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★タイトル (AZA ) 15/05/26 22:34 ( 31)
本の感想>『双孔堂の殺人』 永山
★内容
・『双孔堂の殺人』(周木律 講談社ノベルス)10/3331
天才建築家・驫木が、湖畔に建てた双孔堂(ダブルトーラス)。それは巨大
な鍵を重ねたような形をしていた。建物の所有者は、謎に包まれた数学者・降
脇。
警視庁の刑事・宮司は妹に懇願され、放浪の数学者・十和田のサインをもら
うために、休みを利して双孔堂を訪れる。十和田が双孔堂に滞在しているとの
情報を妹が聞きつけたのだ。が、そこで彼を待ち受けていたのは、同時発生し
た二つの密室殺人だった。しかも、十和田が殺人犯として逮捕され、犯行を認
めているのだという。
第四十七回メフィスト賞受賞作の続編。
※そこそこネタバレ注意です
うーん。決してよい出来とは言えないシリーズ第一作よりも、さらに落ちる
感じだなあ。
ミステリにおける謎の提示が、今回はいまいちだった。もっと不可思議さを
クロースアップして、印象づけてくれれば、もう少しよい感想を抱けたかもし
れません。ただ、物語自体は単調だし、伏線の拾い方は乱暴だし、文章も明ら
かに劣化しているように思えたし、多少の手直しでは厳しいか。
名探偵が犯人として逮捕され、しかも探偵自身も認めているというのは珍し
い設定で期待したんですが、尻すぼみに終わってしまい残念。頻出する数学ネ
タは煙に巻こうとしているだけで、事件の本質とはあんまり関係ない気が。テ
ーマを表そうとするのなら、星の王子様だけで事足りる。
事件が解決したあとに描かれるシーンは、探偵vs犯人の構図が続くことを
宣言しているようだけど、特撮ヒーロー物の匂いが少し漂ってて、浮いている。
今後レギュラー陣になるであろうキャラクターに、何らかの秘密があるという
のも含めて。
あと、探偵が真相を推理し得た時点で、真っ先に考えるべきは館から消えた
人物についてだと思うんだけれども、関係者を前にしての謎解き披露の後回し
になっているのは、変な気がしたです。
ではでは。