AWC 三宮晴樹とその友人達(54)           ハロルド


        
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★タイトル (GSA     )  99/ 6/25   0:32  ( 28)
三宮晴樹とその友人達(54)           ハロルド
★内容
 川瀬と川井は、風刺漫画家の話題で会話を続けていた。
「ああいう人達ってさ、いろんな有名人をモデルにして漫画を描くじゃない。他に
さいとう・たかをさんとか水島新司さんとかもそうだけど、キャラクターの著作権
ってのは、ないのかな?」川瀬が疑問を口にしてみた。
「ドイツなんかでは、そういうのを保護する法律があるみたいですけど、日本では
聞いたことないですね」
「日本では、そういう法律はあまりできて欲しくないなあ」
「でも最近、柳美里さんが私小説の件で裁判で負けたじゃないですか」
「ああ、あの裁判ね」川瀬は悲痛の表情を浮かべた。「柳美里さんも、出版する前
にその友達と、こういう本を出してもいいかな、ぐらいのことは最初に訊いとけば
よかったと思うんだけどねえ」
「これからは、そういう判例で表現の自由の締め付けが厳しくなるんじゃないです
かね?」
「いや、あれは、そんなに有名でもない作家の友達が作家に無断でモデルにされた
から、それが極一部の人からのプライバシーの侵害になってしまったからであって、
その論理を、有名人をモデルに作品を書く作家に当てはめるのは無理だと思うね。
第一そんなことを言い出したら、新聞が犯罪者の名前を出してはいけない、なんて
ことになって、きりがないしね」
「じゃあ、風刺漫画家や小説家が職を失うということは……」
「あるわけないじゃん」川瀬は断言した。「そういう表現の自由が厳しくなって、
有名人をモデルに茶化した作品が読めなくなったら、つまんない世の中になるから
ね。有名人もその辺は、有名人なんだからと割り切って寛容でいて欲しいよねえ」
 川井は、我が意を得たりと頷いた。
「僕も小説を書いて、出版社に応募してみようかなあ」川井は呟いた。
 川瀬は川井を黙って見つめた。
「もし私小説を書くつもりなら」川瀬は言った。「あたしのことは書かないでね」

                                (1999/06/24)




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