#257/566 ●短編
★タイトル (dan ) 04/12/29 06:11 ( 38)
津波 談知
★内容
TUNAMIといえば桑田佳祐の名曲だが、インドネシア、タイ、
スリランカ、インドを襲った津波はそんな悠長なものではない。テ
レビでみた津波が海岸に押し寄せている映像は、本当にぞっとする
ほどの怖さである。
今回よく名前がでてくるタイのリゾートプケット島は、ワタシは
行ったことはないが、でも昔からよく名前のきくところである。
ワタシが初めてタイにいった30年近く前、プケットなど誰もし
らなかった。日本でその名前を聞いたことなかった。ひょっとした
ら旅行ガイドなどにはすでに書かれていたのかもしれないが、よく
旅するワタシの周りのひとでも、そんな島のことを知っているひと
はいなかった。
バンコクの安宿でワタシはその名前を初めて聞いたのだった。何
でももともとはヒッピーたちが行っていたところだそうだ。ヒッピ
ーたち相手の安宿ができて、それで外国人旅行者に知られだし、そ
のうちだんだん中級ホテル、高級ホテルと建っていったものらしい。
ワタシがプケットを知ったころは、宿の値段も高くなり、なによ
り一般旅行者が来ることで俗化したというような話で、もともとの
ヒッピー旅行者はいかなくなっていた。その代わりにサムイ島など
のほうにいくようになっていた。
そのプケットが津波にあって大被害である。ひとも大勢死んでい
る。痛ましいことである。
ひとというのは、遠くの災害などたいして関心がないものである。
遠くで何万人死ぬより、自分が怪我するほうが重大な問題なのだ。
それはやはり自分と関係ないという感じがあるからだろう。遠くの
外国のひとが死んでも、実感がわかない。ニュースを聞いても、あ
あそうか、でしまいである。そんなもんだ。
でもそこへいったことがあると話は違う。そこであれこれ話した
ひとがいる。親切にしてくれたひとがいる。そのひとたちが被害に
あったのだと思うと、ぜんぜん違ってくる。ワタシは今回被害があ
ったなかで、タイとインドに行っている。そこで知り合いになった
ひともいる。関係ないひとが死んだのではなく、あのひとたちが死
んだのだと思える。それだけに、津波の被害を実感する。
今回の津波では、日本人も多数死んでいる。旅行会社を通じての
パック旅行のひとだけでなく、今は個人旅行のひとも大勢いるはず
だ。そのひとたちがどうなっているかも心配だ。
亡くなったひとたちの冥福を祈るとともに、早急に救援の手をさ
しのべてほしいと思う。ワタシもささやかながら、救援の募金をす
るつもりだ。