AWC おかしまんΩ[6]/有松乃栄


        
#3322/7701 連載
★タイトル (WMH     )  93/ 9/ 4  22:23  (116)
おかしまんΩ[6]/有松乃栄
★内容


 (前回のあらすじ)
 平和な福良書店に、突如、現れた二人組の若い女性。彼女らは、史満らがうろ
たえるのも無視し、店内で、勝手に漫才を始めたのであった。
 わかりやすい、説明やのう。

          ☆★☆★☆

 『だいたい、姉ちゃんは色気なさすぎやねん。人のあげ足ばっかりとってるか
ら、男に相手にされへんねや』
 『やかましい! あげ足て、事実やないか』
 『今日は姉ちゃんのために、色気の出し方いうのを教えたろ』
 『ほー、あたしに教えてくれるんかいな。ほな、まあ聞こうやないの』
 『まず、男の子から声かけられた時の、練習や』
 『ふむ』
 『まず、日曜日とか街歩いてると、向こうから男の子の二人連れがやってきて、
 彼女ぉ、お茶しない?
 ってね』
 『ちょう待ちい』
 『何やねんな、つっかかって』
 『今時、そんなやつおらんやろ。第一、なんで関西圏内におって、
 彼女ぉ、お茶しない?
 なんて言うやつがおんねん。そんなんおったら、はったおされるで』
 『やかましなあ。かえたらええんやろ。
 ねへちゃん、茶ぁしばかへんけへぇ?』
 『なんで、そないに鼻からぬくねん! 普通に言い。アホの子やないねんから』
 『やかましなあ。話、前進まへんやんか。
 ねーちゃん、茶ぁいかへん?
 って、まあ声かけられるわな。そしたら、姉ちゃんやったら、どうする?』
 『そうやなあ』
 『もっぺんほな、声かける所からな。
 ねーちゃん、茶ぁいかへん?』
 『あいよ』
 『待てぇ! なんやねん。その。
 あいよ。
 て! ホンマに色気もヘッタクレもないガキやのう』
 『あんたのが、ガラ悪いがな。それに、あたしが姉や。あんたのが、ガキやな
いの』
 『とにかく、姉ちゃん、それでは男つかまらんわ』
 『そう?』
 『あたしがお手本見せたるから。姉ちゃん、声かけてみて』
 『そっか? ほな、いくで。
 ねーちゃん、茶ぁいかへん?』
 『あら、あたしのこと? あたし、青山の高いコーヒーしか飲まなくてよ』
 『生意気なアマやのう!』
 『それでええねんて、少々、タカビーでワガママな方が、男は燃えるもんやっ
て』
 『なんで、青山やねん。実名、出しなや』
 『ええやんか。青山、高いやん。天気予報のスポンサーやってんねんで。てて
てって、てててって、てててってってー』
 『テーマ曲を歌うなあっ!』
 『てててって、てててって、てててててててー』
 『踊りをいれるな! ホンマ、関西ローカルすぎるネタやなあ』
 『とにかく、ワガママっぽいところが、色気になるねん』
 『そうか? ほな、なんであんたはそんなにワガママなのに、あんまし色気な
いねん』
 『そんなもん、お姉ちゃんの妹やからやんか』
 『もうええわ!』
 再び、二人、一礼し、そのままそそくさと、店外へ出て行った。
 「な、なんやったんやろ。あの二人……」
 「さあ……あっ!」
 愛子が店内を見て、叫び声をあげた。いつの間にか、店中の本が一冊もなくなっ
ていたのだ。
 「んなアホなあっ!」
 そう言うのも仕方がない。本当に、んなアホなである。二人が訳のわからん漫
才に呆然とと立ちつくしている間に、何者かが、店内に侵入し、店の本や雑誌を
全部持ち出してしまったようだ。
 「あはははは、あはははははは……」
 「アイコン! しっかりせいっ」
 ショックで、笑いが止まらなくなってしまった愛子。もはや、この店は福良書
店ではない。本がないのだから、書店ではない訳で、単なる“福良”なのである。
 「あはは、あはははははははは」

          ☆★☆★☆

 その頃。
 「それじゃあ約束通り、これギャラの三千円だべ」
 花宮南商店街、福良書店、もとい“福良”すぐの路地裏。さきほどの漫才コン
ビ、マヨネーズ八戸&ドレッシング水戸が、四十前後の謎の中年男から三千円を
手渡されていた。
 「はい。確かに。しかし、おたく何者ですのん?」
 「それは聞かない約束だべさ」
 「まあ、いいですけどね」
 と、二人が立ち去ると、電柱の陰から、二人の若い男女がひょっこりと顔を出
した。若い男の方は帽子を、つばを逆向きにしてかぶっており、長身で痩せ型、
女の方はルーズにあみこんだ髪型をしていて、どちらも二十前後のようだ。
 「うまくいきましたな。スナック様」
 若い男が、中年男に言った。
 「まあ、そうだべな。最初の予定では、あの二人組のアマチュア漫才師を使っ
て、オカシマンと福良愛子が笑いころげているスキに、店内の商品を移送する予
定だったけれども、もう少し、面白い漫才師を使うべきだったべかな」
 「しかし、プロ使うのは高い言うたん、スナック様ですがな。我々としては、
せめて、オールロッテ・ダイエー、クラスの漫才師をと……」
 「予算がないから、どうしようもないだべ。まあ、結果としてはオーライだか
ら、いいだべよ。アタック、紅虻」
 「はっ」
 「はっ」
 男女が揃って、返事をする。
 「お前達の今回の働きは、目をみはるものがあったべ。さすが我が、ミスター・
スナック世界征服商店の、レギュラーだけのことはある」
 「ありがとうございます」
 女が、控え目に答える。
 「今後とも、よろしく頼むべよ」
 「わかっております。スナック様。必ずや、あのオカシマンを倒し、我々の野
望の第一歩、花宮地区征服を、成し遂げてみせます」
 「頼もしいべ。紅虻。ほっほっほっ」
 なんだか、いきなり展開がこみいってきたのは、マンネリ化を防ぐためなのか、
それとも、当初の予定通りストーリーが進んでいるのか。それは、作者にしかわ
からないが、とにかく、オカシマンにもついに、敵の出現ということで、ますま
すキャラクターが多くなり、始末におえないのであった。
 がんばれ、作者……もとい、オカシマン。スケールの小さい、悪役も適当にが
んばってほしいものである。

                                (つづく)





前のメッセージ 次のメッセージ 
「連載」一覧 有松乃栄の作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE