AWC 「カタヨリにっき」          大二郎


        
#946/1336 短編
★タイトル (AWJ     )  97/11/25  21:30  ( 32)
「カタヨリにっき」          大二郎
★内容
 「点字を知って、指点字を有効活用!」

 自分は耳から先にダメになった盲ろう者のくせに、手話はほとんど覚えられなかっ
た。理由は単純に、自分にそれだけの知能がなかったからだろう。
 それだけに、点字を覚えるのは速かった−−早かったでもいいんだけれど−−。文
明の進歩が味方してくれたこともあったろうけど、(多分9半年くらいで覚えた−−
いや、じつのところまだ見えていた頃に点字の一覧表を見ていて、ふとその法則性に
気が付いたのだから、点字自体は一瞬にして覚えた−−と言っても過言ではあるまい。
じつはそのくらい、点字は簡単なものなのである。
 後にして考えてみれば、六つの点のON・OFFで表現する訳だから、その範囲は
最大で2の6乗−−64通りしかない。それと−−これも後から聞いた話だけど−−
点字はもともと、暗闇で文書を読むための暗号だったらしい。
 とにかく、点字は単なる64個の、ちょっとミステリアスな記号でしかない。
 しかし、世の中にはこの64個の記号を使わない者がなんと大勢居ることだろう。
−−主に目の見える諸君にこそ告げる。とにかく一覧表を見てみよう。そしてある法
則に、自力で気付いた時、既に君は点字を読むことが出来るようになっているのだ!

 −−さて、せっかく覚えた手段も、使わなければ意味がなく、いつかは忘れてしま
う。しかし目の見える正眼者には、点字を日常的に使う機会はあまりない−−まあ、
それこそ暗号文書のやりとりくらいだろう。そこで、せっかく覚えた点字を最も有効
に活用する方法として、筆者は指点字をおすすめする。
 指点字というのは、パーキンス・ブレイラーと呼ばれる点字タイプライターの六つ
のキーの代わりに相手の指を−−もとい、相手の指を点字タイプライターのキーに見
立てて軽くタッチし、意思を伝え合うという、ユニークなコミュニケーション手段だ。
 これなら、いっさい道具を必要とせず、手を重ね合わせるだけで−−それが一番苦
労するかも知れないけど−−テレパシーのごとく話し合えるから、身体に障害を持た
ない健常者にも、たくさん有効な利用法が考えられる。
 まあそんな訳で、健常者の諸君も、指点字をおおいに悪用−−もとい活用してもら
いたいと、筆者は切に思う。
 −−ただし、同性での語らいもおおいに結構だが、くれぐれも道を踏み外すことの
なきよう、注意されたし。





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