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★タイトル (NKE ) 97/ 5/24 16:12 ( 34)
実録 「受験生受難2」3巻
★内容
しかし、本業の印刷技術を生かして作ったそれは、知らない人間が見たら、まず信用す
るであろう立派なものであった。
準備は万端、後は彼女と接触する機会を待った。
9月0日、下校途中の彼女を自宅近くの、人気のない路上で待ち伏せた。
いつものように彼女は一人でまっすぐこちらに歩いてくる。
そして、ちょっとした曲がり角にさしかかった時、両手にいっぱいの書類を手にした私
がふいを装って飛び出し、ものの見事に彼女と衝突した。
「きぁっ!」
「あっ、あっ、ごめんなさい」と私は屈み込んで辺りに散乱した書類を一生懸命に拾い
集めた。
「ごめんごめん、急いでいたもんだから・・・君は大丈夫かね」
「ええ、大丈夫です」そう言いながら散らばった書類を一緒に拾ってくれる。
そして拾った書類を見てハッとした様子を現した。
それもそのはず、それには国立大学受験審査基準とか埼玉大学や千葉大学と書かれた入
学試験問題草案などもっともらしい表題が書かれてあったからである。
「あっ、ありがとう」私はまずいものを見られたかのように装い、彼女から書類を慌て
てひったくった。
「いやあ、助かった。これを紛失したらえらいことになるところだったよ、ほんとうに
ありがとう。」
「いっ、いいえ・・・じゃこれで」と彼女は一礼して踵をかえした。
「ああっ、ちょっと、きみぃ」
「・・・」二三歩、歩きだした彼女は立ち止って振り返った。
「ああ、いや、ぶつかった上に大事な書類まで拾ってもらって・・・何かお礼でもとお
もって・・・」
「あのぉ・・・でもぉ家近くですからいいです。帰ったら勉強しなきゃいけないし、だ
から」
「あっ、あははっ、ごめんごめん、そうだよね、知らない変なおじさんに声をかけられ
たりしちゃ、誰だってびっくりするよね」
「・・・・」
「あっ、ああ私は別に怪しいものじゃないんだ、ほらっこういう者だ」と予て作ってお
いた身分証明書をここぞとばかりに見せた。
「私は、埼玉、千葉、茨城、東京の国公立大学の入学試験問題を作ったり合否の審査を
する仕事をしているんだ」
彼女の目は更に驚きに変わった。