AWC   わたしのナツメロ物語(10)    竹木貝石


        
#5135/7701 連載
★タイトル (GSC     )  97/ 6/17   3: 0  ( 86)
  わたしのナツメロ物語(10)    竹木貝石
★内容

   昭和歌謡年代史 『昭和35年の流行歌』

 ラジオ深夜便で、次の10曲を放送した。
 1.橋幸夫『潮来の伊太郎』
 2.三橋美智也『達者でな』
 3.松尾和子とマヒナスターズ『誰よりも君を愛す』
 4.赤木圭一郎『霧笛が俺を呼んでいる』
 5.守屋浩『ありがたや節』
 6.?
 7.藤島恒夫『月の法善寺横町』
 8.三波春夫『一本刀土俵入り』
 9.花村菊江『潮来花嫁さん』
 10.美空ひばり「哀愁波止場』

 この年は、安保闘争・浅沼稲次郎暗殺・所得倍増計画・だっこちゃんブームという
時代で、私は東京の教員養成校に在学中だった。
 安保闘争は、私の同級生も何人かデモに参加したほどで、このデモで女子大生が一
人亡くなった。
 ラジオの生中継で、浅沼社会党委員長の演説を放送していた時、突如ナイフを持っ
た暴漢が現れ、浅沼氏を襲って刺した。たまたま私はテープ録音を取っている最中だ
ったのでびっくりしたが、そのテープは今もどこかに在ると思う。これ以後、社会党
は長期低落の一途を辿っていく。
 池田隼人総理が提唱した『所得倍増計画』により、日本経済は活発になったが、や
がて別の矛盾を生じることにもなる。
 そして一時大流行したフラフープに替わり、黒い人形のだっこちゃんが女性の腕に
つかまるようになった。その後、アメリカンクラッカー→ルービックキュウブ→スラ
イム→たまごっち。

 さて、歌の話であるが、上記のナツメロを聞きながら気づいたことは、丁度この年
頃から、流行歌手が地声そのままで歌うようになり、大衆もそれを好むようになって
いったという点である。『潮来の伊太郎』でデビューし、しだいに人気を得ていった
橋幸夫・『涙船』でデビューし、叫ぶようなオーバーな歌い方で息長く活躍する北島
三郎・ハスキーボイスを流行らせた森進一・クルクルと小節を付けて微妙な女心を歌
う五木ひろし・ほおり投げるような歌い方の水前寺清子・力み歌の典型ともいうべき
都はるみ・鼻に掛かった声の郷ひろみ・平ぺったい発声方の沢田研二……。
 比較的地声の少ない布施明・尾崎紀世彦・上条恒彦・細川たかしのような歌手も大
勢登場するが、やはり主流は地声であり、泥くささはますますエスカレートしていっ
た。

 橋幸夫は地声といっても歌唱力抜群で、彼の話しっぷり(語り口)には知的な匂い
がする。
 守屋浩の歌は地声丸だしだが、よく聞いてみるとなかなか味わい深い。

  ありがたや節
 3. デモはデモでもあの子のデモは
    いつも歯がゆいじれったい
    早く一緒になろうと言えば
    でもでもでもと言うばかり
    ありがたや ありがたや
    ありがたや ありがたや。

 4曲目の赤木圭一郎は、映画スターだから地声でもやむを得ないが、それに比べる
と、私好みではないが、石原裕次郎や山口百恵は、結構歌える部類と言わねばならな
い。

 3曲目の松尾和子は『ムード歌謡』と言われ、マヒナスターズの合唱も一時期人気
があった。

 7〜10曲目の歌手たちは、当時としては地声の強い方だったが、今となってはま
だしも美しい声ということになる。

 2曲目の『達者でな』は、三橋美智也全盛期最後の曲かも知れない。古里物の田舎
の雰囲気を民謡調に歌い上げ、一人二重唱のレコード録音になっている。

 『哀愁波止場』は、美空ひばりとしては高い音の続く曲で、かつて、ひばりの母親
が、
「お嬢に何故こんな高い音の歌を歌わせるのか」
 と、作曲者の船村徹に文句を付けたというエピソードもある。私は絶対音感に自信
はないが、最高音が五音列のCHIS(シャープのド)、低い方は三音列のF(ファ
の音)までだから、それほど音域の広い歌ではない。

 ここで、昭和の大流行歌手3人を挙げるとしたら、いったい誰になるだろう?
 個人の好みや一時的な人気ではなく、日本の国を代表する歌謡曲歌手三人を選ぶと
したら、藤山一郎と美空ひばり、三人目は岡晴夫か三橋美智也か? 私のセンスは少
々旧いかも知れないが、五人目を選ぶのも難しい。
 私の今の年代で自分の好きな歌手を三人挙げるとしたら、春日八郎・岡晴夫・灰田
勝彦・青木恍一? しかし、そう簡単には決められない。
 美空ひばりについては、項を改めて書く機会があると思うが、他の歌手については
今までにもある程度書いてきたと思う。
 かつて私が好きだった女流歌手は、若い時の野村雪子・松山恵子・由紀さおり・岩
崎宏美・八神純子・山形澄子らで、趣味が悪いと言われるかも知れないが、いずれも
正確な音程としっかりしたリズム・そして声がよく伸びる歌手である。


                [平成9年6月15日(月)   竹木貝石]




前のメッセージ 次のメッセージ 
「連載」一覧 オークフリーの作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE