#2008/3582 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 21/11/19 19:54 ( 24)
本の感想>『宋の検屍官』 永山
★内容
・『宋の検屍官』(川田弥一郎 祥伝社)16/5451
芝居小屋で人気の美女が急死する。調べても死因が分からないが妊娠しており、妊婦
によくある突然死かと思われたが(紅油傘)。裕福な家の夫人がほぼ全裸で屋敷の梁か
ら吊り下げられた状態で死んでいた。身体中に傷があったが、死因は窒息、しかも首に
は絞め跡がないという奇妙なことに(懸垂婦)。酒楼で妓女同士が激しい喧嘩となり、
片方が死亡。死因は頭部打撲とみられた。が、二人は普段から不仲でよく諍いを起こす
も、今回に限って体格に優る方がやられて死んでしまった(五色光)。
中国は宋の時代を舞台に、当時の世界最先端の法医学をもって、数々の変死事件に当
たる検屍ミステリ連作短編集。
絶版本だったのが、とあることがきっかけで一部で有名になり、それ故なのかどうか
は分かりませんが電子書籍として復刊されたもの(私は図書館から借りて読みました
)。
作者は江戸川乱歩賞作家であり、お医者さんでもあるとのことで、推理物としての構
成や遺体の描写はお手の物といった感があります。宋の時代にこれだけ検屍で色々分か
るというのも、驚くべきことで興味深かった。
ストーリーはミステリらしくちょっとした捻りを入れるために、作中の検屍官は腕が
立つのにミスもするということにせざるを得ないのか、やや矛盾を抱えているような。
途中で主人公が転勤して、部下が代わるのは面白いんだけど、どういう意図があって
のことなんだろう? レギュラーキャラの女性の最後のお願いというのが何だったの
か、まだ明かされないまま、この巻は終わってしまった。続編があるのかしらん? 軽
く調べただけでは分からなかった。
ではでは。