#1209/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE ) 88/10/29 14:11 ( 98)
トゥウィンズ・2 一章 ( 4/ 6) ( 4/43) あるてみす
★内容
「さてと、そろそろ俺達も戻るか。」
健司の言葉に、二人は二人だけの世界から戻ってきた。
あとは皆で教室に戻って、また、元クラスメート達とのお話の再開。
そして、山下先生も用事が済んで戻ってきたところで、先生を囲んで大騒
ぎ。
「博美、どうだった?」
「疲れたぜ。まったく。」
「あれくらいは仕方ないんじゃないか?」
「まあ、仕方ないとは思うけどさ、でも、ほんとたまんないぜ。」
同窓会が終わった帰り道。健司と並んで一緒に歩く。もちろん、康司と一
美も一緒だけど、あの二人は完全に二人だけの世界に閉じ込もっていて、少
し遅れて付いてきている。
「ところでさ、少しうちに寄ってかないか? 一美ちゃんも来るみたいだし。」
「うーん、じゃあ、お邪魔しちゃおうかな。」
そのまま健司の家に行く。と、玄関先に女の子が二人待っていた。
「あれ? 中田とお嬢さんじゃないか。こんなとこでどうしたんだ?」
「ちょっと、お話したいことがあったんですけど……。」
一人が、そう言った後、ちょっと僕の方を睨んでいるようだ。
「まあ、ここで立ち話ってのもなんだからさ、部屋に入れや。」
健司がそう言って玄関の戸を開けると、
「あら、あなた達、健司を待ってたんなら部屋で待ってればよかったのに。
今まで外にいたんじゃ寒かったでしょう。」
健司のお母さんが驚いたような様子で、急いで二人の女の子を招き入れる。
「この子達ね、一時間くらい前に健司を訪ねて来たのよ。同窓会に行ってる
から、しばらく帰ってこないって言ったら、そのまま外に出てったから、て
っきり帰ったものだと思ってたの。本当に寒かったでしょう。」
そして、健司のお母さんは急いで電気ストーブを用意して、二人を健司の
部屋に通してストーブの近くに座らせた。
僕達も後に続いて部屋に入り、六人が落ち着いたとこで、健司が、
「さてと、じゃあ、まず最初に紹介といこうか。お互いに会うのは初めてだ
ろ?」
確かに初めて見る顔だ。
「まずね。そっちが中沢一美っていって、康司の恋人。こっちは博美で一美
ちゃんの双子の妹。二人とも中学時代、俺達のクラスメートだったんだ。」
「ども、初めまして。」
一応、頭を下げる。
「で、そちらに座ってるのが河野美子、通称お嬢さん。こちらのが中田由香。
この二人は俺達の今の学校のクラスメートだ。」
「よろしく。」
その二人も頭を下げる。河野美子とかいう娘は素直に、そして中田由香と
かいう娘は、なぜか僕の方を睨みながら。でも、なんで僕が睨まれるんだ?
「さて、一応紹介は終わったけど、そちらのお二人さんは、どんな御用件か
な?」
「ちょっとね、健司さんだけに話があったんだけど、他の人には聞かれたく
ないのよね。」
中田さんが、相変わらず僕を睨みながら言う。
「そうか、じゃあ、あとで学校に行った時にでも聞かせてくれ。二人とも、
時間はあるんだろ?」
「ええ、まあ。」
で、まあ、そんときは他にたいした話もなかったから、適当にお茶飲んで、
康司と一美は相変わらずイチャついて、そのまま時間が過ぎた。
二、三日後、突然、中田由香さんに呼び出された。駅前の小さな喫茶店で
待ち合わせ。
なんとか時間に遅れないように行くと、中田さんは既に来ていた。そして
河野さんも一緒に。
「お待たせ。あ、ミティのホットね。」
「はい。」
席に着くやいなや、水を運んで来たウェイトレスさんに注文する。
「さてと、ところで、用事って?」
「単刀直入にお伺いします。」
「はい?」
つい、反射的に返事をしてしまう。
「あのですね。あなたと山口君とは、どういう関係なんですか?」
「山口君って、健司? それとも康司のこと?」
「健司さんの方です。」
「健司? 健司ねえ……。うーん、改めて、どういう関係って聞かれると、
僕は友達だと思ってるけど……。健司から見ると、僕は弟の恋人の妹ってこ
とになるのかなあ。でも、なんで?」
「健司さんの恋人だとかっていう……。」
「冗談! 恋人やってんのは、康司と一美だけ。」
思わず彼女の言葉を途中でさえぎってしまう。そして、
「はは、やだな。健司と僕が恋人に見えるなんてさ。」
と付け加えると、それまでの勢いを失った中田さんは意外そうな顔をして、
「あ、そうなんですか。」
あれ? でも、なんでこの娘が、そんなこと気にするんだ?
ひょっとして、健司のことが好きなのかな?
「あ、でも、それじゃ、なんで互いに名前を呼び捨てにしてるんですか?」
中田さんは、なんとか気を取り直すと、こう聞いてくる。
「なんでって言われると返事に困るけど、でも中学の時からこうだったんだ
よね。だけど、それが気になるってことは、もしかして中田さんは健司のこ
とが……。」
「あ、違います。あたしじゃありません。」
中田さんは、とんでもない、という風情で思いっきり否定する。
「あれ? 違うの? 今までの感じからして、それしか考えられなかったん
だけど。この前、健司の家で、ずっと僕を睨んでたでしょ?」
「ええ、それはまあ……。」
「ってことは……。」
そういえば、さっきから静かなんだけど、ここにはもう一人、河野さんが
いたんだっけ。
「もしかして、河野さんが?」
その途端、河野さんの顔が真っ赤になる。
「へえ、やっぱりね。で、僕に用事っていうのは?」
「いえ。あたしはてっきり中沢さんが健司さんの恋人だとばかり思ってたか
ら、戦線布告のつもりだったんですけど……。」
−−− まだあるよ −−−