#780/1850 CFM「空中分解」
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新リレーA第18回「鈴木のモノローグ」クエスト
★内容
やれやれ。ややこしくなってきたなー。
鈴木健作は学校が終わると珍しく家に真っ直ぐ帰り、
勉強部屋の自分のベッドにどっと大の字になった。
「深雪に気軽にラブレターを出したのがそもそも間違いだった」
「祥子、深雪、直美達の結束があんなに固いものだったとは」
「しかも、どうやら直美は密かに僕に憧れていたようだ」
「祥子もちょっと前は僕に気があったようだし...」
「なんで僕はこうもてるんだろうか。悩んでしまう...」
「いやいやそんな甘いことを考えている場合ではない」
「直美は自殺しかけたし、深雪の周りには得体の知れない連中がくっついている」
「僕が態度をはっきりさせないと、この小説は終わらないぞ」
「うちのママゴンは深雪の母親と大喧嘩したみたいだし」
「本当に僕はどうしたらいいんだろう。オンラインでは考えるのがしんどいな」
「派手〜地味という点では、祥子>深雪>なおみの順だろうか」
「祥子は顔もいいし、一番セクシーだな。あー、むらむら」
「でも、あの子は浮気っぽいから、そもそも浮気っぽい僕と付き合ったりしたら
不安定この上ないな」
「深雪は胸がないが、一番程よいというか、僕としては妥当な選択だと思ったのだが」
「しかし、あんなに周りがややこしいとは思わなかった」
「しかも親どおしが大喧嘩。ロミオとジュリエットかこれは」
「二人で心中...いやだ!まだ死にたくない」
「直美、ああいう地味目な子が危ない。思い込んだら徹底的に追い掛けてくる」
「自殺のそぶり、あれで相当僕の行動が影響されてしまった」
健作は気分が悪くなってきた。どうころんでも地獄ではないかこれは。
台所へ行って冷蔵庫のワインをくすねる。
トイレにいってから、取り敢えずワインを目茶苦茶に飲んだ。
これでは中年サラリーマンが職場のストレスを解消するのと余り変わらないなとか
思いながら。
当然健作は酔い潰れて寝てしまった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「健作さーん。好きよ」
「祥子、もう止めてくれ。もうまとわりつくなよ」
「私もよ。健作さーん」
「おお、深雪、くるしゅうない」
「じーーーーーーーー」
「な、直美、そんなに俺を見つめるなよ。あんまり俺に惚れるなよ」
「健作さーーーーーーん!」
「うわーーーーーーーーー」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
健作は夢から醒めた。
「いっ、いかん。夢にまであの3人が」
「これでは僕はどうにかなってしまいそうだ」
「くそーーーー。こうなったら決着をつけてやる」
健作は廊下に這い出ると、電話機を取り、ダイヤルを回した。
「ガチャ、もしもし」
「もしもし、祥子?鈴木です。明日ちょっと話たいことがあるので、祥子さんと
深雪さんと、直美さんの3人で放課後「夢時堂」へきてもらいたいんだけど」
「ええ?それどういうことですか?」
「来てもらえれば判ると思うよ。それじゃ」
「ガチャ」
一番電話しやすい祥子にしてしまった。
健作はここで、小説も終わりにもっていかなければと、どうも一気に片をつけるつもり
らしい。しかし、その結果については、次の作者が考えるわけで、
いったいどうなることやら。
読者、といってもたいしているとは思えないが、読者はどのような結末を望んで
いるのであろうか。
3人を前に、健作はあえなくつるしあげにあってしまうのか。
酔った勢いで健作も作者も一気につっぱしってしまったようだ。あーあ。
つづく