#1273/1336 短編
★タイトル (PRN ) 00/ 7/ 9 12:38 ( 33)
お題>タイムマシン/おとといおいで ジョッシュ
★内容
ショートショート 「 おとといおいで 」
その日は珍しく気分が良かった。
まわりの景色がとてもきれいに見える。いつもの朝なら、会社へ行くことが
憂鬱でたまらないのに。たぶん、電車でぼくの前にすわったとびっきりの美人
のせいだろう。タイトな短いスカートからすらりと伸びた形の良い脚。
――うん、これだ!
ぼくは迷わなかった。
「すみません、ぼくと結婚してください」
脚のきれいな彼女はぼくを頭のてっぺんからつま先まで、じっくり観察して
からこう言った。
「おとといおいで」
「わかりました」
ぼくはすぐに電車を降りると、タイムマシンを呼んだ。
言われたとおり、2日前に遡るとやっぱり彼女が電車に乗っていた。
ぼくは電車に乗り込むと、真っすぐ彼女の前に歩いた。
「ぼくと結婚してください」
やはり彼女はぼくをゆっくり観察した後でこう言った。
「おとといおいで」
「はい、わかりました」
ぼくは電車を降りると、タイムマシンを呼んだ。
言われたとおり、2日前に戻った。
やっぱり彼女は電車に乗っており、ぼくがプロポーズしたら
「おとといおいで」
とそっぽを向いた。
仕方がない。ぼくはまたタイムマシンを呼んで2日前に戻った・・・。
そんなことを繰り返したので、その朝とうとうぼくは会社に遅刻してしまっ
たというわけさ。
(おしまい)