#2396/5495 長編
★タイトル (ZBF ) 93/11/25 4:34 (118)
一遍房智真 魔退治遊行 河童 西方 狗梓
★内容
一遍房智真 魔退治遊行−河童− 西方 狗梓:Q-Saku/Mode of Fantasy
「おじちゃん、遊ぼ」松明の明かりに、十歳ばかりの少年が二人、浮かび上がる。
川で水遊びでもしていたのか、華奢な全裸が濡れている。
「暗くなって遊んでいると、狐に化かされるぞ。早く帰れ」
「おじちゃん、旅の人でしょ。今晩泊めてあげるから、一番だけ相撲とってよ」
仕方なく男は背負った荷物を脇に下ろし、子供たちの前に立った。組んだ。軽く
相手にする積もりだったが、子供はビクともしない。幼い忍び笑いとともに生臭
い臭いが少年から立ち昇ってくる。
「か、河童かっ」男は叫ぶと同時に二間ばかりも投げ飛ばされた。慌てて立ち上
がろうとする背中をドンと突かれ、無様に四つん這いになる。
「天二、おじちゃんが騒がないように口を塞ぎな」少年は済ました声で相棒に命
じる。男は四つん這いの侭、頭を掴まれ持ち上げられる。少年の痩せた腹部が見
える。生白い。焦点が手前にずれる。男は息を呑んだ。そこには、一尺ほどにも
膨張した魔羅が脈打ち、そそり立っていた。悲鳴を上げようとする、その口に悪
臭を放つ魔羅が押し込まれる。背後に回った少年が男の尻を裸にする。ヌメヌメ
とした濡れた指が、陰間を探る。
「このおじちゃん元気が良いから大きな尻子玉は取れるよ」少年はニコやかに相
棒に声を懸ける。男の口に送抽を繰り返している相棒は呼吸を荒げ、
「どうでも良いから取っちまいなよ」相棒の声にニタリと応じた少年は、ゆっく
りと指を、そして拳を、打ち震える尻に挿し入れていく。
深々と押し込まれた腕が引き抜かれる。男の肢体が痙攣する。少年がアドケな
く叫び、果てる。
一遍の一行が村を通りかかると、人だかりがしていた。ズブ濡れになった全裸
の男が横たわっている。問えば、川に浮かんでいた溺死体だという。村に見知っ
た者はいない。旅人らしい。とはいえ川は深さ一尺ほど、溺れ死ぬには浅すぎる。
不審に思った一遍は、男の尻を割る。ジッと見つめて、
「肛門が開いておる。尻子玉を取られたらしい」一遍の言葉に集まった村人がザ
ワめく。
「ここらに河童が棲んでおるのか」一遍の問いに群衆は顔を見合わせていたが、
身なりの良い老人が進み出て、
「居るには居りますが、このような悪さは今まで一度も……」河童には幾通りも
種族がある。手長猿から進化した種、スッポンから進化した種、川獺から進化し
た種など。川獺から進化した種は猿に弱い。スッポンから進化した種は尻子玉を
食う。手長猿から進化した種は腕の長さを二倍まで自在に収縮できる。それぞれ
特徴があるが、この村近くに現れるのは天一、天二と名乗る兄弟の河童だ。狸か
ら進化したらしく、人を化かして幻惑することはあっても今まで平和に共存して
きた。丈四尺ぐらい、丸顔で少し口が尖り狸の面影を残している。頭に皿はない
が、体はいつも濡れている。老人の説明が終わると、いままで蒼ざめた顔で口を
噤んでいた若い男が、
「あいつら、変だった」。突然の声に驚いた老人が続きを促すと、男は暫く俯い
ていたが意を決したように顔を上げ、早口に言葉を吐き出していった。
「ありゃ天一と天二だった。確かだよ。間違えっこねぇ。俺、子供の頃から奴ら
と遊んでたんだ。ゆうべ、山の小屋から帰る時、見たんだ。この男が四つん這
いになって口に一尺もありそうな魔羅を押し込まれて、尻に腕を突っ込まれて
……。あいつら変だった。ニタニタ笑いながら何か叫んでた。俺、恐くなって
逃げ出した。いや、あいつらは天一と天二なんかじゃなかった。だいたい奴ら
には魔羅は無ぇんだ。臍だって無いぐらいだ。な、みんな、天一と天二が、そ
んな悪さするワケないだろ」男は興奮し混乱していた。一遍は考え込んだ。天
一、天二とかいう河童は、魔に憑かれているらしい。
茂みの中から円らな瞳が覗いていた。天二だった。天二は凝っと見知らぬ少女
を見つめていた。日に焼けた滑らかな肌に白い法衣が際立っている。超二と呼ば
れる少女を見つめながら天二は屹立した魔羅をしごいた。落ち着き払い薄く笑み
を浮かべる少女が陵辱と殺戮に晒される。天二の亀頭から透明な液がネバネバと
漏れ出てくる。見つめる目が熱気を帯びる。しごく手の動きが加速する。
天二は昼間に見かけた少女/超二を目指していた。旅の僧の一行なら名主の館
に泊まっている筈だ。天二は己に陵辱され泣き喚く少女の姿を妄想し、勃起して
いた。欲望を満たした後、腕を突っ込んで尻子玉を奪う。まだイタイケな少女だ
から、裂けるかもしれない。苦痛に歪み震える唇、固く閉じ濡れた目、幼く甲高
い断末魔の叫び。天二は独りニタリと笑う。先を急いだ。
村の入り口辺りまで来たとき、新月の闇に薄っすら小さな影が佇んでいた。目
を凝らす。白い法衣を着ているようだ。超二だった。天二は驚いたが、館から拐
う手間が省けたと喜び、近付いていった。超二も天二に向かって歩いてきていた。
「遊ぼ」超二が先に声をかけた。
「あ、う、うん」無邪気な声に毒気を抜かれた。
「何して遊ぼうかぁ」
「す、相撲でも……」
「ダメよ。アタシ男の子じゃないんだから。そうだわ、フンフンをしましょう」
「フンフン?」
「お父さまととお母さまが、してるコトよ」悪戯っぽくマセた口調で言う。
「そ、そんな……」天二は混乱していた。
「嫌?」超二は上目遣いになる。
「嫌じゃないけどぉ……」天二は顔をそむけ超二を盗み見る。
「じゃ、しましょ」超二が一歩進む。気圧されして天二が後ずさる。薄ら笑いを
浮かべた超二が、立てた中指を真っ直ぐに超二に向ける。天二の肉体が急に強張
り、震えながら崩れ落ちる。
「な、何をしたっ」
「動けないでしょ」超二は天二を足蹴にする。仰向けにしてスイと掌を翳す。萎
えていた男根が屹立し脈打つ。その上へ薄く微笑んだ侭、超二が腰を下ろす。天
二を見下ろしながら、ペロリと舌舐めずり。結合している部分から、淫らに粘る
音が漏れてくる。
「うっうううっっ」天二が目を見開き苦しげに呻く。肢体は強張り痙攣している。
激しく波打つ天二の薄い胸に超二は白い手を這わせながら、
「放ちなさい、すべてを。ほほほっほほほほほほほ」
「うぎゃああっっっ」
天一はミイラを抱き締めていた。青黒く、ひからびきった天二の躯だった。
「ちくしょうっ、ど、どうしてこんな酷い……」震える頬に涙が伝っている。
「いたぞっ、天一だっ」村人たちが殺到する。天一は驚き逃げようとする。天二
の躯を抱き上げ駆け出す。村人たちが追い縋る。差が縮まる。一人が鍬を振り上
げる。殺気を感じた天一が振り返る。打ち下ろされる。
「うぎゃああっっ」肩を割られた天一が、のけぞり倒れる。村人たちが取り囲む。
「うぐっ、ぐわああっっ」天一は肩を押さえ痙攣し身悶える。足蹴にされ棒で打
ち据えられる。天二の躯を庇うように抱え込み苦痛に喚く。突然一人の村人が制
止する。目をギラつかせダラシない笑いを浮かべている。
「待て、俺に考えがある」男はしゃがみこみ両手で天一の白く小さい尻を揉む。
「なぁコイツの尻子玉とかってぇのは如何なもんだと思う」男はニヤつきながら
皆を見回す。村人たちはゴクリと喉を鳴らし、無言のまま男の行為を肯定した。
「やっやめろっやめてくれっ」天一が怯えきった目を振り向ける。
「ぐふっぐひひひひひひ」男は指を舐めながら卑しい笑いを浮かべる。
「はうっくううっっ」天一は目を固く綴じワナナく。男の節くれだった指がメリ
込んでいく。一本二本と押し開きながら送抽を繰り返す。
「ぎうっうぐううっ」天一は頬を濡らし天二の躯にしがみついている。
「くくっくくくくくくく」男は遂に手首まで突き入れた。
「何をしている。やめろっ、やめるんだ、みんな」遠目に見咎めた一遍が叫びな
がら駆けてくる。
「ぐっぎゃああああああああっっっっ」男の腕が乱暴に引き抜かれると同時に、
天一の華奢な肢体はビクリと大きく痙攣し、のけぞった。ガックリと脱力し、動
かなくなった。男の手には直径二寸ばかりの血に塗れた玉が握られていた。
「うわははははははははは」村人たちは大きな笑いをあげた。
一遍は絶句した。村人たちは無邪気に、しかし卑しく笑い合っている。見下ろ
す。天一が苦痛を表情に残したまま、天二のミイラと重なって事切れている。合
掌する。興奮し笑い続ける村人たちを背に、立ち去る。
(つづく)