#1085/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XKG ) 88/ 7/10 1:57 ( 84)
深夜連載小説「噂のスーパーガール」(9) クエスト
★内容
いやー、まったくアブない。
という訳で急きょ文章ディスクに書くことにしました。オンラインではアブない。
男達は今や完全に獣と化していた。
明美を二人がかりでシートに押さえつけると、ワンピースを胸元までめくり上げ、露に
なってほの白く闇に浮かぶ身体に襲いかかった。
「いゃ!やめて!」
「うわっはっはっは。泣け。叫べ。力なき者共はそうやって強い者の餌食になってきた
んや。昔からずーーーーっと。ライオンが羊を襲って何が悪い!」
「俺らを不良よばわりしている世間のやつらも一皮むけば俺らと同じことをしてるんや
で!この世は力や!まして何もよーせんと死んでいくようなやつらにつべこべ言われる
筋合いはないわい」
捲りあげられたワンピースに顔を覆われ、何も見えなくなった明美の耳に興奮して怒鳴
りまくる男の声が響く。
「やってまえ!」
一気にブラとパンティーが剥ぎ取られ、ついに明美はすっ裸にされてしまった。
「ああーーーーーーーー」
男は明美の頭を覆った服を下げて明美の顔が見えるようにすると、自分もパンツを下げ
て明美の上にのしかかってきた。明美の股間に熱いものが触れる。
「いやーーーーーーーー」
「そら、もっと言え、なんぼでも叫べ。最高やーーーーー」
欲望に歪んだ男の顔が迫る。
連れの男達もニヤニヤ笑って明美が犯されるのを楽しそうに眺めている。
「お前ら、許さーーーーーん!」
突如として明美の心に強烈な怒りが込み上げてきた。
「弱い者をいたぶり、その呻き、嘆き、哀しみをあざ笑うようなやつらは絶対に許さん
!殺されようと何をされようと最後まで戦ってやる。このままむざむざと好きにされて
たまるもんか!思い知れ!」
明美は物凄い勢いで男を撥ねのけ、のけ反った男の顎にえぐるようなパンチを食らわ
せた。男は殴られた勢いでリアウインドゥにぶつかる。ガラスが音をたてて砕け散った
。呆気にとられているもう一人の男を明美はつかみ上げるとそのまま車の天井に思いっ
きりぶつける。天井がボコンと音をたて、男は虚ろな目になってしまった。
それを見た運転席の男は慌てて逃げようとしたが、今度は明美が邪魔をする。
「待たんかい!仲間置いて逃げるんか。かかってこい!」
「すっ、すんません。私、こいつらに脅されていやいや付き合ってただけで...」
「ふざけるな!さっきまで一緒に笑ってたくせに」
明美が形容のしがたい力で前のシートを蹴り上げると、運転席の男は吹っ飛び、フロン
トガラスにゴーーーーーーーンというニブい音とともにぶつかって失神した。
明美はぼろくずのようになった3人の男を車から引きずり出すと、カマロのエンジン
をかけ、ギアをDに入れた。ゆるゆると動きだす車のアクセルに石を置く。
カマロは猛然と駐車場を駆け抜け、柵を突き破って夜景の中に点になって消えていった
。暫くしてニブい衝撃音が明美の耳に届いた。
朝靄の中、ドライブウエイを歩く4人の姿があった。
明美は健作に戻り、派手なワンピースに身を包む少年といった変な姿。
3人の不良達はよろよろとぼとぼと明美に連れられて歩いている。
「なんですかいなー、あの人ら。秋本はん」
「さあー、よーわかりまへんけど、道にでも迷たんやろか、コスモはん」
早朝登山の老人達が4人をいぶかしげに見ている。
しかし、明美、いや健作には一種の神々しさが感じられ、気安く問い掛けることを許
さなかった。
「車、おしゃかにして悪かったな」
「いやいや、よろしいねん。私らが悪かったんやさかい」
「私、神戸ではちょっとは名の知れたグループにおりますねん。もし、何か私らにでき
ることがあったら何でもしまっさかい、明美さん、私ら使こたって下さい」
「お前らに用はないわい」
「そんなこと言わんとー。なんやしらんけど、私ら明美さんの御陰でもっと気色ええ生
き方できるような気がしてきましてん。今まで実際、むなくその悪い生活やった。あ、
私、武志いいますねん。それからこの首の骨がおかしなったかもしれんのが恭一、額に
コブ作ってるのが洋いいます。こいつら、根性なしやけど、器用なとこもあるさかい、
きっと何かの役に立つと思うし」
「そやな。覚えとくわ。あ、もうじき駅や。じゃな」
明美は3人と別れ、すたすたと自分の家の方へ帰って行った。
恐ろしい試練の時が明美、いや健作に眠っていた凄まじいパワーを目覚めさせたのだろ
うか。しかし、家が近づくとともに健作は普段の自分に戻り始めるような気がするのだ
った。
本当の明美、健作の妹の明美は呆れながら窓の外を見ていた。
「いやーー、おにいちゃんたらアホな恰好して戻って来よった。あれ、何ぃー。昨日の
夜こそこそ出ていったと思たら今ごろあんな恰好でふらふら戻って来て。変態や」
「私、おにいちゃんの秘密、絶対に暴いたるから。あんなことしとったら将来の私の結
婚にも差し支えるし」
妹に弱みを握られそうな、健作であった。
つづく