AWC 騎甲神ナイザー<Vol.8>     <ふぉろんくん>


        
#782/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (SMB     )  88/ 2/17  17:35  ( 99)
騎甲神ナイザー<Vol.8>     <ふぉろんくん>
★内容
 「ふっざけるな!死んでいった部下のために一緒に地獄へ行けっ!」
 「フッ、それこそ甘いというものだっ!喰らえっ!」
ライケスは光弾をリーナスへ向けて放つ!同時に切り掛かる!
 <クッ!こいつ、場慣れしている!?>
リーナスは眼を見開き光弾を聖剣で受け止める。光弾のエネルギーがショートし聖剣
が白熱化する。ライケスはまだとどいていない。リーナスは今、常識を無視した行動
を起こしていた。光弾のエネルギーを聖剣に吸収させ、それをライケスに向けて弾き
返すつもりなのだ。普通の剣でも可能なことだが、受けをしくじると“死”へとつな
がる。まして、弾き返すとなると戦車の弾を金属バットで打ち返すのと同レベルのパ
ワーが必要とされるに違いない。しかし、この状態で既に弾は剣でうけているのだ!
右手首を返しライケスへと打ち放つ!白熱化した聖剣から光弾がライケスの左肩に突
き刺さり内部爆発を起こす!肉片が飛び散るっ!ブシュウゥゥ‥‥。と血が飛び出す。
もはや、彼の左腕はプロテクト・スーツだけで胴体とつながっているだけであった。
 「し、信じられん‥‥。も、もはや、これまで‥‥か‥‥。」
激痛が彼に気絶することを許さない。スローモーションのようにあお向けに倒れた。
リーナスは哀れみ眼差しでライケスを見ていた。
 <恐らく奴も、騎甲神のなんたるかを知らずにやってきたのだろう。>
 「ライケス。」
 「うむ、リーナスか?は、早く椴めを‥‥。この痛みは決して忘れん。地獄でキサ
  マを待っていようぅ。ク、ククッ!」
 「‥‥それは‥‥無理だ。俺の場合、天国に逝くことを生まれる前から決められて
  いる‥‥。」
 「フ、フフッ。」
ライケスは心からこの戦乱の世を望んではいなかった。なぜなら、死ぬために生まれ
てくるなんて誰が望もうか?彼は虚ろな眼で青く澄みきった高い空を見つめていた。
 <う、美しい‥‥。なんて綺麗な色なんだ。こんな美しいものは生まれて初めてみ
  る。平和な時代にこの空を‥‥ずっと、ずっと、見ていたかった。>
 「リーナス?お、俺も、あの空に昇れるか?」
 「‥‥‥。あぁ。あの青は『理想』と『友情』『希望』の青だ。お前がそう望むな
  ら、きっと昇れるだろう。」
 「あ、ありがとぅ。す、まんな‥グッ!!」
 「!」
ライケスの腹に銀色の槍が刺さっていた。
 「ライケスッ!」
彼は既に息絶えていた。その目には『ラキュナーガ』の飛甲兵の姿が映っていた。
 「な、なんということを‥‥。俺達が一番恐れていたヤツラが‥‥!」
 「ライケス様が殺られたぞっ!ラキュナーガを向かえ撃てぇっ!!」
ズマーサ軍の兵士が叫ぶ!それを合図にラキュナーガとズマーサの戦闘がリミルガの
瓦礫の中で始められようとしていた。まだ先程の戦いでの戦死者の遺体が転がったま
まである。しかも、ズマーサ軍は280名まで戦力が低下している。それに反して、
ラキュナーガの飛甲兵は500名もの大群で空から飛んできたのだからスタミナだけ
でも有利である。
 「リーナス!やばいぞ!ヤツラは残虐非道に関しては悪魔と同等と聞いている!」
 「おぉ!サントスかっ!判っている!」
 ラキュナーガの飛甲兵。彼等はその名の通り空を自由に飛べた。プロテクト・スー
ツは基本的に変わらないが、両足と両肩にバーニアが装備されている。やはり背中に
バック・パックがあり、4本の棒がX字に組合わされ先端部から光粒子が勢いよく噴
射され飛行を可能にしている。これによって巧みな動きを作りだしアクロバットな飛
行もできる。そして、最も重要なことがプロテクト・スーツにはある。それは、飛行
する際のエネルギー源である。これについては胸、肩、すね、の部分に光粒子吸収板
が付属されており、吸収された光粒子がベルトにある光粒子変換装置によって核融合
を起こさせ、さらに、各バーニア部の噴射口の磁界によりエネルギーを増幅させてい
る。噴射時のエネルギーの効率も良く、無音なので非常に画期的なシステムと言える。
 彼等は特徴的なマスクをしている。見る者によっては怪鳥を思わせるクチバシをデ
ザインしたマスクだ。クチバシは上下に可動し、アイマスクのような黒いフィルター
を装着していた。彼等には表情がなかった。まるで死人のように青白い顔で、血液が
通っているのかもあやしい。その半面、ボディ・ラインは女性のように美しい曲線を
フォルムしている。手には銀色の槍をたずさえ地上の獲物を狙うハーピィを思わせた。
 ズマーサ軍は光弾を撃ちまくって、一人でも多くの飛甲兵を落とそうと必死であっ
た。飛甲兵も、次々と地上へ降り立つ。機人兵は振動剣を抜くとランド・ローラーを
使い凄まじいスピードで飛甲兵へ切り掛かる。しかし、飛甲兵はバーニアによってそ
れよりも早いスピードで彼の後ろに回り込み、銀の槍で心臓を射抜く!問題はこれか
らだ!飛甲兵の手の甲にはスライド式のカッターがある。なんと、ソレで機人兵の首
を切り落としたあげく、身体を引き裂いたのである!無表情だった顔には、いつしか
うっすらと微笑みさえ浮かべている!また別の飛甲兵は、槍で機人兵との格闘中にレ
ンガの家を一撃のもとに粉砕してしまう。一体、きゃしゃな身体のどこに恐ろしいパ
ワーが秘められているのだろうか。
 「い、いかん!このままでは、都が破壊されてしまう!」
リーナスは剣先を天に向け、全身の“気”を集中させた。『聖剣』の光が天空を貫く
!その光が巨大なスクリーンとなってリーナスの姿を写しだした。

 『静まれ!キサマ等の戦いに、このリミルガは関係ないはすだ!これ以上、破壊を
  繰り返すことは、もはや許されない。早々にたち去れい!さもなくば『超剣士』
  の名にかけて、キサマ等を滅ぼす!』

 ‥‥‥‥‥‥。一瞬の出来事であった。このようなことは、彼自身、予測していな
かった。‥‥‥‥‥‥‥。

 それは、背後より忍びより、全神経を集中していたリーナスの心臓を貫いていた。

 目の前が暗くなる。朧ろ気に敵の顔を見る。‥‥‥ラキュナーガの飛甲兵!胸から
突きでた銀色の槍の先端から鮮血が滴り落ち地面に吸い込まれるように消えていく。
 「キッサマァッ!グフッ!!」
口から鮮血がほとばしる!しかし、それでいて見事に飛甲兵を一刀両断する。
 「く、くくう‥‥‥!」
力なく呻いて崩れるようにレンガの壁に倒れ込む。背中にある槍のつかを壁に押し付
け、胸に突きでた先端部を右手で掴む。
 「ゴボォッ!」
あふれるように鮮血を吐く。金色の美しいプロテクターを新しい血が次から次へと染
めていく。端整な顔が苦痛に歪み脂汗を眉間から顎へ、顎から地上へ滴らせた。意を
決したように右手に“気”を込めて槍を引き抜く!
 「うぐあぁぁぁあっ!!く、くぅ。」
無惨にもプロテクターは砕けちった。通常の人間ならば即死であろうが、彼はまだ立
ち上がろうとしていた。『聖剣ガミシス』を握り絞める。聖剣はそれに応えるように
青白く輝きリーナスの生命をある大切な事のために維持していた。
 <そ、そう!俺は『超剣士』!ただでは死なん!!>
この言葉が彼を生き続けさせていると言っても過言ではないだろう。
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