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ベツレヘム777 第28話 リーベルG
★内容
カーティスとヴェロニカが必死で制止しなければ、サオリは後先も考えずに
白衣の男女に突進していって、銃弾に貫かれる結果となっただろう。ディスプ
レイに映っている映像は、サオリを強烈な憎悪で満たすには充分なインパクト
があった。
「この変態野郎!」サオリは怒鳴った。「殺してやる!」
「神よ、この哀れな子羊をお許し下さい」メルキオルが嘲笑した。「愚かであ
りすぎるのは、この者の罪ではありません」
「ジャーランさんに何をするつもりなのですか」ヴェロニカが詰問口調で言っ
た。「説明しなさい」
「苦痛に満ちた死を与えるのですよ」老人は事も無げに答えた。
「その苦痛が大きければ大きいほど」バルタザールと呼ばれた中年女性が、初
めて口を開いた。「あの娘の失う魂は重くなり、純粋な意識に近くなるのよ。
純粋な苦痛、純粋な憎悪、純粋な怒り、純粋な絶望。美しくピュアな魂こそ、
この計画に欠かすことのできないもの。このソルジャーたちは、そのために生
まれたのですから」
「ナザレ計画は失敗だったのですよ!」ヴェロニカは声を荒げた。「これ以上、
無益に命を奪うことが、ジン・バーソロミューの意志にかなうことだとは、思
えません。ただちに計画を中止しなさい」
「我々に命令できるのは、唯一人、ジン・バーソロミュー様だけです。あなた
の言葉に従ういわれなどありませんな」メルキオルが答えた。
「私は命令しているのではありません。理性的になって、生き残った人々のこ
とを考えろと言っているのです」
「人類の未来を考えているからこそ、この計画を遂行するのです」
ディスプレイには、三体のソウルズに突き飛ばされながら、アンダーウェア
をむしりとられていくジャーランの姿が映し出されている。すでに豊かな胸は
完全にむき出しになり、ショーツの切れ端がわずかにまとわりついているだけ
である。
「お願いです、メルキオル」ヴェロニカは涙を浮かべて懇願した。「彼女を助
けて」
「それはできません」
ほとんど全裸にされたジャーランは、今やほとんど発狂する一歩手前まで、
追いつめられていた。恐怖と恥辱で手足に力が入らず、ソウルズたちにいたぶ
られるままになっている。
突き飛ばされ、床に転がったジャーランに、一体のソウルズが飛びかかった。
右肩を踏みつけて押さえると、長い腕を伸ばして膝をつかむ。もう一体も左側
で同じことをしていた。すぐにジャーランの両脚は大きく開かれ、汗に濡れる
下腹部をむき出しにした。
耐え難い恥辱にジャーランは涙を流した。
三体めのソウルズは、ジャーランの脚の間に進むと、下腹部をじろじろと見
つめだした。自分たちにない器官が珍しいような仕草だった。
レイプされる。ジャーランはソウルズたちに性器がないことも忘れて、そう
思った。だが、ソウルズたちの残虐な意図は、ジャーランのそれを遥かに越え
ていた。
ソウルズは手を伸ばし、ジャーランの柔らかい恥毛を指にからめると、力任
せに引き抜いた。
ジャーランは絶叫した。その口に拳が叩きつけられる。ソウルズの力からす
ると、かなり手加減したらしいが、最前列の前歯はあっさりへし折れた。
腕を押さえているソウルズが、ジャーランの肩を掴んで力を加えた。関節が
砕ける鈍い音とともに、肩から先の感覚がワイプアウトする。ついで激痛が襲
いかかり、意識が急激に遠ざかっていく。
太い指が右目に突き刺さったとき、ジャーランはほとんどよけることすらで
きなかった。顔を数センチ動かすだけなのに、無限のエナジーを必要とするよ
うだ。視界の半分が無に変わる。
身体が乱暴に床に放り出される。一体がジャーランの乳房をつかんで、荒々
しく揉みしだいた。性的な要素はない。弾力性に富む乳房に指が容赦なく食い
込んでいく。組織が潰れ鮮血が噴き出した。強烈な外圧に耐えかね、破壊され
た組織を含んだ血液が、乳首の先端から流れ出す。
ソウルズの一体が無造作に膝を踏みつける。複雑にからみ合った筋肉と骨は
あっさり粉砕された。
耳と頭髪がまとめて引きちぎられた。鼻孔は引き裂かれ内部構造が露出して
いる。下腹部の柔らかく敏感な粘膜は、ソウルズの拳が突っ込まれてズタズタ
になりつつあった。
それでもジャーランは生きて、意識を保っていた。失血死に至るほどの血液
を失ったわけでもなく、ショック死するほどの外傷を負ったわけではない。や
がて自己保存本能による抵抗力が限界に達し、心臓が拍動を停止し、肺が酸素
供給活動を断念する時がやってくる。だが、その最後の瞬間まで、ジャーラン
は苦痛の顎にくわえられたままだろう。ソウルズたちは、それを充分に心得て
いるように、少しずつジャーランの身体を解体していった。
ヴェロニカはとっくに両手で顔を覆っていた。カーティスは憎悪をこめた視
線で3人の男女を突き刺し続けた。
サオリの目に浮かんでいるのは、怒りと呼ぶにはあまりにも穏当すぎる感情
だった。怒りや憎悪などは、とっくに通り越していた。
「対象のEM値は現在、4700をマーク」若い男----カスパルが言った。
「素晴らしいわね」バルタザルが満足そうに答えた。「ピュアリティはどうか
しら?」
「96.7パーセントを越えている。充分許容範囲内だ」
「DNAシンメトリーシリーズの状況はどうだ?」メルキオルが訊く。
「予定通りだ。復元、転写、補正、全て順調に進行している。数分で終わるだ
ろう。ランスの用意をしておいてもらおう」
「用意はできている」
メルキオルは枯れた声でそう言うと、指を慣らした。壁の一部がスライドし、
2体のソウルズが大きなクッションのようなものを運んできた。メルキオルは
満足そうに頷くと、詰め物の間に埋まっている何かを慎重な手つきで持ち上げ
た。
「これが何だかわかりますかな、ヴェロニカ様」
ヴェロニカは伏せていた顔を上げて、メルキオルに視線を向けた。その瞳が
大きく見開かれる。
「まさか……聖なる槍?でも、あれはエルサレム攻防戦で失われたはず……」
「あれは敵の注意を引きつけるためのダミーだったのですよ」バルタザールが
答えた。「本物はそのときすでに、ここ<ベツレヘム>に送られた後だったの
です」
「そう、これこそが聖なる槍。ジーザズの脇腹を刺し、聖性を帯びた槍」メル
キオルが誇らしげに告げた。「ロンギヌスの槍です」
つづく