#205/569 ●短編
★タイトル (dan ) 04/11/01 09:01 ( 47)
赤毛のアンについて 談知
★内容
ワタシが初めて買った文庫本はSFだったと思う。小学6年生く
らいではないか。そしてその次くらいに買った文庫本が「赤毛のア
ン」だった。岡村花子訳の新潮文庫。何でそんな少女小説を買った
のか。実は小学生の男子のくせして、ワタシはけっこうそんな少女
小説が好きだったのだ。秘密の花園とか若草物語だとか少女ポリア
ンナだとか、そんな感じの少女小説を学校の図書館で借りて読んで
いた。たぶん赤毛のアンも借りて読んでいたはずだが、それは子供
向けの抄訳で読んだはずで、もっとちゃんとしたものを読みたいと
思っていたのかもしれない。
新潮文庫の「赤毛のアン」を読んで、たちまちワタシはアンに引
きつけられた。一気に読んだのじゃないか。アンのどこに引きつけ
られたのか。たぶんアンの行動考え方がワタシ好みであったのだろ
う。うじうじして決断力がなく、ほとんどうすのろといっていいよ
うな当時のワタシにとって、アンの果断な行動力、はっきりものを
いう表現力、どれをとっても好ましい人間だったと思う。こんな感
じの子が好き。やっとワタシは自分の好きなタイプの女の子を見つ
けた感じだった。
この好みは今にいたるまで続いている。はきはきものを言うはっ
きりしたタイプが好きである。外向的で活動的、プラス思考で悩み
などないみたいなひとが好きなのだ。うじうじ考え込む、はっきり
しないひとは、どうも好みでない。おそらくワタシ自身がそういう
タイプだからだろう。また少女小説が好きということから分かるよ
うに、ワタシはたぶんに女性的要素が多い男である。だからいわゆ
る女性的なひとは苦手である。ぽきぽきしてさっぱりした男性的な
女性が好みなのだ。
だから今にいたるも、アンがワタシの理想の女性みたいになって
いる。考えてみると、今まで恋人にした女性は多い少ないはあるに
しろ、アンみたいな性格の女性ばかりだった。そういう意味では、
ワタシの好みは小学生からずっと一貫している。
赤毛のアンの続編、アンの青春、アンの幸福、と続いていくわけ
だが、あとになるほど、アンがおとなしくなっていく。自分を主張
するのではなく、周りに合わせていくようになっていく。あのアン
の特徴が薄れていく。それだけアンとしての魅力がなくなっていく
わけだが、これもワタシはそう嫌いではない。確かにそれはフェミ
ニズムの立場からすると後退だろう。女性として自分を主張しなく
なっていくわけだから。しかし、ひとりの女性の成長の物語とする
と、それはありかなとも思う。小さい頃活発でおてんばだった少女
が、大人になっておだやかな性格になる。確かに牙を抜かれたとも
いえるが、大人に成長したともいえる。ワタシはアンは成長して大
人になったのだと思っている。だからアンの物語は、教養小説だと
思っている。少女が大人になる物語。単に体が大人になるだけでな
く、その精神が大人になっていく物語だと思っている。
ワタシは赤毛のアンの全集を3セット持っている。各社からでて
いるものを次々買っていったらそうなった。そしてそれを定期的に
読み返している。いつ読んでも喜びがある。ワタシの好きな女性が
そこにいる。これからもずっと赤毛のアンとともに生きていくのだ
ろうと思う。