#4800/7701 連載
★タイトル (AZA ) 96/11/10 3:56 (188)
推理小説的読書法「月光」1 永山
★内容
指摘付き感想の形式も第四弾になります。今回は金剛寺零さんの『月光』を
取り上げさせてもらいました。
本作は推理小説なので、捜査側、犯人側それぞれの動きに矛盾がないかどう
かに、特に注目して読みました。都合により、早い段階で犯人その他内容に触
れています。未読の方はご注意を。
その他、視点にも注意しました。推理作家の佐野洋が「推理日記」(講談社
文庫)で主張する「一シーン一視点の原則」を課した場合、不自然と思われる
箇所を、いくらかピックアップして指摘したつもりです。
漢字や言い回しについては個性だと思っていますので、なるべく指摘しませ
んが、例外もたまにはあります。あと、誤字の指摘は気付いた範囲でやってい
ます。
なお、指摘箇所を手っ取り早く読もうとする場合は、↑を検索してください。
>#3520/3525 長編
★タイトル (ZWN60088) 96/11/ 7 18: 3 (199)
月光
★内容
****************************
月光。月の明かりは心を汲まなく照らす未知なる物体。そして、
↑「隈無く」の誤字?
その姿は刻一刻と変わっていく。
時にはなくなってしまうこともある。心のどこかにある嫌なこ
とや、思い出、好きだと言う気持ちも、時が経つにつれて薄れ
無くなるものである。
↑「薄れ、無くなる」とした方が意味を取りやすいのでは
****************************
夏が終わり、やっと秋に入った。しかし、まだ、夏の余韻を漂
わしている、そんな感じがする秋である。気温もそれほど寒くは
なく、まだ、半袖でも過ごせるくらいである。まだ草むらの中に
↑わずか三行に「まだ」を三回も使われて、読者は読みにくいと思います
は、緑色をした草が大半をしめていて、その中に、茶色に色落ち
ススキの穂がポツリポツリと見えかくれしている。
そんな中を月の光が心を癒すかのように降り注いでいる。草む
らを吹く風は心を和ませ、肌を軽く触れるくらいの風量である。
そんな風のおかげで、暑くも感じず、寒くも感じなかった。
空には優しく光を出す月と、無数におよぶ星たちがこうこうと
輝いていた。そこには今の所、雲という厚い布団はなく、都会で
は見ることのできない、いや、見れない純粋な夜空が見えていた。
↑−−−同じ意味では−−−↑
草むらはひそかに揺れ、その葉にあたる月の明かりが夜という
空間を賑あわせたのである。
阿部祥子は、そんな夜空を寝そべって見上げていた。
阿部祥子。身長はそれほど高くはなく、体系は普通である。美
↑「体型」あるいは「体形」の誤字?
人の、どこかお嬢様を感じさせる雰囲気が感じられる。
↑−「感じ」重複−↑
祥子が居る場所は、山梨県にある「月光山」のキャンプ場であ
る。「月光山」は、小さな山で、キャンプ場は「月光山」の高台
の近くにある。高台なので、辺りには視界を邪魔するものは、何
一つ無かった。まさに、自然を満喫できる特等席なのである。
祥子と一緒にこの地に来ているのは他に4人いる。高藤理恵、
能登美香、新庄稔、三上剛の4人である。祥子たち5人は、大学
のサークル仲間で、ここ「月光山」に親睦会に来ているのだ。
高藤理恵。身長は祥子より高く、少し太り目である。顔は普通
↑「太め」か「太り気味」がいいのでは
で眼鏡をかけている。
能登美香。身長は158cm。女性3人の中では一番低い。体
系は普通である。スポーツ万能で趣味でテニスをやっている。
↑「体型」あるいは「体形」の誤字?
新庄稔。169cm。サイクリングを趣味としている。体格は
ややがっちりとしていて、頼りがいのある人物である。
三上剛。この中では一番背が高く、高校時代は柔道をしていた。
腕が太く、力仕事が好きな人物である。
初日は、「月光山」のキャンプ場で一泊して、二日目からは、
近くにある山荘に泊まることになっている。この親睦会は、3泊
4日の日程である。
1日目の日程はまず、「月光山」を登ってここまで来る。そし
て、バーベキューをして、キャンプファイヤーをする。今祥子た
ちは、それらの日程を全てこなし自然の余韻に浸っているのだ。
「こんな綺麗な夜空、見たことないねっ」
↑普通、会話文の前を一升空ける必要はないです(以下同)
美香が夜空を見上げたままポツリと呟いた。
「そうだよなぁー、都会じゃぁ、空気汚いし、こんな余分な光
がない場所なんてないからな」
剛が祥子のことを、横目でちらちら見ながらいった。
↑何故、祥子をちらちら見てるんでしょう?
一方、稔と理恵は、
「そういえば、明日泊まる山荘、稔が見つけたんでしょっ?」
「ああ、おやじが教えてくれたんだ。なんか、おやじも昔、あ
の山荘使ってたって言ってた。設備もなかなかだし、学生時代に
一度、行っといたほうがいいって言ってたから」
「その山荘って、どういう感じの建物なの?」
隣同士に座っている二人が、手で形を作って説明をしている。
↑説明するのは稔だけだから、不適切な文章では
月の光に照らされている二人は、とても良い絵になっていた。
「正20角形の2階建ての建物で、客室が全部で15室あって、
建物全体の部屋数は20部屋だって言ってた」
皆が寝静まった頃、祥子は燃えるたき火の炎をじっと見つめて
いた。祥子は剛のことをいつの間にか好きになっていた。
祥子と剛は、大学で1、2を争う秀才である。始めはただ、争
普通は「初め」だと思います↑
っていただけだが、そのうち、剛のことを忘れることが出来なく
なったのだ。祥子は秀才だけではなく、ある能力では、天才的な
↑「ある場合において」辺りが適当では
力を発揮するのだ。
「どうしたんだ、祥子」
剛が寝袋から起き上がって言った。
「ううん。何でもないの」
「ならいいけど。さっきからずっと炎見てたから」
「ニャ〜、ニャ〜」
↑猫の声まで括弧でくくることはないと思うんですけど……(以下同)
草むらの何処かから、聞いたことのある鳴き声が聞こえてきた。
ちょうどその時風が出てきたので、何処に潜んでいるのかわから
なかった。
「パット、パットでしょ。何処?何処にいるの?」
↑閉じ括弧が直後に来ない限り、「?」「!」
等の記号のあとは普通、一升空ける(以下同)
祥子は周りで寝ている三人を起こさない程度の声で叫んだ。そ
して、闇の中にうごめくパットの姿を目を凝らして捜した。ま
た、剛も一緒にパットの姿を捜していたのである。
「ニャ〜、ニャ〜」
パットは祥子たちが捜していたのとまったく別の方向から飛び
出してきた。草が真ん中から2つに別れ、その間から勢いよく出
↑こういう場合は「二つ」が一般的です(以下同)
てきた。パットは口にハンカチのようなものをくわえている。
パットとは、祥子たちが昼間この「月光山」に登ってくるとき
に出会った白毛の猫である。パットという名前は、祥子がつけた
名前である。パットは、祥子と一緒に途中まで登ってきて、不意
に姿を消してしまったのである。だから、こうして逢うのも7時
↑ここまでの文章が三つ連続して「である」で結ばれ
ており、少し読みづらいです
間ぶりぐらいであった。
「パット。昼間急にいなくなっちゃって。本当に心配してたん
だから。うん?何くわえてるの」
そういって祥子は、パットの口からハンカチを取った。それは、
↑ハンカチでなかったなら、ハンカチと
書かず、「布切れ」程度がいいでしょう
ハンカチではなく、バンダナでだった。しかし、そのバンダナは
↑「バンダナであった」のタイプミス?
ただのバンダナではなかった。そのバンダナの縁には、どす黒く
なった血が付着していた。剛は祥子からそのバンダナをとって確
かめた。
「血だ」
剛はそう叫んだ。しかし、剛もまだ、それが本当に血なのか自
信がなかった。その理由として、剛が考えたのは、辺りがあまり
にも暗かったことと、光があったとしてもその光が、たき火の炎
であったことだった。
「ねぇ、パットの体を見て」
祥子が剛にそう言ったとき、剛は想像の世界から、現実の世界
へと戻ってきた。そして、パットを抱き上げて、体全体を見回し
た。
「ねぇ、どうなの?傷があるの?」
傷はなかった。これで剛の想像は最高頂に達した。パット以外
↑「最高潮」では?
の血。それが何をさすか剛にはある程度わかっていた。だけど、
その想像が当たってないことだけを祈った。それは、人の血であ
るというとこだ。
↑「こと」のタイプミス?
「いや、傷はないみたいだ。だけど、どうして、傷がないのに
血が付いているんだろう?」
「誰かの・・・・・血?」
↑リーダー点には「……」を使うのが一般的のようです(以下同)
祥子はそういって、パットの体を濡れているタオルで拭いた。
「ケガをしたのかもしれなが・・・。どうやってその人を捜そ
う?」
「ニャ〜〜ン」
パットはそう鳴いて、祥子の袖口を引っ張った。
さっきまで吹いていた風は、もう吹きやんでいた。静かに照っ
ている月は、星という子分を連れて暴れていた。徐々にだが、う
↑「静かに」と「暴れて」の組み合わせに
違和感あり
っすらと雲が出てきている。しかし、月にかかるまでは、それ相
当の時間がかかりそうなほど、ゆっくりと流れている。辺りの明
るさもさっきよりは暗くなってきた。草むらの不気味さもさっき
↑月に雲はまだかかっていないのだから、明るさは変わら
ないのでは? 星が雲に隠れたということでしょうか
よりましたような気がした。
「何、連れてってくれるとでも言うの?」
祥子は、パットに向かってそう言った。パットは、「ニャ〜」
と鳴いて、草むらの中へとゆっくりと歩き出した。
「連れていってくれるみたいだね」
剛はそういうと、たき火からたいまつを二つ作り上げた。そし
て、一つを祥子に渡した。
「これもって、パットの後を追うぞ」
祥子は「うん」と、答えて、剛の後をついていった。
パットの後を小さなたいまつの火を頼りに草むらの中を歩いて
行く。草の背丈は30cmくらいで、当然のことながら、パット
の姿など、どれだけ照らしても見当たらなかい。唯一の頼みは祥
↑タイプミス?
子がパットと昼間会ったとき付けた鈴だけである。
「今、どの辺り何だ?」
↑「なんだ」の誤変換? ここは平仮名
「昼に見た感じと照らし合わせると、大体、「月光塚」の半径
10mくらいの所だと思うけど」
「じゃぁ、大木の近くか」