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★タイトル (AWJ ) 97/ 7/31 20:17 ( 62)
「続・ティアフルガール(迷子少女)」 No10 大二郎
★内容
感動の再会を果たした二人は、どちらからともなく近寄り・・・・
ガシッ!
「へっ?」
フレイアさんにいきなり股間をまともに掴まれるカイ。
「いーったい、3年もどこでなにやってたのこの子はあぁーっ!!」
明らかにファズタ先生に譲ったと思われるボディスラムで投げ飛ばされるカイ。し
かしさすがにさっきファズタ先生にのされた男よりは身体が丈夫だったのか、それと
もフレイアさんが手加減したのか、カイは気絶することはなかった。
「わー! だ、だから記憶喪失だったんだってばぁ!」
すぐさま起き上がったカイが両手を突き出しながらそう言うと、
「いくらなんでも、親の顔を忘れるなんて! わたくしはあなたをそんな親不孝者に
育てた覚えはありませんよ!!」
・・・・まぁ、気持ちは解るけどね。
「あのー、わたくしのことを無視しないでいただけません?」
にせフレイアさんが面白くなさそうにそう言ったけど、
「邪魔しないで下さい! いまはそれどころじゃありません!」
と、あっさり跳ねのけられてしまった。
「無駄ですよぉ。フレイア様、あーなっちゃうと、周囲のことなんかまるで目に入ら
なくなっちゃうんですから・・・・」
同情してにせフレイアさんに教えるファズタ先生。
「まぁ、フレイア様のお気が済むまで待ったほうがいいですよ」
という訳で、洪水のように繰り出されるフレイアさんの質問に合わせて、記憶をな
くしていた間のことをあれやこれやとカイが説明し終わるまでの間、ほかのみんなは
のほほんと、どこから出してきたのか一緒にお茶することになったのだった。
「平和なんですねー」
朝食の時と同じようにしみじみと紅茶をすするシュンリー。
「あらこのドーナツおいしい。あなたのお手製?」
「えへへ・・・・あたしお菓子づくりって大好きなんです」
なんてにせフレイアさんとファズタ先生が話してる。
「あ、シュンリーちゃん、マフィンもあるけど、食べる?」
「はいなんですねっ!」
穏やかに時間は流れる・・・・
「しかしあれだなぁ、おまえら。戦争ってのはやっぱ、良くねえよなぁ」
「そりゃそうですぜ、おかしら。じつはあっしがこの道に入ったのも、元はと言やぁ
親父もおふくろも戦争で亡くしちまったからで・・・・まぁ、その戦争はとっくの昔に終
わっちまいましたけどね」
と、部下の一人がそう言ったので、
「そりゃ苦労したな・・・・どうだ? いまこの辺りじゃ俺達のバラまいたヤクのせいで
戦争してるってことらしいが・・・・」
「冗談じゃねーっすよ! こっちはあくまで薬として売ってるんだ。その使い方を知
らねー奴の起こしたいざこざの責任までなすり付けられちゃかなわねぇですぜ」
「うん、まぁそうなんだがな。あそこにある花のせいで戦争が続いてるってのもまた、
事実なんだよなぁ・・・・」
しばし沈黙が座を支配した・・・・向こうで騒いでる二人の声のせいでいまいち締まら
なかったが。
「・・・・ならどうするんです? もうヤクからは手を退いちまうんですかい?」
「うむ、俺としちゃそうしたいとこなんだが・・・・」
と、リーダー格の黒装束はにせフレイアさんを見やった。
するとにせフレイアさんはあっさりとこう言った。
「いいですよ、別に・・・・わたくしの目的はあの二人の仲を決別させること。それだけ
だったんですから」
「よし、だったらもう止めだ。資金源なんぞほかにたくさんあるからな」
「さすがおやぶん!」
こうして一つの罪悪が滅びた。
「・・・・しかし、なんだってまた、そんなしち面倒な真似してまで・・・・あの二人に恨み
でもあんのかい?」
またまた突っ込んだ質問をする黒装束のリーダーに、にせフレイアさんは憎々しげ
な顔つきで、言った。
「恨み・・・・ええ、ありますとも・・・・」