#833/1336 短編
★タイトル (UJC ) 97/ 8/ 1 22:11 ( 31)
当座サギサギサギ’ 平山成藤2.0.1
★内容
『当座サギサギサギをタダ今上演しております』
またあの劇場でこの立て看板が立てられた。
「あ、また出てますよ」と、例によってまたあの会社員B。
「よくそこまで根性が続いているな」と、またあの会社員A。
ここでの恨みはまだ記憶に新しい。表のポスターには、
『当座サギサギサギをタダ今上演しております−−−
もう何も言いません。前作、前々作をさらに上回ってしまったスリルとサスペンス!
もう誰が役者すらも分かりません!!!』
とあった。完全にひらき直っている。
「いくんですか?」と会社員B。
「いいとも!」と会社員A。「今度こそ話の終わりを確かめてやる!」
だからよせばいいのに、会社員Aは劇場にまた突撃を開始してしまった。
会社員Bもあわてて後を追っていく。
劇場はどこまでもぐるぐると落ちていくらせん階段のはてにある、はずであった。
が、どこまで下りていっても、いつまでもらせん階段が続いていた。
ぐるぐるぐる……どこまで行ってもらせん階段である。
「いったいどこまで下りればいいんだ?」
会社員Aが悲鳴をあげた。だが会社員Bにもわからない。
「戻りましょう!」
と会社員Bが音をあげて、二人は来た道を戻りだしたが、どこまで上へのぼってみ
ても、らせん階段はいつまでもくるくると上へ続いているだけだった。
《当座サギサギサギ’・終》
−−教訓−−
タイプ213。入り口のないトラップです。