AWC 闘争からの逃走 第五章   ケル


        
#3987/7701 連載
★タイトル (LMF     )  95/ 1/15  20:23  ( 32)
闘争からの逃走 第五章   ケル
★内容
小山田は警察官になって10年になるが、今日ほど自分の警察官としての資質を
疑った事はなかった。容疑者を目の前にしながら、みすみす取り逃がしてしまっ
たのだ、同期の内では出世頭と呼ばれていただけに、彼の自尊心は大いに傷つい
た。課長のいやみ臭い説教がそれに拍車をかけたのも、その原因だったが。

「それにしても・・・大胆な奴だ・・・」
小山田は呟いた。
一介の高校生が殺人事件を犯すのは、最近は珍しくもなかったが、それにしても
こいつは大したタマだ、犯行現場に戻るのは犯罪者の習性だが、あんなに早く、
しかも戻るだけでなく、現場の警察官(つまり自分だが)から情報収拾までして
のけるとは・・・もっとも、収拾と言うよりは自分が勝手に話してしまったのだが
、だから課長の説教なんか食らうハメになったんだ、くっそ!!あのガキ!!
たしかに挙動不審な所はあった、しかし自分の学校で殺人事件があれば、動揺して
もしょうがない、と同情的に見たのが仇になった。
言い訳をするのでは無いが、あの少年が殺人を犯すようには℃ゥ分には見えなかった
のも事実である。聞き込みの結果も、ごく普通の学生だったという声しか聞かれなか
ったし、そんな少年に教師を殺害する事なぞできるだろうか?しかも心臓を正確に
刺してあったのだ、衝動で刺したのにしては的確に急所を捕らえてあった。
担任になった事は無く、授業の担当になった事も無い教師に恨みを抱くとも思え
ないし・・・・・ま、それだけで動機が無いとは言い切れないが、今一つ納得でき
ないのである。
納得できないと言えば、本物の事件の目撃者である大友しのぶの証言b烽サうだった。
一応、動揺していたように見えたが、それにしては話す事が正確で無駄が無かった、
いや、正確な証言にこした事は無いが、余りにも理路整然としすぎている、殺人の
現場を直接見てしまった女子高校生にしては・・・。
一介の高校生にしては・・・・か、今回の事件は容疑者も証人も一介の高校生に
してはという言葉が頭につくな・・・。
大友しのぶは自宅に帰してしまったが、もう一度話を聞いてみる必要がありそうだ、
どうにも、ひっかかるモノがある・・・・・さっき説教されたばかりだが、この事
は課長に報告せにゃなるまい! ふー・・・どうにも長引きそうな事件になりそう
な予感がする。
小山田は、自分のよく当たる悪い予感を感じながら課長室へむかった。




前のメッセージ 次のメッセージ 
「連載」一覧 ケルの作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE