AWC 語尾裁く   永山


        
#7751/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  13/05/31  21:25  ( 31)
語尾裁く   永山
★内容
 小説で描くのが一番難しいキャラクターって何だろう。
 年齢でカテゴライズするなら、老人と子供だろう。子供はまだ自分がかつて
子供だった経験がある分、どうにかなる余地はある。時代の変化を加味しなけ
ればいけないけれども。
 老人はどうか。自身の経験のあるなしとは関係なく、老人らしいキャラクタ
ーを描出するのって、かなりの腕が必要な気がする。私は多分、年老いてから
も話すときは一人称「僕」を使いそうだけれども、これをそのまま文章に起こ
しても、読者には老人キャラとは受け取ってもらえまい。
 語尾に「じゃよ」でも付ければ、老人と分かってもらえるでしょうけれど、
下手にやるとギャグになってしまう。何しろ、実際に「じゃよ」などと言って
る人、ほとんどいないのだから。

 経験がないと言えば、男なら女、女なら男の経験が(普通なら)ない訳で。
 昔々の小説なら、女性キャラクターには語尾に「だわ」「わよ」を付ければ
いいって感じがなきにしもあらずでしたが、今日ではそう簡単にはいかない。
「だわ」「わよ」も個性の一つとして存在しつつ、より多様な女性キャラを描
けるのが理想。

 とっちらかるが、話を子供に戻す。
 子供のしゃべり、これも台詞に書くとかなり難しい。テレビのニュースなど
で子供へインタビューすることがあるけれど、あれを聞いたまま文にしても、
子供か大人かの判断は付かない場合があり得る。それだけ、大人びた言い回し
をする子供が増えたのか、テレビカメラの前だとかしこまるのか。
 じゃあ、普段の会話を文章に起こせば済むのかというと、そうしてもいかに
もな台詞にはならないと思う。子供らしさを云々する以前に、会話の台詞とし
て不完全さの目立つものなる気がする。小説の結構が念頭にあると、整理した
くなるもの。整理によって、子供らしさが大なり小なり損なわれるのは仕方が
ない。上手に整理するのが作家の腕の見せ所なのだと捉え、まだまだ勉強しな
いといけないなと感じる今日この頃。

 ではでは。




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