AWC トゥウィンズ・2 二章 ( 8/11) (14/43)  あるてみす


        
#1226/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE     )  88/11/ 5   9:54  (100)
トゥウィンズ・2 二章 ( 8/11) (14/43)  あるてみす
★内容
 このままじゃ危ない。そう思った僕は、ショックから立ち直りつつある由
香ちゃんに、
「もう大丈夫だよね?」
 と声をかけ、そして由香ちゃんの肩から手を離す。そして、タイミングを
計って、相手の一人がちょうどいい位置に来たときに、後ろから走り寄り、
「てえ!」
 不意打ちで飛び蹴りを喰らわせてやった。
 さすがに、そいつも僕の動きは読んでなかったらしい。一瞬、気配を察し
てか、僕の方に振り向いたんだけど、次の瞬間には僕の蹴りが決っていた。
で、そいつは、そのままひっくり返ったんだけど、倒れる瞬間に変にナイフ
を振り回したらしく、右足の太股にチカッと痛みが走り、着地と同時に思わ
ず、その部分を押さえてうずくまってしまう。
「このアマ! 何しやがんでぇ!」
 そいつは、すぐに起きあがってきて、右足の太股を押さえてうずくまって
いた僕に後ろから組み付いてきた。
「うわっ!」
 僕は右足を押さえたまま、あっけなく引き倒され、そのまま押さえつけら
れる。
 そして、二、三度、頬を叩かれた。
 少し唇を切ったらしい。ジーンとした痛みと共に塩辛い味がする。
「いってえ……。」
 僕が頬を押さえるのと同時に目の前でナイフがキラリと光る。
「なかなかアジなマネしてくれるじゃねーか。え?」
 そして、そいつは僕の手を押さえて、ナイフの刃を僕の頬にピタピタと当
てる。
 こいつ、さっき、僕の腕をひねり上げてた奴じゃないか。うわ! 最悪。
 僕は思わず目をつぶる。
「こうまでされちまっちゃ、少しは楽しませてもらわにゃ合わねえってもん
だぜ。なあ?」
 そいつは僕のビキニの胸の部分を鷲掴みにしてナイフの刃を当てて、切り
裂こうとする。
「うっ!」
 胸を掴まれたとき鋭い痛みが走り、思わず顔をしかめる。と、
「うわあ!」
 そいつがいきなり悲鳴を上げて後向きに倒れた。
 僕は、何がどうなったのかさっぱり判らず、しばらくキョトンとしていた
ら、
「危ないとこだったね。でも、もう大丈夫だよ。」
 と言いながら、真琴がそいつを後ろから羽交い締めにしていた。
「てめえ、このやろう。放しやがれ!」
 そいつは暴れてナイフを振り回そうとしたが、さらに後からやってきた康
司に取り押さえられ、まったく身動きが取れなくなる。
 そして真琴と康司が、そいつを完全に取り押さえたころ、健司の方もナイ
フをかわしながらスキを見て相手の腹に蹴りを入れ、戦いを終えた。そして、
相手が倒れたまま起きあがらないのを確認すると、
「おい、博美。大丈夫か?」
 って言いながら走り寄ってきて、僕を起こしてくれる。そして、
「おい、お前、その口、どうしたんだよ。」
「ほっぺた叩かれて切れちゃった。」
 わずかな傷口ではあるが、そこから流れる血を拭って、その傷口をなめな
がら答える。
「そういう健司だって、怪我してるじゃないか。」
 ナイフを避け損ねたらしい傷が数本、手や体に付いている。
「これくらい、なんでもねえよ。それより、俺、こいつ、絶対に許せねえ。」
 健司はすさまじい形相になって、真琴と康司が押さえている男の前に行き、
満身の力を込めて、そいつの顔を思いっきり殴りつけた。
 バキッ! という、顔の骨が折れたような鈍い音とともに、そいつはクタ
ッとなって気絶した。
 健司はハアハア言いながら戻ってきて、
「博美、胸、直しといた方がいいぜ。」
「えっ? わっ! やべえ。」
 胸を掴まれたときにクシャクシャにされたらしく、水着が外れかかってい
た。
 慌てて直したとき、健司は僕の右足の太股の傷に気付いて、
「おい、お前、どうしたんだよ、その傷……ナイフで切られたんだろ。ちょ
っと待ってろ。今、医者に連れててやるから。」
 一瞬呆然としたあと、慌てて僕を抱き上げる。
「い、いいよ。一人で歩けるから。これくらいの傷、なんでもないって。大
丈夫だからさ。」
 僕は、そう言って断わったんだけど、しっかりと抱き上げられたまま健司
に叱られてしまう。
「大丈夫じゃねえだろがっ! ほんとに、お前、無茶すんじゃないよ。女の
子なんだろ。間違って顔を切られたらどうするつもりなんだ? 下手すりゃ
殺されてるかもしれないんだぞ。それでなくてもこの傷じゃ一生跡が残るか
もしれないってのに。」
 そりゃ、僕のことを心配してくれるのはいいんだけどさ、でも僕なんかよ
り、由香ちゃんの方がよっぽどショックを受けてると思うんだよね。
 それに、ミコちゃんや麻里ちゃんからすれば、自分以外の女の子を健司が
抱き上げるのを見るのって、あまりいい気分じゃないと思うんだけど。
 そう思って見ると、由香ちゃんはすっかり立ち直ったみたいで、肩に羽織
っていた上着をしっかり着込んで、心配そうな表情で僕を見ている。
 それと、麻里ちゃんはさすがにちょっと複雑な表情で僕と健司を見てたけ
ど、ミコちゃんは意外にも、嫉妬をするとか、やきもちをやくとかいった感
じの表情はしていない。単に心配そうな顔をしてるだけ。
 ミコちゃんって嫉妬心とかやきもちを焼くとかっていうの知らないのかな?
 一瞬、そう思ったけど、そこで、ふと、思い出す。
「あー! アイスクリーム。」
 さっき、腕をねじり上げられたときに、つい落としたらしい。
 そのまま、さっきの場所に袋ごと転がってる。それも熱く焼けた砂の上に。
「由香ちゃん、あの袋、頼む。」
 だって、ほっといたら溶けちゃうもんね。あ、もう溶けてるかもしれない
な。
「お前な、今、どういう状況か判ってんのか? あんなもんに構ってる場合
じゃないんだぜ。」
 健司が半ば呆れ顔をしたとき、どこからかサイレンの音が近づいてくる。
 誰かが警察を呼んだらしく、パトカーが数台、目の前に止まる。
 警官が数人降りてきて、健司が倒した相手を担いでパトカー運び込む。真
琴と康司が押さえつけていた相手も一緒に連行される。

−−− まだあるよ −−−




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