三章 ( 4/ 6) (21/43)  あるてみす
★内容

 次の日、吉野さんが買物に行くというので、僕達も付いていった。表向き
は、普段、縁がない軽井沢の町並みを見たいということだけど、実はちゃん
と裏の理由もある。
 男どもは皆、気付かなかったようだけど、実はこれ、僕達の計画なんだ。
 なにしろ今日は七月三十日。健司と康司の誕生日なわけ。で、それを知っ
てる女の子五人で吉野さんに話をしたら、夕食のときにささやかながら二人
の誕生日のパーティーをすることになった。
 で、吉野さんは、その準備でケーキの材料とか蝋燭とかを買う必要ができ
たから街へ買物に来たというわけだし、僕達も、それなりに、何か買おうと
思ったわけ。

 タクシーを呼んで、僕達も一緒に街に出る。吉野さんは、すぐに買物を済
ませて、そのまま別荘に戻ると言ってたけど、僕達はしばらく旧軽銀座あた
りを回ってみることにした。
 さすがに避暑地のメッカ、軽井沢だけあって、結構混んでいる。
 最近は清里などの方が人気が出てきてるから、僕達くらいの年代の連中は
皆そっちに行ってしまって、軽井沢は空いてるかなと思ったんだけど、ちょ
っと考えが甘かったようで、明らかに僕達と同じ位の年のやつなんかもたく
さん歩いていたりする。
 いろんな店のウィンドウを眺めながら、あっちこっちを見て回っていたら、
由香ちゃんが、
「あ、これ可愛い。」
 と言って、とある店の前のウィンドウをのぞき込んだ。
 見ると、いかにも由香ちゃんや一美が好きそうな可愛らしい服が飾ってあ
った。
「由香。中に入って、少し見てみる?」
 ミコちゃんの言葉で、由香ちゃんを先頭にして五人で中に入った。
 そして、「ねえ、これなんかいいんじゃない?」とか「わあ、これもいい。」
などとはしゃぎながら、いくつか服を選んでいる。そっと後ろからのぞき込
むと、確かに由香ちゃんや一美の好きそうな服ばかり置いてあった。
 確かに彼女達が着たら可愛いだろうなとは思うけど、とても自分で着たい
とは思わない。
 かといって、こういった店に地味な服が置いてあるはずもなく、僕は一人
退屈していた。
「じゃあ、これ、買っちゃうわね。」
「ねえ、ほんとにいいの?」
「いいの。あたくしに任せなさいって。」
 しばらくボケッとして、あちこち眺めていたら、なにやら不可解な台詞が
耳に飛び込んできた。
「なに? どうしたの?」
「あ、博美も好きなの選びなさいよ。ミコが皆に一着づつ買ってくれるって。」
「へ? いいよ。悪いもん。」
「いいから、好きなの選んでよ。クレジットカードがあるから、お金の心配
は無用よ。」
「だけどさ……。」
「今日、健司くんと康司くんの誕生日でしょ? パーティのとき、皆で着飾
ってお祝いしようってことになってるの。だから博美もどれか好きなの選ん
でよ。」
「好きな服っていってもねえ……。」
 しばらくいろいろと見てみたんだけど、この店に僕の好みの服などあるわ
けがない。派手なのは苦手だし、女の子っぽいのも駄目だからね。
 しばらく考え込んでたら、試着を終えて買う服の決まった一美が、
「博美、どうしても決定できないようだったらさ。あたしが選んでもいい?
博美にとっても似合いそうなのがあるんだけど。」
「あ、さっきのあれ?」
「そう。あれなら博美にもぴったりでしょ?」
「そうよね。さんざん迷ってたもんね。博美が買えば一美も着られるってわ
けか。」
 突然、由香ちゃんと麻里ちゃんが話しに加わってきて、一美と三人で話し
始める。
「じゃあ、もう博美の意見なんて無視。あれにしちゃおう。」
「そうね。多数決で決定。」
「じゃ、ちょっとサイズを合わせてくるね。」
 一美が再び試着に行く。しばらくして、
「サイズもぴったり。これで決まりね。」
「これで全部? じゃあ、買ってくるわね。」
 なんかワケが判らんうちに、僕抜きで何やら決定され、全部で五着の服を
包んでもらって、ミコちゃんが一人、会計のところに行ってサインをした。
「それじゃあ、お願いしますね。」
「はい、それじゃ、後ほどお届けに上がります。ありがとうございました。」
「さ、行きましょ。」
 ミコちゃんが手ぶらのまま、外に出る。
「行きましょうって、買ったのはどうしたの?」
 当然の疑問を一美が投げかける。
「後で届けてもらえるようにしたの。その方がいいでしょ?」
 そのあと、アクセサリーや小物類を見つけては、「あれがいい。」だの
「これが可愛い。」だのと言って、あっちこっちの店を見て回っていた。
 その間、健司達四人は、かなり退屈してただろうと思う。ま、康司は一美
に似合いそうなものを選んでやったりしてたからいいけど、あとの三人は、
本当に何もやることなかったから。
「なあ、俺達さ、そこの喫茶店にいるから、終わったら来いよ。一休みしよ
うぜ。」
 業をにやした健司達は、そう言って、近くの喫茶店に入ってしまった。
「僕も、あそこに行ってるからね。」
 健司達同様、僕も退屈気味だったので、そう言って健司達の後を追った。
 その後、一美達は楽しげにアクセサリー類を見ていたようだ。

「えー? こんなんだったの?」
 一美が選んだという服を目の前に出されて、僕は一瞬絶句したあと、思わ
ず叫んでしまった。
「ちょっと、彼らには秘密なんだから、少し静かにしてよ。」
「だけどさ、これはちょっとひどいんじゃないの?」
 少しトーンを落として文句を言う。
「何がひどいのよ。博美だって店で見てたでしょう。」
「そりゃ、少しは見たけどさ。ちゃんとは見てないもん。まさか、こんなに
すごいもんだとは思わなかったよ。」
「どこがすごいのよ。すごく可愛いじゃないの。」

−−− まだあるよ −−−




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