#3142/7701 連載
★タイトル (AKM ) 93/ 5/23 3:39 ( 66)
【いちゃもん突撃隊】その2 ワクロー3
★内容
【いちゃもん突撃隊】その2
昨日買ったCDを買った店に中古CDとして、たたき売ってやる。
気に入らない演奏だったので、こうして見せしめにしてやるのだ。
ほとばしる怒りを覚えつつ、さるレコード店へとやってきました。
昨日の今日だ。僕の顔を覚えているだろう。
おやじの前に出て、おもむろにCDを取りだし、
『これ。昨日買ったばかりなんですが、気に入らなかったので売
りたいのです』
そう言いました。おやじは、仕事をしてた手を休めて、こちらを
向いて問題のCDを取りだし、これみよがしに点検しました。
『どこかに傷でも?』
『傷はないんですが、演奏自体が気に入らないので、手にしてい
たくないんです』
あまりにも腹が立っていたので、余計な一言まで言ってしまいま
した。
『こんな糞みたいなCD。店に置かない方がいいですよ』
『気に入らないって、このCDをですか。どこが気に入らなかっ
たんでしょうか』
『演奏がです。演奏もそうですが、歌手もいけません、ジェシー
=ノーマンですか。他ではどうか知りませんですが、この人、これ
には向きませんね。聴くに耐えられませんでした』
『それはお客様の好みに合わなかったということでしょう。CD
自体は素晴らしいものだと思いますが、あなた。ジェシー=ノーマ
ンといえば、当代最高のソプラノですよ。シカゴ交響楽団だってり
っぱな楽団ですよ』
不遜にも反撃を試みるおやじ。これだから素人は困るのだ。
『立派かどうか。最高かどうか。そんなことはどうだっていいん
です。この曲をどの程度こなしているか。それだけが問題なんです。
その肝心要の問題がぜんぜんだめだったんです。聴くに耐えないひ
どい演奏でした』
『それはあなたが、でしょう。あなたの好みに合わなかったんで
すよね』
どこまでも食い下がるおやじめ。
『違います。これは、もう全然演奏する資格もなければ歌う資格
さえないですね。こんなCD持っているというだけで恥ずかしくな
ります。出来心とはいえこんなものを買ってしまった自分を恥じて
います。だからこそ、売りに来たんです』
『何回聴きましたか?』
『1回です。正確に言うと、完全には聴いていません。1番の方
は、2楽章の途中までであまりにもひどいので、聴くの止めました。
テ=デウムの方もサンクトスの途中までしか聴いていません』
『あなたはたったそれだけしか聴いていないのですね。それで結
論を出してしまっている。あなたこそ音楽を聴く資格がないじゃな
いですか』
なんだとう。おやじめ撃滅してくれる。
(以下次回)