AWC ちょっと恐い話 第七話  登季島


        
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★タイトル (LLD     )  95/ 3/ 7  22: 3  ( 29)
ちょっと恐い話 第七話  登季島
★内容
 男と女が断崖に立っていた。男には妻があり、女には夫
があったが、にもかかわらず二人は愛し合った。
 しかし、男は妻に、女は夫に絶対に別れないと言われて
しまった。もはやあの世でいっしょになるしかないと、二
人は決めた。
「さあ、いこうか、いち、にのさんで、ね」
 男が言った。女は静かにうなずいた。
「よし、目をつぶって、いち、にのさん!」
 さん、というところで男の声は大きくなった。思い切っ
て、というところだろうか。

 しかし、男は飛び込まなかった。女とて同様である。二
人はほぼ同時に目を開け、下をのぞき込み、それから隣の
存在に気がついた。
 二人は奇妙な笑いを浮かべた。
「あなたは名士だから」
 と女が言うと
「君も美人だから」
 男が返した。
「何か、きれいに別れられるね」
 男が言うと
「本当ね」
 と女があいずちを打った。
 ちょっとした沈黙の後、
「駅までは送ってね」
 と女が男にほほえんだ。


                おわり




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