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★タイトル (GSA ) 98/ 6/11 0:13 ( 31)
三宮晴樹とその友人達(44) ハロルド
★内容
運動場での体育の授業中に、譲治が郁太郎に言った。
「MKのアベックホームランは出たし、MTのアベックホームランも出た。そして
この前KTのアベックホームランも出た。まだ見てないのはMKTのトリオホーム
ランだけだべ」譲治が言った。
「無理だべ」郁太郎が言った。
「なして?」
「松井が悪いべ」
「松井は月間MVPとったべ」
「それだったら川尻や田中幸雄やダイエーの武田もとったべ。問題は松井が髪の毛
切ったことだべ」
「なして? おめえこの前『松井の髪型うっとーしぃー!』つってたべ?」
「そうよ。ヘルメットをかぶる度に掻き上げなきゃならねえ、あの髪の毛とうとう
切っちまったべ」
「どうでもいいけどさ」譲治が、芝居がかった話し方に疲れたのか、普通の調子で
話し出した。「何でその髪の毛を切ったことがトリオホームランが無理ってことに
なるんだよ?」
「松井は星陵時代から敬遠されまくってたべ。日米野球でも敬遠される始末だべ」
「だから?」
「只でさえ強打者なのに、あのデカくて怖え顔で睨まれたら大抵のピッチャーは恐
ろしくなって敬遠するのが当然だべ」
「敬遠されるから打てないっていうのかよ?」
「そうだべ」郁太郎は、意図的な方言を交えて説明し続けた。「敬遠されねえ唯一
の方法があの松井の髪型だったんだべ。清原もデカい顔してるけど、まだ剛毛で短
えからマシだべ。でも松井のあの怖くてデカい顔にあのサラサラヘアーはねえべ?
あれはちょっと反則だべ。相手投手にしてみれば『何でこんな坊ちゃん頭の奴を敬
遠しなけりゃならないんだ!』って思われて、それで勝負してもらえて打つことが
出来てたってーのにそれを切っちまったら、もうおしめえだべ」
(98/06/10)