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★タイトル (AZA ) 12/08/10 21:21 ( 24)
本の感想>『砂の城の殺人』 永山
★内容
・『砂の城の殺人』(谷原秋桜子 創元推理文庫)14/5441
高校生の倉西美波は、海外で行方不明になった父を捜す旅費を貯めるため、
相も変わらず、割のいいバイトを追い求める日々。冬休み前、ひょんな成り行
きから、廃墟専門カメラマン瑞姫の助手を務めることになる。その二日目、向
かった先は瑞姫自身に縁のある古い家屋で、昔、瑞姫の母親が失踪した現場だ
という。瑞姫は「今日は母に会える気がする」という予感から、ここに来たら
しいが……果たして、砂上の楼閣のように崩れ去りそうなその家を調べてみる
と、ミイラ化した死体が見付かった。
青春ミステリ第三弾。
前作ではやや落ちたかなと思いましたが、持ち直した。本格ミステリらしい
道具立てやトリックに、サービス精神を感じます。一筋縄で行かない真相は、
懲りすぎな気がしないでもないけれど、これも読者をもてなす心意気かと。
不満を述べると――道具立てやトリックは面白いのだけれど、見せ方が今ひ
とつかなあ。手掛かりのひっくり返し方にしても、悪くはないものの、決め付
けというか後出し的なずるさを感じなくもなし。凝っている割に、登場人物が
少ないため、犯人が誰かという興味は薄いし。
キャラクター面に関わるストーリーでは、今回、大きな進展あり。この分だ
と、いずれ海外冒険譚的な本格ミステリもあり得る?
ともあれ、作者の軸足は本格ミステリにあると思うので、この路線で続けて
いってほしい。ライトノベルの仮面を被った本格ミステリ。ライトノベルが本
格ミステリになろうとしたんじゃなく、芯はあくまで本格ミステリ。
ではでは。