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The Last War 4 − 2 Marchin Muller
★内容
4
事件の前々日 十二月三日午前二時四0分 行方不明になっていたスミス教団の
生き残りが陸軍基地に現れた。基地施設を破壊する目的で正面ゲートを突破しよう
としていた。暗闇の中を一台の軍用トラックが突進してくる。
「止まれー!」
トラックからゲートに向けて機関銃が放たれる。黒い闇の中に火花が這う。警備
兵もそれに応戦する。しかし、ゲートは易々と突破されてしまった。
「こちら正面ゲート……、敵です」
軍用トラックは正面ゲートを突破したあと目標を求めて基地内を走り回っていた。
「あのトラックだ!追え!」
二台のジープで警備兵が追跡を始めた。
「先回りして道を塞ぐんだ。挟み撃ちにする」
トラックの行く手に三台のジープが現れ、道を塞いだ。後ろから来た二台のジー
プが退路を塞いだ。トラックは止まらない。直進しながら機関銃を打ち始めた。警
備兵もそれに応え、トラックに向けて銃火を集中させた。それでもトラックは停止
しなかった。トラックは前方の三台のジープうち中央の一台に激しくぶつかった。
トラックは横転し、数十メートル滑り、そして、停止した。数秒後、トラックは炎
を上げた。そして、爆発した。
「マードック準将、スミス教団の残党が陸軍基地に現れました」
「状況は?」
「トラックでゲートを突破し基地内に侵入したようです」
「それで」
「基地内で包囲戦滅したもようです」
「ふむ、全て片づいたのかな。トラウトマン少佐?」
「詳しい事は分かっておりません」
「調査にいってくれ」
「はい」
スミス教団の残党の一名の焼死が確認された。そして、基地周辺でうろついてい
た暴徒の協力者が逮捕された。しかし、最後の残党、二名の行方は掴めずにいた。
「準将、暴徒二名を見失いました」
「そうか……、次の目標はわからんのか」
「逮捕した協力者からは何も情報が得られません。彼らは何も知らないものと思
われます」
「そうだろうな。引き続き各基地に警戒強化命令を出してくれ」
「は!」
十二月四日二十三時三十五分 警戒強化命令の出た基地への侵入は不可能と判断
した暴徒たちは目標を変更していた。警戒の薄い空軍基地、それも国連軍の駐留す
る基地に侵入していたのだ。黒塗りの男達は空軍基地の脇に車を止めた。そして、
フェンスの金網を鋏で切り、穴を開けた。暴徒達はその穴をくぐり基地内への侵入
を果たした。そして、滑走路の脇に駐機してあったF/A18に爆発物を設置した。
スミス教団の残党二名は侵入してきたフェンスの穴から外に出ようとしていた。
そこで二人は警備兵に発見された。
「止まれ!」
その叫び声と同時に、銃撃戦が始まった。一人はフェンスをくぐり抜け、フェン
スの外に止めてあった車に飛び乗った。警備兵の銃弾が車のタイヤを打ち抜いたが、
男は無理矢理、車を発進させた。警備兵の銃火はさらに激しく車を襲った。車は左
に進路を逸らし、前輪を側溝にはめて左に傾いた。もう一人はフェンスの穴に体を
くぐらせているところをフェンスの内、外から囲まれた。男は取り押さえられた。
「トラウトマン少佐、来てくれ」
「何でしょうか」少佐が姿を現した。
「少佐、エドワーズ空軍基地にあの残党が現れたそうだ」
「捕らえたのですか」
「一人は射殺されたが、もう一人は逮捕された。尋問に行ってくれ」
「はい」
「分かっているな」マードック準将の瞳がギラリとするのを少佐は見逃さず、そ
れに対して敬礼を返した。
十二月五日五時二十分早朝 エドワーズ空軍基地の正面ゲートにトラウトマン少
佐の乗った軍用自動車が入ってきた。
「私はトラウトマンだ。スミス教団の残党の尋問に来た」
「少佐、どうぞ、ご案内します」
車は警備兵を乗せて基地内に入って行った。
「はずせー」
暴徒は椅子に縛り付けられてもがいていた。二人の警備兵が尋問している。
「ここで何をしていたんだ」
「へへへ、お楽しみだぜ」
警備兵の一人が膝蹴りを男の腹部にいれる。
「ううう」
「何をしていたかと聞いているんだ」
「……」
その部屋の扉が開きトラウトマン少佐が姿を現した。案内の警備兵は敬礼すると
出て行き、扉は再び閉じられた。
「はずせー」暴徒は再び叫び暴れた。
少佐は尋問していた警備兵にロープを解くように指図した。
「何をしていたんだ」少佐が問いただすと同時に男は襲いかかってきた。
「ウォー」
少佐は男の顔面にパンチを入れた。少佐はよろめいた男の腕を後ろに取り、引き
上げた。
「そんな事で喋るものか」
「これでどうかな」少佐はさらに腕を引き上げ、膝で男の背中を押した。
ボキボキと骨の折れる音がした。
「ウァー、うぐ」男は口から泡と血を吐きうなだれてしまった。
「少佐、舌を噛んだようです」
「失敗したか。君達、今までにこいつは何か喋ったかね?」
「いいえ、何も」
「そうか、基地内を捜索してくれ。爆発物があるかもしれん」
「はい」
少佐はそれ以上は喋らず基地から出て行った。
「マードック準将、片づきました」
「奴は死んだか……。何も喋らなかったのだな」
「はい」
準将は満足そうに受話器を切ると、身を反らし椅子に深々と身を沈めた。
エドワーズ空軍基地内の捜索が行われた。結局、爆発物は発見する事が出来なか
った。そして、予定通り航空ショーが開催された。
5
十二月五日はエドワーズ空軍基地で最も長い日となった。十三時三十五分、ジェ
ットエンジェルス編隊長機が火を吹き、観衆の居る滑走路脇に落ちてきた。
炎は観衆の逃げ場を奪っていた。地上は逃げまどう観衆の叫び声で埋まっていた。
その悲鳴は上空を回るジェットエンジェルスのエンジンの轟音にも勝っていた。
ニトムズは呆然と立ち、婚約者を失った事を認識して、身をコンクリートの段の
上に沈めた。
この事件での死者はパイロット一名、観衆四百五十三名、負傷者五百三十二名と
この種の事故でも最大のものとなった。ジェットエンジェルスの名は当初の意図に
反した形で有名になった。
そして、その後ジェットエンジェルスの公開飛行は行われる事はなかった。
炎が地を埋めていた。観衆が蟻のように右往左往している。それを、上空から見
おろしながら、轟音の中で五人の天使達が叫んでいる。
「大尉!」
ジェーンは一人呟いた。
「これからというときに……」
「これからどうすればいいの!」ジェニファーが叫んだ。
「管制塔、こちらJA2、レイリー中尉、着陸許可願います」
「各機、一八番−B滑走路に順次着陸して下さい」
「了解」
事件から一週間が経っていた。
夕暮れの中にニトムズ少佐は一人立っている。
「さよなら、マリー……」
少佐の前にはマリー レオンハルトの名が刻んである墓石がある。その墓石の前
には花束が置かれていた。
少佐の目の前には、青い目の黒長髪の美女の姿が浮かんでいる。そして、彼女に
語りかける。
「……、彼女たちだけでうまくやってくれるよな。マリー、君もそこから見守っ
てやってくれ」
彼女の幻影は静止画のままで、何も答えない。
青々とした芝生の上に等間隔に白い墓石が並んでいる。そんな一つの墓石の前に
少佐は佇んでいた。
「私は引退する……。彼女たちもわっかってるれるよな……、マリー……」
(続く)
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いやー、今回はいきなり一章分話が抜けた形で始まってしまいました。これは、
この間にはいるべき話が書けなかったのではなく、エロ話をこの話の中にいれたく
ないから……とかいいながら、書けなかったりして…。まあ言い訳してますが、こ
の章が上がるまでに時間がかかったのはデートやらキャンプやらで時間を追われて
いたからです。決してエロ話が書けないわけではなく…。いや、本当は、いまいち
ネタがまとまらないのでこの章は別枠にしたのでした。誰かエロネタ下さい。<な
んじゃそれは!>
前にご忠告のありました。「小粒でもなんとか完結させた」はできるだけ、章毎
に完結と言った形で進める。そして「一人一人のキャラクター」は最低重要な人物
のキャラクターだけははっきりさせる。などと自分なりの解決方法で対処しようと
しています。無理があるとは思いますが…。
それから、登場人物が次から次ぎへと、死んで行きますが、まだ、この物語の主
人公は揃っていません。次回で、主な主人公はすべて登場する予定です。ゲゲ!
(~_~;;)
結末は既に決まっているのですが、誰がいつ死ぬかは決まっていないのどえす。
全く、困ったものだ。そんなわけで、私の知らない内に整合性が失われているケー
スが出てくるかもしれません。意図して整合性を失わせるケースはないと思います
から…。そんなときは厳しく注意していただければ……幸いです。やっぱ最後に全
体を書き直さないといけないですね。では、また! バイバイ (^_^)
Marchin Muller