#1016/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (DGJ ) 88/ 5/17 22: 1 (100)
「R.N.S.」<プロローグ5> Fon.
★内容
「Rpg.Novel.Story.」<プロローグ5> by 尉崎 翻
「ぐわぁーっ!」
断末魔の声がまたもやあげられた。チンピラの一人がドサリと地面に倒れる。こ
れで三人目だ。ただの肉塊に化したチンピラの向こう側にその男「「「リクトは剣
をかまえていた。目の高さに両手で柄を握り70°位に剣先を空へ向けている軽い
かまえである。一見みれば隙だらけのかまえ、チンピラたちにもそう思えた。腕に
多少自信のある男がまず斬りかかった。リクトはピクリとも動かない。男の剣がリ
クトの右腕を狙い弧を描く、そこにいるだれもが次の瞬間リクトの右腕が落ちると
思った。否、事実は違う。落ちたのは斬りかかった男の右腕であった。男は信じら
れぬという顔でリクトをみるがリクトは先程のかまえからまったく動いた様子がな
い。男の右腕の切り口からドクドクと血が流れ落ちたちまち血溜りが出来る、男は
左手で剣をもち直し今度はリクトの背後から剣を突き刺して行く。キーンと剣が弾
かれる音が響き同時に男の左腕が落とされた。男の悲鳴が叫びあがる。男の剣は空
を舞って地面に突き刺さった。その瞬間リクトが動き男に斬りかかった。その動き
はきわめてユックリとしたものであったが男にはそれをかわす体力も気力も残って
いなかった。
同じように続いて2人やられた。チンピラの仲間も残り4人である。仲間は他に
も30人ほどいるがそいつらは残り3人のやつら。すなわちティスタ、ダグ、レナ
の方にまわっている。チンピラ4人は遠巻きにリクトを囲みはじめた4人いっせい
にかかるつもりである。しかし全員ともに体がガタガタ震えていた。一人が逃げ出
せば全員逃げ出してしまうであろう。
リクトの剣先がゆっくりと下がった。チンピラ4人の士気が完全に無くなったの
を察知したのだ。リクトがはじめて仕掛けた。一歩踏み出し飛び上がる、人間ばな
れした跳躍力だチンピラ4人にはまるでリクトが鳥にみえた。高々と上げたリクト
の剣がギラリと赤く光った。剣が赤く光る!?チンピラたちは一時目を疑ったがそ
の理由を考える時間は彼らにはもうなかった。
レナは追い詰められた格好になった。チンピラの前に姿を現わしてから逃げ出し
て袋小路に突きあたったのだ。
「ふん。逃げられるのもここまでだぜ」
先頭のチンピラが舌なめずりして剣を構えている。その後ろに数人のチンピラが
おりニヤニヤと笑いながらレナを見ている。レナは不意に両手の指を複雑に絡めて
なにかボソボソとしゃべった。魔法だ。絡めた両手から小さな炎球が数個飛び出し
チンピラに向かう。だがチンピラたちの周り10cm辺りで炎球は弾けて消えた。
「けっ、魔術師かよ。そんなチャチな魔法じゃ小魔物ならともかく、おれたちなん
かたおせっこないぜ、大魔術師さんよ」
ガハハハとチンピラたちの口からいやらしい笑い声が出る。みれば彼らの腕には
みんな皮製らしいリングがついていた。魔法封じのアイテムだ。これはごく簡単な
ものでレベル2までの攻撃魔法くらいまでしか効果はない。
だが、この娘がそれ以上の魔法を知っているはずがないと彼らは確信してたのだ。
魔法は主に聖・闇・神・精霊と4つの種類にわけられる。くわしく書けば長くな
るので簡単に言えば、闇魔法以外のものは魔法の意味を理解し崇拝しその原理の全
てを知り語の強さ、弱さ、偉大さ、それらに熟した者が初めて使えるのだ。これは
途方もない年月と精神力のいるものであり、上級の魔法ともなると人によっては一
生をかけても無理な場合がほとんどである。
先程レナの使った炎球は初歩的な聖魔法の一つであり、たいてい魔術師は半年位
で覚えられる代物だ。
「へっへっへ。このまま殺すにゃ惜しい女だな。たっぷり楽しんでから売春宿にで
も売り飛ばすか」
ジリッジリッとチンピラ達はレナに近付く。気の弱い女ならそこ場にへたりこん
でしまうであろう。しかし、レナは違った。左腕を前にだし人さし指を立てチンピ
ラの方向に向けた。右手で左肩から左手首にむけてスッと撫る。
「イアクル サプ」
途端に人さし指から光の輪のようなものが飛び出しチンピラども一人一人の回り
にまとわりついた。チンピラは身体がしめけられる衝撃を受けた。
「な!なんだこりゃ!?」
驚いたのはチンピラだ。お世辞にも頭が良いとはいえない彼らが聖魔法レベル4、
敵の動きを封じる『飛光輪』をしるはずがなかった。
チンピラがパニックしている間にレナは次の行動に移っていた。今度は右手を高
々と空に向けて左手は自分の胸の中央に軽くあてており、目をつぶり精神を集中さ
せる。パッと目を開き訴えるような声でしゃべる。
「偉大なる天よ、聖地なる海よ、源なる地よ、古き誓いの言葉、我に力をかしあた
えよ、新たなる力とし誕生し、悪戯好きな雷たちよ、われの身体に力をあたえよ」
ビカッとレナの右手の指から光が発せられた。
精霊魔法の雷の精霊たちはもっとも気まぐれといわれる精霊だ。彼らを自在に呼
び出せる魔術師はこの世にも数人しかいないと言われている。しかし、この20才
位にしかみえないレナがなぜこの魔法を使えるのだろうか?
光は次第に大きくなりレナがゆっくり右手をチンピラの方に向けた。事は一瞬で
あった。光が閃光となりチンピラたちを直撃した。バタバタとチンピラが絶命しな
がら地面に倒れていった。すると『飛光輪』も、レナの右手の光もフッと消えた。
魔力をレナが消したのだ。あまり長く続けると精神力が尽きてしまう。
「フッ、こいつらに雷の魔法はもったいなかったかもね....」
そう言って2,3歩あるき出す、と、ビクンとレナの身体がケイレンしたように
動いた。
「「「も、もう来たの!?
ガクガクとレナの身体が震えた。両手をクロスさせ自分の肩を押さえその場に座
り込んだ。
「「「そ、そんな‥‥もうちょっと人目のつかない所に移動してからでも‥‥
だが、ソレは待ってはくれなかった。レナの意志には関係なしに入りこんでくる。
レナの身体が再びビクッビクッと跳ね上がるように波打つ。レナの目が潤んできて
身体中から汗が流れてくる。
拒絶しようとしたが無駄であった。だが、しかたない契約は守らねば全精霊から
見放される。
「くっ‥‥かっ‥‥‥ああっ‥‥!」
レナの息が荒くなり、いつのまにか声も出してしまっていた。気まぐれで悪戯好
きな精霊といわれるだけあって雷の精霊たちはレナの身体の中を好きなようにかけ
めぐり彼女のもっとも敏感な部分をしつこいほど弄ぶ。
「はぁっ、あっあっ、あああっっっ!!」
座ってもいられずレナはとうとう地面に横たわった。完全に自分自身を見失って
おり心も奪われている。眼はトロンとしておりウツロだ。
身体をめいいっぱい伸ばした態勢でドクッドクッと波打っている。
「ああん、あぁ‥‥‥ いぃ‥‥‥‥‥っ!!」
拒絶の声がいつのまにか歓喜の声に変わっていた。
ビクーッと大きくケイレンし、数秒その体勢がつづき急にガクッと崩れた。
レナはジッと崩れた体勢で動かなかった。いや、動けなかったのだ。精力の殆ど
を雷の精霊に奪われてしまったからである。
しかし、このままここにいるわけにもいかない。全力をふり絞って立ち上がる。
雷の精霊に外側からも中側からも愛撫された身体中がまだ火照っていた。
<つづく>