AWC 『秋本骨つぎ堂の逆襲』(インタビュー)88・2・15


        
#783/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (FXG     )  88/ 2/17  23:52  (100)
『秋本骨つぎ堂の逆襲』(インタビュー)88・2・15
★内容
この度、好評のうちに本格的スタートをきりました秋本氏の『秋本骨つぎ堂の逆襲』
本日は、連載開始にあたっての秋本氏の抱負と今後の展開などにつきまして、氏の作
品「暗闇と酒と女の独り言」に登場していただいた白石加代子さんにお話を伺っても
らいます。

「今晩は、先生。おひさしぶりです」
「いや、その先生はやめて貰えますか」
「すみません。では・・秋本さん!(笑い)早速ですけど、今回、今までの秋本文体
ともいえる秋本さん独特の語り口をおやめになっての連載開始なのですけど、一体ど
ういう訳でそのようなことをなさろうと思われたのでしょうか。まずは、その辺りか
らお伺いしたいと思いますが」
「そうですね。あっと、その前に枕のところに(好評のうちにスタート)と書いてあ
りますけど、ホントなんでしょうか(笑い)」
「わたしもよくは存じあげないんですけど・・(笑い)」
「まあ、いいでしょう。では文体のことなんですけど。そのことはプロローグの文体
について考えるというので、そこに書いてはあるんですが。このAWCに参加するよ
うになってから半年ちょっとたち、まあ、云うなればここらでマンネリを打破しよう
という一つの気分転換みたいなものと思っていただければよいかと思います」
「あの」
「はい?」
「そのようなことは書いてなかったように記憶しますが。それに骨つぎ堂さんのお話
によると、何やら女性におモテになりたいからとか」
「あああっ。あなた、あれ読んだんですか」
「はい。一応勉強してまいりました」
「ひどいなあ。それに骨つぎ堂さんにもお会いになったんですか」
「ええ、昨夜」
「わあっ。じゃあ、あなたを指名するんじゃなかった(笑い)」
「いえ、わたしは大変光栄に思っております(笑い)」
「まいったなあ。でも、あなたぐらいなんですよね。わたしの書いた中でまともな人
は(笑い)おわかりでしょ。あとは酔っぱらいのおっちゃんとか、やたらわめき散ら
す女の子とか。頭のワルイ小学生とか。困ったものです」
「でも、あれでしょ。秋本さんはあの酔っぱらいのオジサンが大変お好きみたいに感
じられるのですけど。違います?」
「ううん。まあ、よく出てはもらってますけど。好きというんじゃなくて書きやすい
んですよね。ただ酔っぱらってさえいてもらえば話が進む(笑い)」
「わたしも酔っぱらってましたけど(笑い)」
「あれはまた別です。あの時は話の都合上、そういう設定にしただけのことでシラフ
の貴方がステキな人であることはわかってましたから」
「では、前回のウォークマンの話では、大変素直な方が登場しておられましたが、あ
れは秋本さん御自身のことなんですか?」
「あっ、何だか。話をキツイところばかりに持っていきますね。はじめと違って随分
喋り方も変わってきましたし(笑い)」
「そうでござりまするか(笑い)」
「いや、大した人だアナタは。こんな人とは知らなかった」
「じゃあ、今度はお笑いに出させていただきます?」
「考えておきます(笑い)」
「では、あらためてお訊きしますけど、私にしたって、あの酔っぱらいのおじさんに
したって結局は秋本さんの書かれる脚本どおりに性格づくりをしているに過ぎないん
ですけど。ということは、つまり私も酔っぱらいのおじさんも、山本さんも皆、同じ
穴のムジナということになります。その辺と今度のエッセイに自ら登場なさる秋本さ
んとの違いといいますか、そこのところはどういう風に対処していかれるおつもりな
んでしょうか」
「おおっ。いきなり本題に入ってきました(笑い)しかし、あなたが同じ穴のムジナ
なんておっしゃると何か違和感がありますね」
「すみません。ここのところは大事だと思ってメモしてきたものですから」
「あっ、そうか、それで。よくあるんですよね。書いてまとめたものを、そのままし
ゃべると話がギクシャクしてしまうということが。あなたはマジメな人だから」
「それはつまり、秋本さん御自身が真面目な方だということですね」
「ああ、まあそうですね。そういう部分もあるということですね。このエッセイに出
てくるわたしにしたって、実は私自身であっても、私そのものではない。私の分身な
訳です」
「ということは秋本さんも脚本によって演じておられるということなんですか?」
「いえ、そうではありません。これはエッセイであって、フィクションではありませ
ん。ですから演じることはありません。ただ脚色はあります」
「といいますと」
「全体のトーンですね。色調を整えるために、例えば、お笑いならそれらしく少しオ
ーバーに驚くとか、悲しい話ならホントは涙ぐんだぐらいなのに、涙が頬を伝わって
落ちたとか。そんなことですね。ですから自分で勝手に登場人物をつくりだすとか、
やってもいないことをやったように書くことはできません。そこは作品とは全く違っ
ています。ただし、やったことでも、それを書かないことはあります。そこのところ
は認めていただきたい。エッセイとは云っても、懺悔ではないのですから」
「あ、じゃあ、実際は彼女に何かなさったとか(笑い)」
「とんでもない人ですね、あなたは。まるで骨つぎ堂さんだ」
「同じ穴のムジナですから(笑い)」
「そんなことはないんです。彼女とはナーンモありません。正直なところ何にもない
から書けたのであって、何かあったら、とても書けない。実際まだ現実に生きて生活
している人なんですから。といっても、あれから私はというか本名の方の私ですけど、
私はそれから間もなくして、その職場を去っているわけですし」
「今、本名の方の私とおっしゃいましたが、秋本というのは本名じゃないんですか?」
「あっ、知りませんでした?そうか。知らないですよね。知ってるのはメガネさんと
COTTENさんくらいですか、あ、あともう一人いらっしゃる。私の本名を御存知
のミナサーン!賞品はまだついてませんよおー!と叫んでみたりして。歯歯歯!」
「あっとうとう歯歯歯!が出ました。今のはつまり本名のほうの方の言葉ということ
なんでしょうか」
「困りましたね。複雑になるから本名のほうの方は出したくなかったんですけど。そ
れに残りの行数もなくなってきましたし。じゃあ、最後にパパパと云ってしまいます
と、秋本というのはペンネームみたいなものとお考えください。御存知の通り、一人
でいくつかのペンネームを使う方もいらっしやいます。つまりは、すでにこの時点で
脚色がなされているわけです。お笑いの方でもいつでも、お笑いに通ずるような生活
ばかりなさっているわけではありませんしね。それから秋本ですけど、御存知の通り
この名で「フレッシュ・ボイス」の方へも出ているわけです。あの歯歯歯!男として
ですね。それに今回のウォークマンの秋本。この人は僕なんて自分のことを呼ぶ秋本
です。それらをひっくるめて全部が本名の私自身であるわけです。ですから、今後の
この『秋本骨つぎ堂の逆襲』のことでも云えるのですけど、また別の雰囲気の秋本が
出てくる可能性は充分にあるわけです。本当はひとつに絞りたいのですが、まだどの
ようになるか決めかねている状況です。「フレッシュ・ボイス」の書き方を変えよう
としたのも、実は歯歯歯!の秋本を引っ込めて、別のを出そうとした試みだったので
すが、なんだかまた元にもどりそうです。あの歯歯歯!男は問題が多いんですよね、
実際。おっと。99行です。では最後に白石さんどうぞ。きれいな方ですホント」
「本日はどうも、ありがとうございました。益々のご活躍を期待しております」




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