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★タイトル (KCF ) 93/ 5/23 23:49 (197)
掲示板(BBS)最高傑作集52
★内容
(「掲示板(BBS)最高傑作集51」からの続き)
やがて司会者がマイクで叫びました。
「もうすぐ1回目のフリータイムは終わりにします。終了後はすぐに『第1印象
カード』に記入していただきます。」
私は焦りました。何しろたったの2人の女としか話を交わしていなかったから
です。しかも、その2人とも救いようのない醜女であるだけでなく、時代遅れの
典型的な日本人の思考しか持ち合わせていないため、「第1印象」だろうが何だ
ろうが、どう間違っても絶対に指名したくはない女達だったのです。
そこで私は、『第1印象カード』で指名する人を探すため、パーティーに参加
している女全員の顔をじっくりと見回しました。そして、数多くの醜女の中で比
較的ましと思える女が2人いることがわかったので、私はその中から髪の短い女
を『第1印象』で指名することにしました。その女は、この会場からひとたび六
本木の街に出たら、誰にも美人だとは思ってはくれないのでしょうが、その日の
ねるとんパーティーに参加していた醜女達の中ではピカ一の「美人」でした。
やがて、醜い司会者の男女がマイクで話し始めました。
「そろそろ、1回目のフリータイムを終わりにします。みなさん、話をやめて席
についてください。」
「みなさん、たくさんの異性と話ができたでしょうか。」
「早速ですが、みなさんに今から『第1印象カード』に記入していただきます。」
「カードの左にある『あなたの番号』の下には自分の番号を、右にある『相手の
番号』の下には気に入った異性の番号を書いてください。」
「カード下部の『気に入った理由』の下には、どうしてその人を気に入ったか書
いてください。『性格がよさそうだったから』だとか『素敵だったから』など、
何でも構いませんから必ず書いてください。」
「書き終わったら、スタッフに渡してください。」
私は、先ほど決めた「美人」の女の番号を書き、「気に入った理由」の欄に
「最近会った女性の中で一番美人だったから。」と、その女が飛び上がって喜ん
でしまいそうなでたらめな冗談を書いておきました。
しばらくして、スタッフが「第1印象カード」を集めに来たので、私は記入し
終えたカードをスタッフに手渡しました。他のみんなも記入を終えたらしく、
「第1印象カード」をスタッフに渡していました。
司会者が再び話し始めました。
「みなさん、『第1印象カード』を記入して、スタッフに渡したでしょうか?」
「まだの方は手を上げてください。」
「もういませんか?」
「いないようですね。」
「それでは今から、2回目のフリータイムに入ります。このフリータイムは、最
初にも申しましたように、食事をしながら会話を自由に楽しんでいただくもので
す。先ほど集めました『第1印象カード』は、現在、スタッフが集計しておりま
すので、結果がわかり次第みなさんに発表いたします。」
「それではバイキング料理を楽しみながらおしゃべりを始めてください。」
参加者は全員、料理のある所へ殺到してきました。私は、みんなの気持ちは痛
いほどわかりました。みんなは、美人の女やハンサムな男の恋人を見つけようと
思い、高い金(男:6千5百円、女:3千円)を払ってこのねるとんパーティー
に来たのです。ところが、参加している人達が醜男と醜女ばかりじゃ、出された
料理を食いまくって元を取ってやろう、と誰だって考えます。
そんなわけですので、私がバイキング形式の料理を取りに行ったときには、牛
肉などの高そうな料理はすでになく、「かいわれ」が数本、かろうじて残ってい
るだけでした。
私が「精進料理」を皿に取って、テーブルに戻ると、すぐに司会者が再び話し
始めました。
「お食事中のところすみません。『第1印象カード』の集計が終わりましたので、
早速ですが結果を発表させていただきます。」
みんなは食事を中断し、司会者に耳を傾けました。
「さあ、何組の男女が『第1印象』でお互いを気に入っていたでしょうか。」
「それでは発表します。」
会場内がシーンとなりました。
「何組ですか?」
「ゼロ組です。」
「えー? こんなの私、初めてです。」
「私も初めてですよ、『第1印象』で1組のカップルもいないなんて。」
「本当に珍しいことですね。」
「普通は必ず3組くらいできます。今日はいったいどうしたんでしょうかね。」
「でも、みなさん、がっかりしないでください。これはあくまでも『第1印象』
でカップルができなかったというだけですから。」
「そうです。ねるとんパーティーはまだ始まったばかりですので、これからみな
さん、がんばってください。」
「それでは、今から、みなさんから集めた『第1印象カード』を、指名された相
手の方へお配りいたします。
「これにより、『第1印象』でどの異性が自分のことを気に入ってくれたかがわ
かります。」
「『第1印象カード』をスタッフから受け取った人は、自分を指名してくれた人
に必ず声をかけてください。」
「2回目のフリータイムの時間は、まだたっぷりありますので、残りの時間、お
食事と異性とのおしゃべりを存分に楽しんでください。」
私は、会場内にウジャウジャいる醜女達を眺めながら、目の前にある「かいわ
れ」を口に運びました。
「第1印象」とはいえ、1組のカップルもできなかったというのは、きわめて
異常なことです。
みなさんの中には、どうしてこれが「きわめて異常」なのか分からない人もい
らっしゃると思われますので、ここで少し説明いたします。
説明を分かりやすくするために、今後は以下の略号を使用します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
一番かわいい女 =A子 一番かっこいい男 =A男
二番目にかわいい女=B子 二番目にかっこいい男=B男
三番目にかわいい女=C子 三番目にかっこいい男=C男
・ ・
・ ・
・ ・
三番目に醜い女 =X子 三番目に醜い男 =X男
二番目に醜い女 =Y子 二番目に醜い男 =Y男
一番醜い女 =Z子 一番醜い男 =Z男
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ねるとんパーティーのようなところで、参加者に「第1印象カード」に気に入
った人を書き込んでもらうと、普通は、男はみんな、A子を、女はみんな、A男
を指名するから、必ずA子とA男のカップルが最低1組はできるはずです。しか
し、私が参加したねるとんパーティーにおいては、「第1印象」でお互いに気に
入ったというカップルが1組もできなかったのです。だから「きわめて異常」な
のです。
この理論に対して、みなさんの中には、
「人の好みはさまざまだから、男がみんな、A子を、女がみんな、A男を一番気
に入るとは限らない。」
と反論なさる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、この反論は間違っています。
確かに、ねるとんパーティーでは、「第1印象」にしろ、「最終希望」にしろ、
ほとんどの場合はカップルが複数組誕生します。しかし、だからといって、ある
男はA子以外の女を一番気に入り、また、ある女はA男以外の男を一番気に入る
ということにはならないのです。
男は全員、一番かわいいA子を間違いなく一番気に入っているのです。そして、
女は全員、一番かっこいいA男を間違いなく一番気に入っているのです。
では、なぜA子以外の女を指名する男がいたり、A男以外の男を指名する女が
いるかというと、それはA子やA男は無理だと諦めるからなのです。
もう少し詳しく説明いたします。
一番かっこいいA男は、一番かわいいA子を素直に指名します。A男以外の男
はみんな、以下のように考えます。
「今日のパーティーで、かっこよさにおいて俺はA男にはどう転んでも勝てない。
自分自身の希望としては、一番かわいいA子を指名したいのだが、A子は必ずA
男を指名するだろうから、俺とA子がカップルになる可能性はほとんどない。非
常に残念だが、泣く泣くB子を指名しよう。」
だから、A子以外の女を指名する男がいるのです。
A男以外の男がこのように考えるからといって、A男以外の男が全員、B子を
指名するかというとそうではありません。
二番目にかっこいいB男は、二番目にかわいいB子を素直に指名するでしょう。
しかし、A男とB男以外の男はみんな、以下のように考えます。
「今日のパーティーで、かっこよさにおいて俺はA男とB男にはどう転んでも勝
てない。自分自身の希望としては、一番かわいいA子を諦め、二番目にかわいい
B子を指名したいのだが、B子はA男かB男を指名するだろうから、俺とB子が
カップルになる可能性はほとんどない。非常に残念だが、泣く泣くC子を指名し
よう。」
A男とB男以外の男がこのように考えるからといって、A男とB男以外の男が
全員、C子を指名するかというとそうではありません。
3番目にかっこいいC男は、3番目にかわいいC子を素直に指名するでしょう。
そこでA男とB男とC男以外の男はみんな、以下のように考えます。
「今日のパーティーで、かっこよさにおいて俺はA男とB男とC男にはどう転ん
でも勝てない。自分自身の希望としては、一番かわいいA子、二番目にかわいい
B子を諦め、三番目にかわいいC子を指名したいのだが、C子はA男かB男かC
男を指名するだろうから、俺とC子がカップルになる可能性はほとんどない。非
常に残念だが、泣く泣くD子を指名しよう。」
このように考えていくと、以下、D男はD子と、E男はE子と、F男はF子と
・・・、Y男はY子と、Z男はZ子というように、全員がカップルになるように
思えるかもしれませんが、絶対にそうはなりません。
最終的にカップルになれるのは、A男とA子、B男とB子、C男とC子、あと
はせいぜいD男とD子くらいなものです。
では、なぜE男とE子以下の男女はカップルになれないかを説明いたします。
1人1人説明していくのは面倒なので、E男、M男、Z男を例にとって説明い
たします。
E男の場合は、E子を指名すれば、上の例からいってE子とカップルになれる
可能性があるはずです。
しかし、E子はそのパーティーでは5番目にかわいい女です。「5番目にかわ
いい」と言ったら聞こえがいいのですが、実際には、たったの26人しかいない
女の中の5番目なのです。つまり、女が100人いたら「5÷26×100=約
19番目にかわいい女」なのです。こんなの「かわいい女」ではありません。ま
してや、ねるとんパーティーに来るような女は全員、醜女なのです。もしE子が、
普通のレベルの女が集まるパーティーにいたら、順位を一気に「94番目」くら
いに落としてしまうことでしょう。
誰もこんな女を指名したくはありません。ですから、E男は、ダメでもともと
と考え、A子やB子を指名するのです。
M男の場合はE男とは明らかに異なります。
M男がどうしても女とカップルになりたいのならば、13番目にかわいいM子
を指名するのがいいでしょう。しかし、5番目くらいまでなら簡単に数えること
ができるのですが、13番目となると、どの女かを特定するのは非常に難しいの
です。参加者の女に右からかわいい順に一列に並んでもらえば、数えていけば簡
単に分かるでしょう。しかし、パーティーの間は、容姿のレベルにかかわらず、
女はばらばらに座り、常に席を移動しています。そういうわけですので、13番
目にかわいい女なんて捜し出すのはほとんど不可能です。
ですから、M男は本来、M子を指名すべきなのに、数え間違えてL子やN子を
指名してしまい、カップルになれないということも起こり得ます。
というよりも、L子、M子、N子あたりのレベルでは男は誰も指名したくあり
ません。そこでM男は、何かの手違いが起こってほしいと期待しながらA子やB
子を指名します。
Z男の場合はM男とも異なります。26番目にかわいい女は簡単に見つかるか
らです。一番かわいいA子から順に数えていくと非常に難しいかもしれませんが、
後ろから数えれば一発で分かります。
パーティーに参加している男は、X子、Y子、Z子のレベルになると誰も異性
とは考えていません。
また、Z男くらいになると、自分でもパーティーに参加している男の中で一番
かっこ悪いという自覚があり、やけになってA子やB子を指名します。
(「掲示板(BBS)最高傑作集53」に続く)