#1041/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ ) 88/ 6/ 9 22: 1 ( 62)
真リレーA>第11回 『んでもって...』 Fon.
★内容
そのころ東京にはある物が突如出現していた。それはピラミッドに似た四角すい
の建築物であり恐ろしく巨大であった。富士山よりでかいのではないかとも錯角し
てしまうほどのものだ。その表面には殆どが鏡のように光っており装飾にごちゃご
ちゃとネオンやら看板やらがくっついており、勝手きままにキラキラと光っている。
立て看板やノボリなども出ておりそれには‘祝!開店、西崎商店東京店!!’‘三
割四割あたりまえ’‘西崎商店は駅のソバ!’etc....
とどめにピラミッド型の建物の頂点にあたるところへ老人が‘イェイ!’と、ピ
ースして、ニヘラと笑った全身像が自由の女神大の大きさで存在していた。
言えばきりがないがこの想像を絶する組み合わせは、この建物の設計をした者が
まともな性格ではないことをいやっていうほど想像させている。
まわりに出来た人垣は殆どが主婦であり開店バーゲンセール目当てに我先にと中
へ駆け入っていった。
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ!」
と、こちらは高野山某所の秘密基地。東京でのピラミッドをデカデカと映したデ
ィスプレイの前で「スケさんや、カクさんや、笑い」をしているのはマーチン西崎
その人である。
「計画は完全に順調じゃのぉ。淀君の怨念を利用し木本商事の本社を消すはずが東
京までふっとんでしまったのは予想外じゃたが、かえって良い効果となったわい。
デバガメ三世の作動も順調じゃし.... 新興宗教の信者も増えてきおった。こ
れで邪魔ものといえるのは...そうじゃのぉ、あの麻子とかいう娘っ子と、啓介
と真紀とかいうのだけじゃ、あやつらには『見張り』を付けておるからだいじょう
ぶじゃろて....」
「そいつはどうかな?」
再び笑おうとしたマーチン西崎の背後から声がかかった。
マーチン西崎はビクッとしてあわてて振りかえる。と、そこにはまぎれもなく啓
介と真紀の姿があったのだ。
「お、おぬしは! い、い、いったいどうしてここに!?」
マーチン西崎は驚きで椅子からおっこちそうになる。あわてて手摺りに捕まり落
下はまぬがれた。
「十兵衛の爺さんからあんたのことをきいて、急いでやってきたのさ。淀君の怨念
を私利私欲のために利用するとは、とんでもねぇやつだ! おれの給料をかえせ!」
なんだかんだいっても最後の言葉を言いたかったようである。
「それにしてもおぬし、早すぎるぞ!ここに来るのにも何十人という部下を見張り
につけておるし、第一おぬしは前回に崖から落っこちたのではないのかっ!?」
「しかたないでしょ!!」
いままで啓介の後ろで黙っていた真紀が叫んだ!
「この話、あと4,5回で完結させなきゃならないんだから!!」
その迫力にさすがのマーチン西崎もたじろんだ。
理屈は理屈であった。
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」
マーチン西崎の笑い声が響いた。
「まぁ、よいわ、手間が省けただけじゃわい」
「なにが、省けただっ!」
そあ啓介が言い返したかしないうちにマーチン西崎は椅子の横についているボタ
ンをパチリといれた。
「あ゛っ!?」「キャー!!」
途端に啓介と真紀の下の床がパカリと口を開き二人は落下した。衝撃が啓介の身
体にはしった。下の地面に激突したのだ。瞬後上から衝撃が来た、真紀が啓介の上
に落っこちたのだ。
「しばらくそこにいて、もらおうかのぉ。おまえらは、わしにとって邪魔なのでの」
上からマーチン西崎の声が聞こえた。それが最後に上の天井(床?)が閉まり二
人の空間は闇となった。
同時刻。
真紀のトゥデェイは主人から離れ、ポツリと高野山の頂上近くの駐車場に止まっ
ていた。ポツリとその姿は寂しげそうに見えた。
運転席のランプは当然全て消えていた。
外見上はまったく判らないが 「「「「「電子頭脳‘らむ’は、この車のメモリ
には既にその存在を亡くしていた。
<つづく>