AWC 熱闘!ブロンコス96(16)     Faith


        
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★タイトル (HKT     )  97/ 2/ 3  15:35  (159)
熱闘!ブロンコス96(16)     Faith
★内容
 レギュラーシーズン第14週。
 12月3日、西村はスポーツ新聞のNFL欄を開いた。購読している朝日新聞は
NFLの扱いが非常に小さいのだ。
 まず目に飛び込んできた見出しは”パッカーズ首位独走”だった。NFC中地区
のパッカーズはベアーズを下して10勝目をあげ、2位のバイキングスとは星3っ
つの差である。あいかわらずQBのファーブは氷点下の試合に強いようだ。
 日本ではレイダースと並んで昔から人気のドルフィンズがついに7敗となり、プ
レイオフが絶望的になったことを報じるものもあった。
 NFC東地区の混戦を取り上げた新聞もある。イーグルスがジャイアンツを破っ
て連敗を3で止め、カウボーイズ、レッドスキンズと並んで8勝で同率首位となっ
たのだ。抜け出せば地区優勝は8年ぶりになる。
 イーグルスは4年ぶりの完封勝利である
「いくらなんでも、0負けしなくてもよさそうなもんだ」
 昨日インターネットで結果を見ていたとはいえ、あらためてジャイアンツの無様
を突きつけられると、情けなさに怒る気もしなけりゃ泣く気にもならない。力のな
い笑いが顔に張り付くだけだ。
 ところで、284ヤードを稼いでイーグルスを勝利に導いたQBタイ・デトマー
は、学生時に来日経験がある。大学3年の時、オフェンスの25の部門で全米記録
を次々に塗り替え、年間MVPに贈られるハイズマントロフィーの受賞者であった
デトマーは、数年前まで”コカコーラ・ボウル”として日本で開催されていた全米
学生オールスター戦に出場したのだ。ところが、ハイズマンウィナーのQBはプロ
では通用しないというジンクスがある。92年にドラフト1位でパッカーズ入りし
たデトマーも、指の負傷などで鳴かず飛ばずで去年イーグルスに移籍したのだ。
 ジンクスを破り、イーグルの翼ではばたくことができるか、注目である。

 ジャイアンツファンの西村と同様に、ファルコンズファンのめぐみもブルーだっ
た。プレイオフがどーのという話題からは遠く離れ、一つでも順位を上にというの
だけが望みだったが、今週の相手はあの49ersであった。
 もともとファルコンズファンに”ならされた”だけだったが、試合を見に渡米し
て以来、愛着がわきつつある。
「ダメな子ほどかわいいって、こういうことだったのかしら」
 今週は同じNFC西地区で、ファルコンズと並んで4位のセインツが3位のラム
ズに破れていた。その結果を見てのマンデーナイトだったのに、いくら49ers
が相手とはいえ完敗。
 もし万が一ファルコンズが49ersに勝っていれば、パンサーズが単独でNF
C東地区トップになれるところだったのだが、カロライナの市民もファルコンズに
は期待していなかっただろう。
 実は正木は、日本社会人リーグのNECファルコンズと、関西学生リーグの立命
館パンサーズを応援している。チーム名が同じということで隠れカロライナファン
であると同時に、今週に限ってはファルコンズを応援してもいた。
 おかげで期せずして、アトランタ市民とめぐみの無念と、カロライナ市民の落胆
を同時に味わうことになってしまった。もっともカロライナ市民と同様に、それほ
どは期待していなかったのだが。
「ダン・リーブスもクビかな」
 ジャイアンツの結果も見て、正木はつぶやいた。ジャイアンツのヘッドコーチで
あるリーブスは、その前はブロンコスのヘッドコーチであった。今時のヘッドコー
チには珍しく、常にスーツ姿でサイドラインに立つリーブスとエルウェイは、ヘッ
ドコーチとQBとしてチームを隆盛に導いたが、その実は非常に仲が悪かった。主
導権を持って司令塔の勤めを果たしたいエルウェイと、鉄の規律でチームをコント
ロールしたいリーブスの間の溝は年々大きくなっていったのである。
 その亀裂が、ブロンコスでのリーブスの任期の晩年には目も当てられないほどに
なっていたらしい。そして結局チームのフロントは、リーブスよりもエルウェイを
選択したのである。が、守備コーチから昇格した後任は最悪。マイク・シャナハン
を昨季からヘッドコーチに戴いて、ようやくブロンコスは今年復活しつつあるので
ある。
 個人的には、しばしば絶妙の指揮を執るリーブスもお気に入りだった正木として
は、ヘッドコーチをどこかで続けて欲しいタイプであったが、ジャイアンツを率い
るようになってからの成績は芳しくなかった。
 そのブロンコスの方は、同地区のシーホークスを相手に、前半だけでも20点も
リードし、最終的には34対7で大勝して、3試合を残して地区優勝を決めた。
 AFC中地区首位のスティーラーズがレイバンズにまさかの黒星、東地区首位の
ビルズもコルツ相手に痛い星を落としたため、ブロンコスはプレイオフの第一シー
ドを決めてしまったのだ。他地区ではプレイオフ出場を決めたチームさえないとい
うのに、プレイオフ一回戦免除の上、二回戦、カンファレンス決勝の地元開催権を
確保したという意味だ。
 ワイルドカードプレイオフと呼ばれる一回戦は、地区優勝3チームのうちの成績
最下位の1チーム+ワイルドカード3チームの4チームが戦う。このワイルドカー
ドプレイオフから勝ち上がっても、ディビジョナルプレイオフと呼ばれる二回戦は
シードされていたチームの地元へ出向いてアウェイで戦うことになる。
 それに勝って、カンファレンスチャンピオンシップと呼ばれる決勝に行っても、
またアウェイの立場なのだ。それに勝ってようやくスーパーボウル出場となるわけ
だから、道は遠い。現に、ワイルドカードプレイオフからスーパーボウルに出場し
た例はきわめて少ない。
 そういう意味で、シードされる意義は非常に大きい。それに一試合多ければ、ケ
ガ人の出る可能性が高くなる。シーズンを戦ってきて疲労がたまってきている選手
達は、ふとしたはずみでケガしやすくなっていると言えよう。
 加えて、これまでも度々述べてきたように、ホームグランドで試合をやれるとい
うことはそれだけで勝利に一歩近づいたようなものである。しかもデンバーのマイ
ルハイスタジアムは、プレイオフが行われる頃には吹雪の中だ。アウェイのチーム
の苦戦は必死で、それがドーム球場のチームや暖かいところのチームだったりした
ら目も当てられない。
「スーパーボウル出場は決まったな」
 ビルズという、プレイオフに出てからが強いというチームだけが心配だが、焦点
はスーパーボウルでどうすれば初優勝できるかに移ってきていると言っていい。
 その点で、来週の試合が試金石となる。ブロンコスの第15週の相手は、NFC
のスーパーボウル出場候補最右翼であるパッカーズであった。
「それにしても、ここまで復調してくれるとは」
 思わず遠くを見る瞳になる正木であった。過去、プレイオフに手が届くのかと気
を揉みながら叶わなかったことが幾たびか。序盤からの好調も、どうせまぐれさと
思ってしまっていた自分が悲しい。阪神タイガースが優勝した年の虎キチの気持ち
が分かるような気がした。いや、ブロンコスの低迷はそこまでひどくなかったのだ
が。

 ところでAFCで先週の段階で勝ち越していたのは、ブロンコス(11勝1敗)、
スティーラーズ、ビルズ(共に9勝3敗)、チーフス、ペイトリオッツ(共に8勝
4敗)チャージャース(7勝5敗)の6チームであった。これに続いてオイラーズ、
コルツ、ドルフィンズが6勝6敗。
 ブロンコスを除き、これらのチームでプレイオフの残り五つの席を争っているわ
けだが、今週勝ったのはチーフス、ペイトリオッツ、オイラーズ、コルツだけであ
る。
中でもコルツは、直接ビルズを止めている。また、ペイトリオッツはチャージャー
スを破っての一歩前進。このためAFCのプレイオフ出場レースは、特に第2シー
ド争いは、まだ先が見えない。
 東地区 1位:ビルズ(9勝)
        ペイトリオッツ(9勝)
 中地区 1位:スティーラーズ(9勝)
     2位:オイラーズ(7勝)
 西地区 1位:ブロンコス(12勝)
     2位:チーフス(9勝)
     3位:チャージャース(7勝)
 シードされるのは地区優勝したうちの上位2チームだから、同じ9勝でもチーフ
スにチャンスはない。ビルズ、ペイトリオッツ、スティーラーズの三つ巴戦だ。
 さらに、残り3試合でプレイオフのチャンスがあるのが、絶望的ながらも数字の
上では、ドルフィンズ、ジャガーズ、レイダースの6勝7敗組だ。
 現在9勝の4チームはほぼ順当に上がっていくだろう。あと一つ勝って10勝に
乗せれば、6勝組は残り全勝しても追いつかない。7勝の2チームと6勝の3チー
ムで、最後の椅子を奪い合う構図になってきたようだ。
 NFC東地区で、49ersを向こうに回して地区優勝争いをしているパンサー
ズも驚異的だが、6勝7敗とはいえこの時点までプレイオフ戦線に踏みとどまって
いるジャガーズもたいしたものである。
 ジャガーズもパンサーズも、去年できたばかりのいわゆるエキスパンションチー
ムであることは、すでに紹介したとおりだ。過去の例に照らせば、エキスパンショ
ンチームは結成してから勝ち越すまででも数年かかるのが普通だったのだから、結
成初年度の昨季も良かったとは言え、両チームの躍進は予想できた者はそうはいな
いだろう。
 他チームの控え選手など、いわばあぶれ者をかき集めてチームを作らざるを得な
いためだが、ラウンドロビン方式のドラフトで上位指名権を与えられたことと、他
チームもサラリーキャップの問題などでけっこう簡単に良い選手を放出したことが
良かったようだ。しかしこうまでこの両チームが(エキスパンションチームとして
は)好調だと、選手を放出したチームも、選手を使いこなせなかった責任やフロン
トの責任も問われるのではないだろうか。
 そこまでは大げさとしても、激烈な誘致合戦を戦い抜いてNFLのフランチャイ
ズシティーとなったジャクソンビルとカロライナの市民が、今頃大喜びしているの
は確かだろう。

 次週(第15週)
 ブロンコス  対 パッカーズ  (パッカーズのホームゲーム)
  チーフス   対 レイダース  (レイダースのホームゲーム)
  ファルコンズ 対 セインツ   (セインツのホームゲーム)
  ジャイアンツ 対 ドルフィンズ (ドルフィンズのホームゲーム)

                                                     −To be continued.−
<<注>>
イーグルス
 フィラデルフィアにフランチャイズを置くNFC東地区のチーム。走るQBカニ
ンガムがオフに解雇され、タイ・デトマーが司令塔となった。
 余談だが弟の名はコイ・デトマー。鯛に鯉とはめでたい兄弟である。

ラウンドロビン方式
 前年の成績の悪かった順にドラフトで指名できる。

サラリーキャップ制度
 選手会がFA制を勝ち取ったとき、給料の高騰からオーナーを守るため、チーム
が選手に払える給料の総額の上限を決めた制度。少数の選手と高額で契約すると、
他の選手に払える金がなくなる。FA制と共に、移籍が活発化して二戦級の選手に
他チームでの出場機会が与えられることになった。
 が、複数年契約の最後の年にチームが金を出せなくなって移籍したムーンの例や、
シーズン直前になって解雇されて引退に追い込まれた名手シムズの例もあり、また
移籍が多くてファンの方もついて行けなくなるなど、弊害もかなり多い。




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