#947/1336 短編
★タイトル (AWJ ) 97/11/25 21:30 ( 32)
「カタヨリにっき」 大二郎
★内容
「スポーツ観戦」
1997年11月、日本が10回目の挑戦にして初めて、サッカーのワールドカップ
への出場権を獲得した。自分もミーハーながら、サッカーの芸術性に、見える頃は魅か
れたものである。それだけに今回、見れなかった−−と言うか感じられなかったのが残
念でならない。
たいていの人はスポーツの試合を見るのは嫌いではない。ルールを知っていればなお
さら感心を煽る。が、逆にルールを知らないと、選手達が何をやっているのか良く理解
出来なくて、結果興味も感心も得られない。
しかし、自分のようにまったく見えなく、聴こえない者だと、どんなにルールを知っ
ていようと、興味を持っていようと、その時その時で、選手達が何をやっているのか、
やはりまったく理解出来ないのである。−−これでは単に時間を無駄に浪費しているだ
けであって、つまりは自分にとってスポーツ観戦は何の意味も持たない物だということ
になる。
しかしまあ、盲ろう者とのコミュニケーションの練習方法として野球の試合の実況中
継をするのは既に前例があるし、その点でサッカーの試合がとても伝えにくいだけなの
かも知れない。
そこで、いまの自分がサッカーの試合のあの雰囲気を存分に味わうにはどうすれば良
いか、可能不可能を考えずに挙げてみよう。
1.まず試合の前に、文字で得られる情報を得られるだけ得ておく。
2.残り時間はリアルタイムでいつでも判るようにする。
3.現在どちらのチームがボールを持っているかを、2個のバイブレーターの震動によ
り、リアルタイムで伝える。
4.出来れば、震動の仕方の違いで、ドリブル・パス・シュート・ごーる! が判る。
5.ゴール時のアナウンスくらい、誰かがちゃんと通訳してくれる。
−−まあ、これだけあったらとりあえず、自分は文句ないから、1998年6月に間
に合えばいいな、と思うのだった。