AWC 「ハピエストランド」その5 ひとときのユートピア


        
#2239/5495 長編
★タイトル (GKE     )  93/ 7/27  20:22  (158)
「ハピエストランド」その5 ひとときのユートピア
★内容

Y (守護霊のアドバイス) 16

      {閑静な一人部屋、書庫には色んなジャンルの本がびっしり、ゆっ
       たりとしたソファー、机の上にはやはりパソコンが置いて有る}
  「なかなか良い部屋だ、何だか自分の部屋へ帰ったみたいだ、とても落着け
   る。 守護霊さん、この思考ワールドにもパソコンは必要なのですか、何
   だか妙に感じますが」
                                             {守護霊、にっこり笑って}
 貴方の言う通り本来この思考ワールドにパソコンは必要ありません。 此処か
ら普段の地球上の貴方へ、より良いインスピレーションを送る為、貴方が使って
いるパソコンと同じ物を私が意志力で作り出した物です。 このパソコンのキー
を押してご覧なさい! 貴方の指はすり抜けることなくタッチ出来ます。 丁度
今貴方が立っているフロアーを貴方が実態在るものとしてしっかり踏みしめてい
るように、念いにより作り出された物は全て地球上の物質と同じに実態在るもの
として固定化しています。 思考ワールドといっても、其処に在るものは決して
霞やクラゲのようなフワフワした物ではないのです。
  「トレーニング室で悩味喰さんは、この私でも想ったものを自由に作り出せ
   るというような事を言っておられましたが、出来ればその方法を教えて頂
   けませんか」
  そういった念力の修行ばかりやっている”仙人村”という所が在ります。 で
も私は今の貴方が直に其処に行く事には賛成しかねます。 貴方が身に付けよう
とする超能力は、誰の為なのでしょうか、何の為なのでしょうか? 今超能力者
となった貴方が地球上に戻って、その能力を何に使うのでしょうか? 他人を自
分に都合の良いようにコントロールしたいが為に、その能力が欲しいのではあり
ませんか? もしそうだとしたら、貴方が最終的に手に入れるものは孤独意外に
はありません。 その念いが愛から発していますか、愛無き処から発したものに
はいかほどの価値もありません。
 本来貴方は全く自由なのです。 この自由な私こそが貴方の本体である事を思
い出して下さい。 その本来自由な貴方がこれまで、わざわざ不自由な肉体を纏
い地球上に誕生した事実の、その訳を考えて下さい。 強き者が人助けをするの
はた易い、金持が寄付するのも容易、弱く、貧しく、不自由な者が、それでも行
う善行に大いなる価値を認めて貴方は地球上に生れ出たのです。
 世界で一番貴方を愛する私のアドバイス、どうか素直に受けて下さい。
  「分かりました、言っている事の意味は今一つ理解出来ていないように思わ
 れますが、今は無条件に守護霊さんの意見に従います」

Y (旅の基地) 17

 貴方はこのハピエストランドに入り、取敢えず簡単ではあるけれども、まず
        自分自身を見つめました。   そして漠然とではあるが、
        究極の幸せと言える目標を見つけました。
 そしてどうしても学んでおかなければならない最低知識として、こんどは
        他人について         知る必要が在ります。
 そして貴方が知るべき他人は、この世界の肉体を待たない他人ではなく、貴方
が暮していた世界の肉体有る他人でなければなりません。

 気が付かなかったかもしれませんが、貴方がインスターさんと尊者の聖域へ向かう時
一瞬見えたと思いますが、この空間は有限の空間ではなく無限の広がりを持った
空間であるのです。 此処から貴方は私のパソコンを通り地球上の全てのコンピ
ュータへ潜り込む事が出来ます。 そして其処から貴方はそのコンピュータの廻
りに居る人達の語る総ての会話はもちろんの事、其処に居る人達の一人一人の心
に浮んだ総ての想いが手に取るように解ります。
 次に行くべき所は貴方の勤める会社、貴方のオフィスでしょう。

        東大卒責任逃れの天才、何もしない        井上部長、
        ごますり専門、ニックキ上司           後藤課長、
        我等技術者の真のリーダー君の目標        佐々木係長
        なにかにつけ、ひねくれ者のハイミス先輩 広田嬢、
        親しい同僚                              土井、
        会社で一番飛切り美人、君の憧れ          美子さん、
        係長の悩みの種、無能社員の              村本君、

 これが今の君が彼らに張付けたレッテルですね。

         E    E E    E E    E E    E E    E E    E E    E
          E井上E E後藤E E佐々E E広田E E土井E E美子E E村本E
(顔写真)

 行くのは、月曜日の朝、時間は9時。
 私も一緒に行きます、そして今度は貴方が私を連れて行って下さい。 貴方の
事務所を想って下さい、日頃の貴方に意識を戻し、職場に居る自分に戻って下さ
い。 何時ものように朝9時に出勤しましょう。

Z (マイカンパニー) 18

               {事務所のパソコンの中、社長自慢の明るいオフィス、何時も
         の面々、何時もの朝の清々しい雰囲気が其処から見渡せる}
<土井>おはよう美子さん、今日はどうしたの元気ないみたい。
<美子>おはようございます、分かります! ッモウ広田さん私こわーい。 私
のこと眼の敵にしてるんですヨ。 「お茶当番なのに九時に来たんじゃ間に合わ
ないでしょ」ですって、頭に来ちゃう。 会社は9時始りって就業規則に書いて
あるのに、あの人なんだと思っているのかしら。課長も部長も九時に来れば良い
ですよって言ってくれるのに。 何で私があの人に言われなきゃならないのヨ。
<土井>そんなカリカリするなよ。 男が居ないとあんなに成るんだよ、美人の
    美子さん、ひがまれてるんだからしかたないよ。
    「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「
  「土井のやつうまく美子さんに取入ったな、女は美人だと褒められると、す
ぐ機嫌が治ってしまいますね。 広田さん皆に嫌われているんですよ早く辞めれ
ば良いのにって」
 でも広田さん一番に事務所に来てあの奇麗なお花飾ってたじゃないか。
  「誰にも相手にされないから一人でお花で慰めているんですよ。 それを誰
も褒めてくれないからって、美子さんに八つ当りするくらいならお花なんか飾ら
なければ良いんですよ、そんなの皆良い迷惑ですよ」
そう思うかい。
                                   {回りがスッと薄暗くなる}
  「そうですよ」
 君は広田さんの立場に立って考えてみた事があるかい?
  「そんなこと有るわけないですよ、あんなおばさんの立場なんか立ちたくな
   いですよ」
                                             {もう一段暗くなる}
 これはまた随分と嫌ったもんだね。 それで今の君は幸せだと思うかい。
  「いえ残念ながら、広田さん見ただけで気持ち悪いです。 あんな人居なく
   なっちぇば良いのに」
 広田さんが居るから君は不幸、だから広田さんが居なくなれば君は幸せ。 で
は君の幸せは広田さんに握られているわけだ。
  「・・・・そうですね!」
 という事は君は自力では幸せに成れないという事だ。
  「エッ・・・・そうですね」
 では幸せになりたい君はどうする、彼女を抹殺するのかね。
  「そんな事出来るわけないですよ。 だからしかたないから我慢してるんで
   す。 しょうがないですよ何処に行ったってひねくれ者は一人や二人居る
   もんですよ。 いちいち戦っていたんじゃ持ちませんよ、世の中はそんな
   もんです。 総てが自分の都合の良いようにはいかないんですよ」
 うまく理由付けして生きてるもんだね、なんとなく正論に聞えて来るから不思
議だ。
  「えっ、しょうがないでしょ、何処か間違えてますか?」
 間違えています。
  「・・・・・・」
  貴方が出してはいけない想い。 その1 [しょうがない]
 しょうがない で思考は止ります。 これは思考の打ち切りの思いです。
 幸せを追求する事を誓った貴方は、今後この思いを出しては行けません。
  「分かりました」
 では此処で誓って下さい、もう[しょうがない]の思いは使いませんと。
  「はい誓います。 でも気を付けていても又ふっと思いが湧いてしまう事だ
   って あるかもしれない」
 その時は気が付いた時点で直ちに反省しなさい、あっいけないと、そしてすぐ
考えるのです別の考え方は使えないものだろうかと。 では今回のしょうがない
を取外して早速考えてみて下さい。
  「・・・・・・・・・・・・・・分かりません」
 ではもう一度、一緒に貴方の考え方を一つ一つ点検してみましょう。
 @何処にでも嫌われ者やひねくれ者はいる      その通りです
 Aその人を排除したり、自分が逃げてもいられない  その通りです
  ではどうすれば良いか? たった一つだけ方法があります。
 貴方が変るという方法が。 おっとそんな逃腰にならないで、確かに広田さん
のケースだとそんなオーバーな問題ではないでしょう。 しかし貴方がこのソフ
トを手に取った理由の一つである、貴方の天敵、後藤課長についてだったらどう
でしょう、貴方がこの会社で意欲を持って働く為にはどうしても解決しておかな
ければならない問題でしょう。 今の貴方が後藤課長と真正面から対決したら心
が乱れ冷静な判断が出来なくなるでしょう。 それには広田さんのケースが丁度
良いのです、広田さんの問題が解決出来るなら、後藤課長についても解決が着く
可能性が半分開けたといって良いでしょう。
 「でも私が悪いわけではないんだから私は変えようがないですよ、彼女がひね
  くれているんだから彼女が変る以外に無いじゃないですか」
まさにそれも正論です、そしてやはり、でも彼女は変らないという事もまた、貴
方は知っていますね。 そして貴方は論理の迷路に入りこみ抜出せない。 たい
した問題ではない、あんな人は無視していれば良いんだ、と。 でも今日は解決す
る為にやって来たのです。 そしてこれは気がつけば簡単な事なのです。 気軽
にゲームだと思って考えて行きましょう。
 幸せへの道に向かって貴方が迷路から抜出すには
        相手の立場に立って向こうからこちらを見る、 必要があります。
 そしてその為には貴方に
        相手を理解するだけの大きな認識力、 が必要です。
 そしてそのためには人を思いやる大きな愛が必要であり、どんな人をも等しく
愛するだけの器が必要となります。その器を人は器量と呼んでいます。 あの人
は大きな人だといった称賛は、人を許容する心の広さ、母親のような深い愛を持
っている人に与えられるのです。 正に君が目指している徳ある人物への登竜門
と言えるでしょう。




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