#1235/1850 CFM「空中分解」
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トゥウィンズ・2 三章 ( 5/ 6) (22/43) あるてみす
★内容
「そりゃ一美はいいかもしれないけどさ、こんなのが僕に似合うわけないよ。」
軽井沢の街を散歩して、そのあとタクシーで別荘に帰ってきて、夕食(つ
まりパーティ)間近になったので、届けてもらった服に着替えることにした
とき、僕は一美が選んだという服を前に出され、よく見ると、それがあまり
にも可愛らしいフリル付きワンピースのミニドレスだったので、思わず文句
を言っていた。店で見たとき、まさかこんなに可愛い服だとは思えなかった
んだけどね。
「ねえ、博美、これ、あたしに似合うと思う?」
「そりゃ、一美には似合うと思うけど……。」
「あたしに似合うんなら、博美にだって似合うんじゃない?」
「そうよね。なんてったって双子だもんね。」
すっかりおめかしした由香ちゃんが口をはさむ。麻里ちゃんも可愛らしく
化粧をしながら、
「ねえ、あたし、前から不思議だったんだけどさ、なんで博美は女の子らし
い格好をするのが苦手なの? 一美と同じ顔なんだから、別に問題ないと思
うんだけど、何かトラウマでもあるの?」
「うん、まあ、なんとなくね。」
この辺はあまり言及したくないので、適当にお茶をにごしてごまかすしか
ない。
「とにかくさ、あたしに似合うものなら博美にだって似合うんだから、四の
五の言わずにさっさと着てよ。お化粧はしてあげるから。」
こういうことに意地を張ってても仕方無いので、ブツブツ言いながら、そ
の服を着る。
一美は自分の化粧をさっさと済ませ、早くも準備完了。そして、ミニドレ
スを着た僕の髪の毛を綺麗に整えてくれる。軽く化粧もしてくれて、仕上げ
はアクセサリー屋で見つけてきた耳飾り。
一方、吉野さんは、秘かに打ち合わせておいた通り、何でもないようなフ
リをして夕食の支度をしていた。
台所の陰にはバースディケーキが既に二つ置いてある。そして、その脇に
は健司と康司に渡すために用意したプレゼントも置かれている。
そして、クラッカーが十数個。これはさっき、吉野さんに買ってきてもら
ったもの。
吉野さんは、用意が終わると、ごく普通に、夕食の支度が整ったというこ
とを伝えてきた。
僕達は健司達が食堂に集まったのを見計らってから、食堂に向かった。
そこには、かなり豪華な夕食が用意されていて、健司達がその光景に半ば
呆然としている間に、用意してあったケーキを健司と康司の前に運ばれてく
る。
ケーキの上には既に十七本づつ蝋燭が立っている。そして『Happy
Birthday』の文字と、それぞれに健司と康司の名前が書かれている。
吉野さんは、手早く合計三十四本の蝋燭に火をつけた。
その頃には健司達も我に返っていた。
「ちょ、ちょっと待った。これ、俺達のためにわざわざ?」
「他に何があるってんだ? 今日が誕生日の奴って、健司と康司以外、僕は
知らないよ。」
「そ、そうか。しかし、なんか照れ臭いな……。」
健司も康司も照れている。茂と真琴は、
「そうか、今日はお前らの誕生日か。また年寄りになったってわけだ。」
などとからかう。そこで一美が、
「ほら、一気に吹き消して!」
と声をかけると、
「あ、ああ……。しかし、こんなことすんの久々だぜ。」
とか言いながら、一息で全部の蝋燭を消した。
同時に、「おめでとう」って言いながら、僕達五人と吉野さんの手からク
ラッカーが弾け飛んだ。
一人が同時に二発づつ鳴らしたから、全部で十二発のクラッカーが鳴った
ことになる。
そして、僕達五人が用意したプレゼントを手にして、ミコちゃんと一美が
代表して二人に渡す。
「うわっ! プレゼント付きかよ。」
「ふふ。こういうのも、たまにはいいでしょ? じゃ、も一つおまけね。」
一美がそう言って康司の頬にキスをする。皆の前でキスされて、康司は真
っ赤になって照れた。
それを見た由香ちゃんは、
「ほら、ミコも健司くんにキスしてあげなさいよ。」
と、せっつく。ミコちゃんは一瞬、困ったような顔をして、そのあと、
「じゃあ、博美も一緒に……。」
「なんで僕が……。」
「いいじゃない。あたくし一人じゃ、ちょっと恥ずかしくて。だから、博美
も一緒に付き合ってよ。ね? いいでしょ?」
やれやれ、かなわないなあ。でも、別に減るもんじゃなし、まあいいか。
「んーと、じゃあさ、麻里ちゃんもおいでよ。」
「うん!」
麻里ちゃんは、とっても嬉しそうな顔をして仲間に加わると、そのまま三
人で健司を囲み、
「な、なんだ、一体。」
そう言ってうろたえる康司の頬にミコちゃん、麻里ちゃん、僕の順番でキ
スをする。おめでとうの言葉も添えて。
これにはさすがの健司も照れまくっていた。そして、
「へっへっへ。照れるな照れるな。いいねえ、モテる男は。」
なんて言って盛んにからかっていた茂に、康司と二人で飛び蹴りを加えに
行く。
茂は、その攻撃を避けながら二人をからかっている。
吉野さんは、そんな三人を無視して、ケーキを切って皆に配り始めた。
「なあ、博美。ついでにさ、俺にもキスしてくれないかな。」
健司と康司の攻撃を避けて、僕の脇に来た茂が、そう言って自分の頬を僕
に向ける。
「やーだよ。」
「なんでさ。いいじゃん、俺にもしてくれよ。」
「やだよ。由香ちゃんと喧嘩したくないもんね。」
「ちょっと、博美、なんでそこで、あたしの名前が出てくるのよ。」
「あたっ!」
由香ちゃんが僕の頭をひっぱたく。
「ほら、茂! あんたも悪いのよ。」
そう言って、ついでに茂の頭も叩く。パシッなんて、いい音がする。
「いてっ! 由香、てめえ……。」
茂が叩き返そうとしたら、由香ちゃんは、それを避けて逃げた。
「こら、由香。てめー、ちょっと待てっつーの。」
−−− まだあるよ −−−