AWC 深夜連載小説「噂のスーパーガール」(6) クエスト


        
#1067/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XKG     )  88/ 7/ 5  21: 1  ( 56)
深夜連載小説「噂のスーパーガール」(6) クエスト
★内容
 ディスコにつかつかと入っていったきり、明美は出てこなかった。のではなく作者が
さぼっていたのである。
 前に書いたのが4月の5日だったから、いかにこの間作者が熱心に仕事をしていたか
がおのずと判ろうというもの。

 明美は厳しい高校に通っていたので、ディスコに入ったのは初めてだった。従ってそ
の記憶にはいささか曖昧あところがあるのも止むを得ない所である。

 持っていた5000円の小遣いから数千円を払って中にはいる。闇の中にストロボが明滅し、カラフルな床の上で沢山の人間が蠢いていた。
 凄まじい音響。ディスプレイから得体の知れぬ歌手が囁きかける。

 明美は最初気押されて隅のカウンターでサービスのドリンクを飲んでいたが、やはり
それでは詰まらない。おずおずとフロアに彷徨うように出ていった。
 皆、凄く上手に踊っているように思える。「ああ、私も...」と思っても体は照れ
も手伝ってか、動かない。しかし、音楽に乗って少しは手や足が動きだしたかなと思い出した。前に鏡がある。ここはまだフロアの隅だった。
 鏡に写った自分の姿を明美は見て愕然とした。この間、町内会の盆踊りで練習した踊りの型ではないか!これは。ガックリ...
 「調子出ないわ...」明美はすごすごとカウンターに戻ろうとした。

 肩をぽんと叩かれて思わず振り返ると、若い男がニコニコと笑っていた。
「こうやるんや。見てみ」男の子は一旦踊りを止めると、音楽に合わせて頭を揺り動かし始め、次には肩、そして腕という風に体全体で踊り始めた。
 それは実に自然で楽しそうで明美は無意識の中に同じようにして踊り初めていた。

 あっという間に明美は自在に踊れるようになった。男の子は頃合を見てフロア狭しと
明美をひきつれて踊り狂い、もともとレベルの高いルックス、遊び人の服装の明美は、
たちまちディスコの注目を集めるようになった。

「僕、橋本ゆうんや。アメリカに留学しててね。ついこの間帰ってきたんや」
「へー」
「アメリカでは週末になるとディスコ行ってねー。田舎やったから、他に何にもあらへんし」
「うっそー」
「僕は留学する前はぶくぶくに太ってて、ドラエモンとかいわれたりしてたけと、今で
はご覧の通りの男前です」
「やだー」
 明美と橋本は意気投合して、はずむ会話、時めく心。
あっという間に時間がたってしまった。

「僕、そろそろ帰るよ。今日は楽しかった。君の名前は?」
明美がいい気分で考えに浸っていると、橋本君が耳の横で言った。
「え、ああ、山口明美です。県立第三の...」
「へー、そうかい。頭いいんだね。じゃあまた」
「あ、私も帰りますから」

「ふーん」
大阪方面に帰るという橋本君と途中で別れ、暗い夜道を歩きながら明美は満足していた。キキーーーー
 明美の前にカマロが音をたてて止まった。
数人の男が車から降りてきた。さっきのディスコで見掛けた柄の悪そうな3人組みであることが、夜の闇の中でも明美にはよく判った。(らんなさーん、出番です。あ、ちゃうか)

            久し振りに書いたら、かたいなー クエスト




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