AWC 騎甲神ナイザー<Vol.7>      <ふぉろんくん>


        
#781/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (SMB     )  88/ 2/17  17:28  (101)
騎甲神ナイザー<Vol.7>      <ふぉろんくん>
★内容

怒りのオーラがリーナスを包み込む。微風は既に竜巻のように彼を取り巻いていた。
 「ククク、今更なにをするつもりなのだ?え?超剣士殿‥‥。ホレ、頼みの綱の、
  『聖剣』も、我が手中にあるのだぞぉ?」
 「フッ、なめるな。キサマの目にどう映ろうと俺は『超剣士』。たとえ、なまくら
  刀であろうとキサマを八つ裂きにすることなど容易い。」
その威厳にみちた金色の目が赤く燃ているように光る。軍将ライケスは強がりを言っ
て虚勢を張っていたが額に冷や汗がにじんでいた。
 <ど、どういうことはない。た、ただのハッタリにすぎん‥‥。>
リーナスは不敵な笑いをうかべ、右手をゆっくりと前にのばし拳をつくる。そして左
手で右手首を握り絞め“気”を送りこんだ。それにつれて両腕が徐々に光を帯びてく
る。金髪が天に向かってなびく。風も砂埃を起こして敵を威嚇する。
 「古よりの契約に基づき、今こそ『風神レミター』よ我に力を与え給え‥‥。」
ピュウピュウと風が嘶く。異常なまでのスピードで風が自分で『真空』を作っている
のだ。これがリーナスの血族に伝わる風神の護りなのである。
 「風よ!我が剣となりて、敵を滅ぼせ!!」
ブワッ!と両腕を広げる!風が砂を巻き上げてズマーサの兵士達を襲う!
 「グアァッ!」
 「ウワァッ!」
あちこちで血飛沫をあげて兵士達が倒れる。しかし、プロテクターに傷が一つもつい
てはいない。風の衝撃と『真空』によってくりだされた『風の剣』によってプロテク
ターの内部から切り刻まれていくのだから防ぎようがない。
 「フホォオオオオ‥‥。」
リーナスの左手がライケスへと照準が定まる。
 「ひ!」
部下が次々と凪倒されいるのでさすがに無言の死の警告には圧倒される。
 「フッ!」
風が飛ぶ!!敵を目指して!
ズバァアアアアンッ!!
なんとライケスは瞬間的に横っ飛びで攻撃を逃れた。リーナスの放った真空剣は地表
を裂き巨岩石をも袈裟切りにしていたのだ。
 「‥‥キサマに崇高な神の技を使うのは神を侮辱することに値する‥‥。」
 「‥‥‥‥。」
ライケスは立ち上がってはいたが膝が鳴っている。リミルガの剣士達はこの凄まじい
リーナスの力に驚喜乱舞していた。対照的にズマーサの兵士達はそれぞれが振動剣を
抜いているにもかかわらず切り斯かるタイミングを完全にはずしていた。
 「だ、だまれぃ!そのような得体のしれない術なぞ使いおってぇ。よ、よぉし、リ
  ーナス!お前のこの剣でお前を貫いてくれるわぃ。」
 「フッ。甘いんだよ。」
 「なに!?」
 「さぁ、我が手に戻ってこい、キサマの力が必要だ。『聖剣ガミシス』よ!」
いきなりライケスの握っていた『聖剣』が輝く!同時にリーナスの広げた右掌も!
 「う、うわぁっ!?な、なんだ!これはぁっ!?」
光が消えると「シュウシュウ」と音を立ててリーナスの手に『聖剣』が刀身を剥き出
しで握られている。
 「お、おぉぉおお!」
双方の戦士達は驚きの声を上げていた。いや、サントスだけは事の全てを始めから知
っていたようにニヤニヤと笑っていた。
 <馬鹿め‥‥。リーナスを怒らせおって。>
 「そ、そんなバカなぁ?」
ライケスの手にはその鞘しかなかった。リーナスの剣と自分の記憶にある聖剣の型を
見比べる。龍を型どった柄。そうだ、間違いない。リーナスの持っているソレはまぎ
れもなく、『聖剣ガミシス』である!
 「い、生きている?のか‥‥。」
彼は思わず声に出して素直に感想を述べる。そして、自分はなんという強大な相手と
戦うのか。ということを改めて認識せざるを得なかった。
 「キサマ、この都を脅かすだけでなく、話し合うその最中に我等の仲間を屠ったな
  !俺は決してキサマを許さん!」
リーナスの意志と連動しているのかガミシスはその刀身を紅く輝かせた。
 「クッ!や、殺れっ!皆殺しにしろっ!!」
彼の命令で機人兵等は次々とリミルガの正門へと強攻突破をしかけた。負けじとリミ
ルガの勇者達も立ち向かう。雄叫びと断絶魔の悲鳴が入り乱れる!

 戦闘開始から1時間程立ったであろうか。リミルガの勇者等はその数50人から、
今は15人に減ってしまった。しかし、被害はズマーサ軍の方が多かった。1000
人もの機人兵等は300人まで減っている。
 「超剣士!その首もらい受ける!覚悟っ!!」
 「ちいぃっ!」
飛び掛かってくる兵士をガミシスでなぎ払う!血飛沫が金色のプロテクターを染め上
げる。メタリック・レッドとも言うべきか美しくソレを染めていく。無惨にも兵士は
真っ二つに胴を切られた。リーナスは休みなく後方まで切り替えす!ブゥン!と音を
立てて真後ろの兵士の首を落とす!一瞬、間をおいて思い出したように血が勢いよく
飛びだす!
 「つぇぇええいぃぃっっ!」
気合を込めて左上から右下へ叩き切る!トバァッ!と内臓と血を吹き出しのけ反る兵
士。リーナスの足元は血の海がひろがっていた。彼自身も血だらけである。どこをど
う切ったらこんなにも血がでるのか?既に致死量を流し尽くしているだろう。しかし、
彼の身体の血は全て、返り血なのである。
 「バ、バケモノか?奴は‥‥。」
さすがに軍将ライケスは生き残っている。彼もプロテクターはボロボロになってはい
るが、リミルガの勇者を10人は撃破している。
 「ライケェス!死ねぇいっ!」
 「えぇいっ!邪魔だっ!どけぇっ馬鹿者目がぁぁぁあっ!」
光弾を目一杯ブッ放つ!そして『超音波振動剣』のその威力でところ構わず振り回す。
光弾が次々と目標物(?)に突き刺さり内部爆発を起こす。それ等は地表に刺さり、
土埃を巻き上げ眼暗ましの作用を引き起こしたり、レンガの家に刺さりレンガの破片
を飛び散らせたり様々である。振動剣は大地を引き裂き、そして、家を吹き飛ばした
り、襲い掛かる勇者をズタズタになぎ払った。
 ライケスはこの都の中心部にあたる神殿へ走った。
 <な、なんだ?こいつ等の異常な戦闘能力!そして、団結力!とても平和を貪り続
  けた無能な集団とは思えない!‥‥そうか、これが1300年間も我等の侵攻を
  杭止め、平和を維持してきた謎なのか?そ・れが騎甲神のためだと言うのか?>
 「どぉりで‥‥、落ちなかったわけだ。ククク‥‥。騎甲神!ますます欲しくなっ
  たぞぉっ!!」
 「ライケスッ!そこかっ!?」
 「ムムッ?リーナスか!?」
 「どこに行くつもりだ!ライケス!まだキサマの命を貰っておらんぞ!」
 「やれやれ‥‥。部下の命ではたらないと言うか?欲張りだなぁリーナス?」
ジリジリと二人は間合いをつめていった‥‥。           <つづく>






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