AWC うちの文芸部でやってること 3−3  永山


        
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★タイトル (AZA     )  95/ 5/28   9:13  (175)
うちの文芸部でやってること 3−3  永山
★内容

●どうという事のない話
 横文字も問題だが、物語世界のベースとなる文化・技術水準の設定も結構面
倒だ。「文化・技術水準」などと書くと大げさだが、早い話、その世界には何
があって何がないのか、という事だ。
 例えば、時計を出すのかどうか、などは押さえておいたほうがいいだろう。
これがない場合、飛行機の飛行可能時間を、脈や砂時計で計らねばはらないか
らだ。鯨の髭をゼンマイに使った時計を出すにしても、今度は一秒が最小単位
なのか、という問題がある。
 また。「龍王−−」の物語世界では、戦車は師団が編成されるほどポヒュラ
ーな兵器で、一方、飛行機は、グライダーすら出現していないという状況が設
定されている。しかし現実世界においては、戦車が実戦投入されたのは第一次
大戦の途中、一九一六年の事。飛行機は一八九三年から一八九六年にかけてリ
リエンタールが滑空実験を行っており、ライト兄弟がエンジン付きの飛行機を
飛ばしたのは一九○三年。つまり、飛行機のほうが戦車より先に実用化されて
いるのだ。
 それがどうした、と言う人もいるだろう。島津もそう思う。書いてて何だか
気が滅入ってくるぐらいだ。しかしこれをしっかりしたスタンスで書かないと、
話がグチャグチャになる可能性がある。何しろ、「金属の存在しない世界」と
いう一番最初の設定自体、まだ死んだ訳ではないのだから。

●発展案その一
 1.テーマ
・二国間の争いを敵味方の区別なしに描き、立場は違っても境遇の似た二人の
主人公を登場させる。
 2.舞台世界
・リムリース大陸(オーストラリア程度の大きさ)を陸軍強国ランディール帝
国(以下帝国)と、海軍強国マイーザ王国(以下王国)が二分している。
 3.あらすじ
・長きに渡り戦い続けてきた帝国と王国は両国共に決め手を欠き、休戦条約を
結ぶ事になった。しかし、その使節として派遣された、帝国の第一皇子と皇女
の乗った飛行船が、連絡不足の為に迎撃に上がった王国航空隊の攻撃を受け撃
沈されるという事件が発生する。第一皇子は死亡、皇女は行方不明という惨事
となってしまった。一方、飛行船迎撃に出撃した王国航空隊も一機の未帰還機
を出していた。航空隊の整備士であり、その戦闘機操縦士の妹(風色の少女)
は、復讐を誓って自らも戦闘機操縦士となる事を決心する。
 なお、この事件で両国間の緊張は高まったが、結局、休戦条約は大きなしこ
りを残したまま締結された。
 そして四年後。再び両国間に戦争が勃発する。開戦早々、帝国の例の事件の
際には飛行船護衛の任についていた戦闘機操縦士が、空中戦によって撃墜され、
飛行船が墜落した現場にほど近い位置に不時着する。そして彼は地図にも載っ
ていないような小さな村にたどり着き、記憶を失った皇女を発見する。飛行機
は修理可能だったが操縦士自身が怪我を負っており、皇女に操縦技術を教えて
帝国府に連れ帰ろうとする。
 戦争開始から三ケ月後。王国軍筆頭軍師の立案した壮大な作戦が発動された。
それは、王国水軍の保有する航空母艦全てと多数の飛行船を投入し、帝国の首
都を奇襲し帝国府を制圧するというものだった。風色の少女も操縦士としてそ
の作戦に参加するが、敵地上空で被弾して市内に脱出する羽目になる。一方、
皇帝を捕虜にした事で作戦自体は成功したかに見えたが、帝国軍は徹底抗戦を
宣言。降下した王国軍部隊は逆に包囲され、窮地に立たされる。
 首都内の王国地下組織に身を寄せた風色の少女は、帝国空軍が輝光石を動力
源とした新型戦闘機を思索している事を知り、それの奪取計画に参加する。
 一方、皇女は戦闘機操縦士の助けを借り、父である皇帝の救助に向かおうと
するのだが……。

 うぅー、ここまでしか考えられん。何かうまくいかないなぁ。テーマの都合
上、「一方」ばかりになってしまう。それに、どうも王国寄りの話になってい
る気もするし。やはり両者分け隔てなく書くのは大変そう。皇女の記憶喪失を
どう生かすか、考えてないのが痛い。消化不良やね。

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★「うち文」計画進捗状況に関する報告 第一回
決定事項
・主人公は「風色の少女」。
・輝光石を用いて飛行する機械が物語のカギになる。
・金属の存在しない世界。その代わり、セラミック(硬磁器)が発達している。

暫定事項
・二つの陣営のどちらが主人公側か、読み手には分からない方向で話を進める。
・物語世界の名前は「リムリース」。一応、惑星上に存在する世界であるが、
その世界における大陸は一つしかなく(パンゲアのようなもの)、金属が存在
しないために技術的な限界があり、地動説を証明できない。従って、人々のほ
とんどが天動説を信じている。
・リムリース大陸の東部には、ランディール帝国と呼ばれる軍事国家がある。
その東の海には、昔から大陸の人々が知る唯一の大島・グリミーカ島がある。
さらにその北東部にも諸島があり、「八島」と呼ばれている。なお、その中で
最も大きな島・「二島」に那護野帝国(笑)がある。この諸島の存在は十九聖
紀に入ってから知られ始めた。
・物語世界の時代は二十聖紀、聖暦一九四一年前後とする。
・物語世界には、「国が危機に瀕したとき、風色の髪と瞳を持った少女が現れ、
輝光石の力を用いて滅亡から救う」という「風色の英雄伝」が大小合わせて二
十前後存在する。十四聖紀の「飛龍輝光伝」や十六聖紀の「ナゴヤ帝国」も、
その中の一つである。その伝説の発端は、「五英雄伝(オルタネート2の『地
獄の底までファンタジー』)」(原案:由良君)で、「天の魔道士」コトリン
(初代・風色の少女)、「土の魔剣士」クリバック、「風の龍騎士」スウェル
ド、「火の魔道騎士」レブノス、「水の騎士団長」クレスタの五人の名は、三
歳児でも知っているほど有名である(一番人気はレブノス)。
・風色の少女に開口一番「これからどうすればいいの?」と言わせる(苦笑)。
・「素晴らしい作戦」を考える軍師が登場する。それイコール、風色の少女で
もかまわない。

未定事項
・輝光石をどのように用いて飛行機を飛ばすか。
・飛行機の存在がどの程度世間に浸透しているのか。


執筆予定「侍の翼(『飛光機物語基本案その一・通称ナゴヤ帝国』改題)」案
 何だかよく知らないが、ウケがいいらしいのでこれも小説化しようと考えて
いる(四百字詰め原稿用紙百枚程度)。「カタカナ名前は読みにくい」そうな
ので、漢字表記にすることにした。こんなもんでどうだろう。

・タカトラ  →  樫村鷹虎
・ツナチカ  →  樫村綱近
・ミツナリ  →  下川光成
・キヨツナ  →  下川清綱(これだけが元の名前と一緒)
・カズマサ  →  西沢和将
・ヤヒョウエ →  小園矢兵衛
・ナガマサ  →  笹井長正
・ヒサマサ  →  笹井久正
・ノブナガ  →  八畑信永
・ヒデヨシ  →  六津秀良
・シゲハル  →  白木重春

・ナゴヤ帝国 →  那護野帝国
・オウミ国  →  王海国

・オダニ城  →  尾谷城
・姉川の戦い →  美多村の合戦
・サワヤマ  →  佐輪山

 樫村、下川という名前を見ただけで、分かる人には飛行機がぶっこわれる運
命にあることが分かる仕組みになっている(!)。
 あと、「ヒカル」はどうすべきなのだろう。何か時代が悪いという雰囲気が
あるな(意識過剰か?)。半年前に考えたときは何の問題もなかったのに。

飛光機「天風」
・基本は複葉機。ただし、尾部に輝光石の放つ光を指向させる噴射口がある。
複葉の上側の翼は視界を確保する目的から胴体中部の高さに下げられている。
また、上側の翼に揚力確保、下側に姿勢制御の役割が与えられており、下側の
翼は上よりも二回り小さい。どちらの翼も、翼の先三分の一程度の位置から少
し上に反っている。降着装置はソリ。機首の風車(プロペラ)は四翔。

「何で翼が二つずつあるんだ?」
 設計図を覗き込んでいた鷹虎が聞く。
「それは強度の問題なんだよ。一枚で済ませる方が後々面倒がないのは分かっ
ているんだけどね、それだと、硬磁器並みの堅さと竹並みの軽さを合わせ持つ
材料が必要になるんだ。今からそんなものを探すわけにもいかないしね」
 墨壷を使って飛光機の製図に励んでいた光成が手を止めて応じる。

 基本的なスタンスはこんな感じで、飛光機の制作過程が話の半分ほどを占め
ると思う。何せ、当初案では、(光=ライト)の連想から「物語世界のライト
兄弟」というオチを付けるつもりだったぐらいだから。

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<<(習作)作品解説>>
「風の行方」
 島津が彷徨君に、「君も書くんだ。書け、書け」と言って書かせた作品(の
書き出し)。まだ物語は始まったばかりで、導入さえも終わっていないようだ。
彷徨君がどんなのを書きたいのかは、何となく見えたような気がする。
 視点があちこちに移動して定まっていないことについては、「書きたい小説
の雰囲気を表現したかったから、視点についてはあまり深く考えてなかった。
勘弁してほしい」とのこと。(この文章のみ、永山記す)

「飛龍輝光伝 1」
 最初は、彷徨君原案の「飛光機物語・基本案その二」を小説化するつもりだ
ったのです。が、書いていくうちに色々と納得できない箇所が出てしまい、そ
れなら原案にとらわれずに自分で書いた方が早い、ということになった訳です。
「ファンタジー世界におけるLIC(低烈度紛争)という感じで、剣と弓と己
の技術を武器に戦う者達を描くのが目標です。今回は龍の陰も形も出てきませ
んでしたが、ひょっとすると次も出ないかも。最後の最後で大暴れする予定な
ので、こればっかりはどうにも。

「地獄の底までファンタジー」
 十日ほどで作っているので、辻褄が合わない場面や、手を抜いているのが明
白な箇所がいくつもあります。しかし今回は、四百字詰め原稿用紙百枚分で話
を完結させる、という目標が達成されたのでよしとすべきでしょう。ただ、「
軽いノリ」を目指すつもりだったのですが、文体はそう簡単に変えられず、中
途半端という印象がぬぐえないのが残念。悪ノリしている点については少し反
省。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

3−4(習作)に続く




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