#2113/5495 長編
★タイトル (SEF ) 93/ 5/28 20:50 ( 77)
「原稿用紙の使い方」【前編】 /えびす
★内容
「原稿用紙の使い方」
えびす
聞くところによると、小説等のコンテストに送られてくる作品の半分ほど、
場合によってはそれ以上が、かなり無茶な原稿用紙の使い方をもって書かれ
ているそうです。非常にもったいないことだと思います。一次選考の選者(
主に編集者)は膨大な数の作品を読まなければならないのですから、とりあ
えず第一段階としてこの「原稿用紙の使い方」に着目してチェックするとい
うもっとも簡単な方法を取る場合も多いのではないでしょうか。また、作品
のレベルがほぼ同程度であった場合、より正しい原稿用紙の使い方をしてい
る方を取る、という事もひょっとしたらあるのではないでしょうか。
原稿用紙の正しい使い方、という物は、存在します。何かの賞にでも作品
を送ってみる場合、少なくとも守っておいて損はないと思います。また、小
論文の試験等では、この「原稿用紙の使い方」を厳密に守るべきです。
以下、原稿用紙の正しい使い方について説明します。守るべきルールは、
さほど多くありません。
まず、商業ベースで出版された手近な小説を二冊か三冊、手元に置いてみ
てください。もし、わたしがここで書いている内容に対する疑問が生じた場
合には、それらの小説をめくって確認してみるといいでしょう。まともな作
品ならば、必ずわたしの言うような原稿用紙の使い方がされているはずです。
★文末の「。」について★
文末には、句点すなわち「。」をつけます。分かり切っているようなこと
かもしれませんが、これは基本中の基本です。〈文末に「。」がない文は、
文ではない〉と言い切るかたもいます。
ただし、例外がひとつ、また、それとは別にあまり一般的ではない例外が
ひとつあります。
●例外:会話文扱いの物で、「閉じる記号」が文末にある場合。
例:〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「おまえ、強いな」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ふつう、
「おまえ、強いな。」
とはしません。
また、例えばキャラクターが自分の頭の中だけで、口には出さずに喋った
文に対して、
(おまえ、強いな)
あるいは、
〈おまえ、強いな〉
と()〈〉等々を用いて表記した場合も同様です。
●あまり一般的ではない例外:思考点「……」で文が終えられた場合。
例:〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なんだ、あいつ、にせものだったのか……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
文末に「。」がありません。これは「あまり一般的ではない例外」です。
最近の若い作家で、たまにこうする人がいますが、この場合一般的な表記の
しかたはあくまで、
なんだ、あいつ、にせものだったのか……。
です。文末の「。」に注意してください。
なお、これもまた言うまでもないことかもしれませんが、「?」「!」は
「。」の代用となります。
読点すなわち「、」の用法についてはかなり曖昧で複雑なので、ここでは
説明できません。この文書では、はっきりとしたルールがあるものにしぼっ
て解説をしています。
【後編につづく】