#3984/7701 連載
★タイトル (LMF ) 95/ 1/14 0:43 ( 45)
闘争からの逃走 第三章 ケル
★内容
学校へと戻る間、彼の頭は大友しのぶに対する怒りで溢れていた。
女という生き物は判らない、知らない仲ではないのに「人殺し!!」とは何事
だ!!
・・・・・しかし、あれは、あの死体は本当に死んでいたのだろうか?
ひょっとすると、あの教師と大友が共謀しておれをからかったのでは!?
しかし、彼の両手についた血糊は本物にしか見えなかった。
他人の血を間近で見るのは初めてだったが、少なくとも本物である事は
彼にも判断できた。
・・・・・ひょっとして俺は夢でもみているのでは?
しかし、夢でない事はずっと前から自覚していた。
全てが現実である事を認めた頃、学校の近くに到着した。
。
やはり日本の警察は優秀だった。既に校門の前に3、4台のパトカーが
停車していた。
近くに警官の姿は見えなかったので、校内に入りあの部屋の見える位置まで
行くと人垣の向こうに何人もの警官が立っているのが見え、緊張感が全身を
走り体の震えが止まらなかった。
人垣を分けて前まで出ると、それ以上列が前に出ないよう整理をしている警官
に声をかけた。
「あ、あのーーすいません・・・」
「ここからは立ち入り禁止です、入れませんよ」
「じ、実は、み、見たんですが、」
「見たって?何を・・・・現場を見たんですか?それても犯人を!?」
「現場を見たんです、最初に見たのは、ぼ、僕だと思うのですが!」
「・・・・・本当ですか?自信を持って見たと思いますか!?」
「は、はい!間違い無いと・・・」
「判りました、そこで待っていて下さい」
警官が携帯している無線機で何か話している時、彼は沸き上がる不安に
苛まれていた、彼はあまり口の達者な方では無く、事件の全容、そして自分が
無関係である事をうまく説明する自信が無かったからである。
「すみません!それではこちらに来ていただけませんか?」
警官の声に彼の不安は一層膨らんだ。
警官は彼を陸上部の部室の前まで連れていった、そこには制服の警官に混じり
何人かの私服警官らしき人間がいた。
彼を連れてきた警官は現場の責任者とおぼしき人物に二言三言告げると再び
人垣の方へ向かった。
その私服の警官がこちらを振り向きもせず、部下と何かを相談している間、
彼は大友しのぶの姿を探していた。
当然、彼女は警察に自分が犯人であると証言しただろう、自分が関係ない事を
証明するためには彼女がこの場にいた方が都合がいいだろう、しかしあの悲鳴を
あげて、又騒ぎだすかもしれない、その場合かえって自分の話しを聞いてもらう
機会を失うかもしれない、第一おれ自信が冷静さを失うかも・・・・
彼の頭に不吉な予感が浮かび始めた時、私服警官がこちらに近づいて来た。
「小山田警部補です、現場を最初に見られたそうで・・・」
静かだがドスのきいた声だった。