AWC フリー小論 『美しい日本語のために』   /竹木貝石


        
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★タイトル (GSC     )  97/ 5/15  17:19  ( 78)
フリー小論 『美しい日本語のために』   /竹木貝石
★内容

    第2章 アクセントの相違 (続き)

   5 東京弁批判

 他の地方の人には申し訳ないが、私はやはり東京弁が好きである。
 中年男性の東京弁、それも巻き舌のベランメエ調でない方が良い。
 とはいえ、愛知県育ちの私には、あの微妙な東京弁のアクセントが使えないから残
念だ。

 だが、東京弁で気に入らない点も些か在る。
「ひ」と「し」の混同、「……したっけ」のような語尾、「大屋根のすてっぺんから
おっこちた」などの擬声語、これらを私は全然耳障りとは感じない。

 私が嫌いなのは、打ち消しの助動詞『ない』の前の音にアクセントを付ける話し方
である。

 出来ない=でキない→できナい
 住めない=すメない→すめナい

 私は、前者の東京弁よりも後者の地方語の方が聞きやすいし、理屈にも合っている
と思う。

 また、『ない』の前に来るラ行の動詞の語尾を、音便にするのも好きでない。

 ならない→なんない
 知らない→しんない

 もっといけないのは、否定や打ち消しの『ない』を「ねえ」と言う。

「そんなこたあでキねえよ。」
「なぜ俺がしなくちゃなんねえんだ。」



   6 関西弁は苦手

 いよいよ差し障りのある話になるが、私は関西弁が苦手、というより好きになれず
に困っている。
 理屈は何も無い。
 先にも述べたごとく、日本語のルーツに近いのは関西系のアクセントであるに相違
なく、日本語を愛する私としては、関西弁を拒むなど以ての外である。
 それがなぜだか駄目なのだ。

 ところがである。時折真に見事な関西弁を聞くことがあって、例えば、落語家の桂
米朝や桂文珍、講談師の旭堂南稜の話し方! あれは大層味わい深く上品で、関西弁
嫌いの私でも、聞いていてほれぼれする。

 また、大阪・京都・神戸・和歌山など、同じ関西弁でも各々特色があって、私にそ
の違いは分からないが、かつて学生時代、神戸出身の同級生が、次のように言ってい
た。
「中田ダイマル・ラケット、浪花千恵子(文字不明)の話し方! あれこそが本当に
綺麗な関西弁だよ。」

 一口に『関西弁』と言っても、話す人や話し方によっては、大変美しい言葉になる
のである。



   7 最近の変化

 国語=こくご(平板)→こクご
 15=ジュうご→じゅうご(平板)

 上の例では、従来前者のようにアクセントを付けていたのが、近頃後者に変わって
きている。
 単語によって、平板だったのがアクセントを付けるようになり、逆に、アクセント
を付けていたのが平板になったりして、それらに規則性は無いようだ。

 人の名前の頭にアクセントを付けて呼ぶ傾向もある。

 まこと(平板)→マこと
 すすむ(平板)→スすむ
 まゆみ(平板)→マゆみ
 めぐみ(平板)→メぐみ


                  [平成9年5月16日    竹木貝石]




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