AWC    17 民芸品その他


        
#3842/7701 連載
★タイトル (GSC     )  94/ 9/24   4:20  (138)
   17 民芸品その他
★内容

 赤ベコ・三春駒・猫に紙袋・姫だるま・竹人形……。買った記憶はあるが、どこに
しまい込んだのか分からない。高山のコキリコと、天童の将棋の駒を買わなかったの
が今でも悔やまれる。

 城の模型も幾つか集めたが、近ごろでは金属製でなく、プラスティック製が多くて
面白味がない。

 キーホルダーは手軽なので、20個は買っていると思う。いずれも鉄製で、特に北
海道の形をしたキーホルダーがいい。

 釜飯の器にいたっては、16個もとってあったので、ある日さすがに少し捨てた。

 父の日とか誕生日には、子供達が私の喜びそうな品物を見つけてきてプレゼントし
てくれる。ちりとりとほうき・十手と印篭・提灯……。
 バレンタインデーに私がチョコレートをもらえるのはわが娘たちくらいであるが、
その入れ物がヴァイオリンや笛の形をしていたりするので、それらは大切に皆保存し
てある。

 箸置きもずいぶん集めたことがあり、それも戸棚の引き出しで眠っている。

 先日はデパートの催し物『木曽の木製品』でトレイを買い、今日はまた『瀬戸物祭
り』へ出かけて行って、陶器のポストを買ってしまった。
 しかしながら、私の買う物はほぼ1000〜3000円くらいで、5000円以上
の品物をほとんど買ったことがない。自分でも何か中途半端な感じがするが…。

 娘がまだ幼かった頃、家中のオルゴールを全部集めて、一度に鳴らしたことがあっ
た。
 エリーゼのために・アヴェマリア・黒い瞳・越後獅子・江戸の子守歌・ドレミの歌・
トゥルーラブ……、十数曲はあったと思う。

 このように安物を少しずつ買い集めたり、捨てるべき品物をしまっておいたりする
のが私の性格で、例えば汽車弁の富山名物『鱒寿司』に使ってある割り竹とか、高崎
名物『だるま弁当』のからの容器などをきれいに洗ってとっておいたりするので、家
の中が狭くて困る。
 湯たんぽに穴があいて水漏れするようになったので、廃品回収に出した時も、その
栓(蓋)を保存しておいて、今度栓の方がなくなった時にそれを使おうというつもり
だったが、時代は変わり、年寄りも赤ん坊もいなくなった今、湯たんぽを使うことが
なくなった。

 引越しの話に戻るが、私は札幌に移住する時沢山の荷物を名古屋から郵送し、それ
に用いた段ボールのから箱を全部天井裏にしまっておいた。いずれまた引越しする時
きっと役にたつと考えたからだが、11年後に再び名古屋へ引越しすることになって、
天井裏から段ボールの箱を下ろしてみたら、鼠の格好の住処になっていた。天井裏に
石綿が敷き詰めてあったので、鼠の走る音が全く聞こえず、私の家に鼠は居ないもの
とばかり思っていたのであった。





   18 楽器類

 『科学』・『学習』という小学生用の月刊誌があるが、その付録には面白いおもち
ゃがあって、私は楽器類が好きなので、そういう物を色々と取り集めている。横笛・
縦笛・トロンボーン・オカリナなど、皆プラスティック製品だが、中には音程の確か
な笛もある。

 かつて子供達が学校で使っていたリコーダーやハーモニカは幾つもあるし、私が子
供の時大切にしていたハーモニカは最も古い持ち物の一つで、やがて50年になるの
に、まだ歌を吹くことができる。

 ギター・ウクレレ・マンドリン・ピアニカ・本物の陶器のオカリナ、これらは安物
だが、ちゃんと演奏することができるし、ピアノと2台のキーボード、預かり物のア
コーディオンはまずまずの楽器である。

 さて、私の収集の話も終りに近づいた。
 このへんで、尺八とヴァイオリンについて述べなければならないが、自分で随筆を
書いておきながらソロソロ疲れを覚え、肝心な所にきて力が入らなくなってきた。そ
こで、音楽に関連する物語は別の随筆に回すことにし、所有している楽器の種類のみ
記載して、この項を終えたいと思う。

 尺八を習っていた期間は10年くらいで、奥伝の免許までもらったが、事情があっ
て今はやめている。
 その頃手に入れた尺八が、8本入りのケースに納めてあり、それは次の各種の長さ
である。
----------------------------------------------------------------------------
  一尺三寸=竹製 (貸与)
  一尺六寸=木製
  一尺七寸=竹製 (悟道 作)
  一尺八寸=木製
  一尺八寸=竹製 (貸与)
  一尺八寸=竹製 (悟道 作)
  二尺  =竹製 (悟道 作)
  二尺二寸=木製
----------------------------------------------------------------------------
 上の表中『悟道』とあるのは、愛知県に住む尺八の製作者兼演奏家、坪井悟道氏の
ことである。
 『貸与』と記してある2本の尺八は、師匠の伊藤香山氏から与えられた物で、私が
自分のお金で購入したのはそれ以外の6本である。
 中でも一番貴重なのは二尺の笛で、おおかたの尺八は二本の竹を途中でつなぎ合わ
せるように造ってあるが、この二尺の物は「直管」と言って一本の竹でできている。
音は美しいし吹き方の癖もほとんどなく、昭和60年当時の値段で12万円というの
は掘り出し物であった。

 尺八は長さ1寸につき音の高さが半音ずつ変わるように製作してあり、調子(調性)
に合わせて違う長さの尺八を選んで用いる。故に、日本の民謡や三曲(琴・三味線・
尺八)演奏において、全ての高さの音楽に対応させるためには、長さの異なる12本
の尺八を準備しておく必要がある。
 材質についていえば、木製といえども仕上げは竹そっくりで、音質も音律も非常に
良くて、竹製とほとんど遜色ない。実物を見ずに演奏だけ聞けば、木製と竹製の区別
はまずつかないであろう。それでもなおかつ竹製の方が数倍から百倍の値段であると
いうことは、良質の竹、手作りの趣、そしてやはり音質の微妙な相違に基づくもので
あって、とりわけ古今の名竹と言われる物は、その優雅で深みのある響きに体ごと引
き込まれてしまう。


 ヴァイオリンはわが家に9台ある。といっても子供用の物が、10分の1・8分の
1・4分の1・2分の1・4分の3、そして普通の大きさの物が4台である。舶来性
はドイツ製の2分の1だけで、後は全て国産の鈴木製を購入した。
 その鈴木ヴァイオリン製作所の現在の社長鈴木聡氏の新作〈820号〉と言えばか
なりの高級品で、ピアノと同じくらいの値段というのは、高いようでもあり安いよう
でもある。
 一方、現社長の祖父に当たる鈴木正吉氏の作も所有していて、これは学生時代の昔
下宿友達からもらった物だが、いかにも古楽器の響きそのもので、くすんだ音色はバ
ロックの調べを奏でるのによい!

 弓はヴァイオリンの値段の3分の1とされているが、これこそ10万円・5万円・
3万円の弓を比べてみても、私にはその違いが全然分からない。

 さて、タンスの上から長方形のケースを下ろしてきて、静かに蓋を開くと、布のカ
バーの下に〈鈴木製820号〉が横たわっている。ソッと取り出して鑑賞してみよう。
 4本の弦(E線 A線 D線 G線)・駒・顎宛・尾どめ・尾どめ紐・尾どめピン・
象眼・f字溝・指板・ネック・渦巻・糸巻き・糸巻き箱・糸まくら・表板・横板・裏
板…!
 そして私はいつものように、丁寧に布で磨いてから元のケースに納めておくのであ
る。

 もう一つのケースをピアノの上から下ろす。こちらは防水性のカバーがかけてあり、
普通の形のケースである。蓋を開くと〈鈴木正吉製作〉のヴァイオリンが眠っている。
 私は古びたこの愛器を顎に当て、左の肩に乗せる。弓を取り出し、弦を適度にしめ
てから、おもむろに挽き始めるが、最近は練習していないので、ヘンデルのソナタは
もう挽けなくなった。









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