#1105/1336 短編
★タイトル (WJM ) 98/ 9/16 2:44 ( 69)
詩>二編 ..κ..
★内容
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僕が話してるとき歌ってるとき笑ってるとき
ふとみせるさみしそうな顔に
とまどうのです
人は無力
掌はいくらあなたに触れえても
どれだけの言葉を用いて
あなたの抱える困難を論じあっても
いつしか伏しがちになる瞳を
窓から差し込む夕陽のようにみつめます
言葉になるまえの
かなしみを
わかちあえないがために
僕たちは
微笑みあうことを学び
快活に振る舞いあうことを学び
誠実でいあうことを学び
祈りあうことを学び
そうして愛しあうことを学んでゆくのだとしても
たとえそうだとしても
二人はいつまで独りですか
月明かりきりの薄暗い部屋のなか
眠るあなたの額の髪を
ゆっくりとかきあげてみると
六月の雨音みたいなかなしみが
そっと僕に染み入りました
... . .. . . . . . .. . ...
車道で線をひかれた銀杏並木の銀杏たちみたいに
あなたの葉のおちいく様を目の当たりにするとき
僕も一枚一枚と葉を枝から振り落としていきたい
決して交差することのない枝は
祈りをこめて天へと伸ばす
ふるえる幹を暖めに歩み寄ることもできない
雪の日には
僕らに射した真夏の光を精いっぱい
語りあいたい
冷えていく影だけの静かな真夜中
ふとあなたの微かな鼓動がこの胸に届けられたなら
触れあうことを望むより
むしろ
いつまでも
いつまでも
いつまでも
思いあうことを望むことで
始まりの独りを美しい歌で歌いあいたい
... . .. . . . . . .. . ...
.. .κει. ..