#130/3592 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 17/07/02 20:22 ( 26)
紙の配剤 永山
★内容
WOWOWのドラマ「社長室の冬」最終回を録画視聴。ネタバレ注意です。
どうなんだろう、楽しめたことは楽しめたけれど、最後に来て随分と強引な展開で話
を畳んだ気もする。
AMCジャパン・青井の日本新報買収は、日本新報創業家の策略により失敗に終わる
――この流れはいいんだけれど、たった一社、それも怪しげなサイトが報じたフェイク
ニュースによって、世論がAMCジャパンに対して逆風になり、買収をあきらめるとい
うのは単純すぎやしないか。嘘のニュースで大事になるのはあり得るでしょうけど、ド
ラマで描かれたのは、AMCジャパンがしてもいない記者会見を、さもしたかのように
報じるというフェイクニュースで、簡単に嘘とばれる類のもの。いくら何でも、この程
度で世間の風向きが変わったまま確定してしまうのは、納得しがたい。
新聞の完全ネット移行・紙発行全廃を掲げる青井が外出しているとき、小耳に挟んだ
ニュースを、モバイル端末で確認する場面がないのは違和感がある。青井がネットをフ
ルに活用しないのは、新聞紙の存在意義を示す一種の皮肉なのかしらん? よく分から
んです。
経営難を、同系列のテレビ局との提携で乗り切ろうとした日本新報だったが、経営は
悪化の一途を辿り、一年後には大幅なリストラを断行。社員の雇用確保を約束していた
AMCジャパンとの話をまとめていれば、こんなことにはならなかったのに。一方、買
収に失敗した青井もAMCを追われ、無職の身に。勝者が誰もいない結末を迎える、と
いうのはハッピーエンドではないけれど、なかなかよい趣向だと思いました。そして最
後に挿入された、中国企業が青井を呼び、AMCの買収を依頼するシーンは、転んでも
ただでは起きないどころか、逆襲の機会を得た青井がどんな手に出るのか期待を持たせ
る終わり方で、にやり。
てことで、物語の結構はよかったと感じた反面、キーポイントでの処理を急ぎすぎた
印象が強い作品でした。
ではでは。