| Pandora's box(3) A-Pierrot |
#717/1336 短編
★タイトル (EFF ) 96/12/ 3 23:27 (151)
Pandora's box(3) A-Pierrot
★内容
優しさとは人を傷つける為にあり
生き抜くことの忍耐は 弱さを隠す為にある
生きることの意味を凌駕する その一瞬きに於いてのみ
自慰的な安らぎを与える
裏切ることで
掴む手が在って
契った絆を
握り返すその掌が証し/なのか
結い 束ねながら
咲けよ、下劣らない蛆虫ども
叫べよ、腐敗った膿まみれ
水晶で埋もれた洞窟を進みながら
移ろひ荒む思い出が、静かに
安らかに
何も哀しみやしない、と唄う
唐突な崖の際で炊く飯の煙 偽りを信じることで積み上げる墓標
吹き上げる風は憂鬱な太陽をも抱擁する 何にもない日が何気なく微笑む
聖な都市が塵を舞い上げながら 見つめ合う鼓動が二つの生き様を重ねる
聳える山脈を削り裂く 在るがままの二つの時代
目覚めたばかりの蒼い雲が流れてゆく
太陽に犯された惑星の吶喊を乗せて たった一粒の涙が儚く傷つける
自由な夢を願いそっと深く眠る
瞬き無くした時間に
蘇るは瞬き
花火の燃え滓(かす)に躓き
せめて生きているものの手を取り
振り返ると帰る道を忘れていた
わずか生きている時間の中で
きっと起源の大海原
誰も憎まずにいたい
問いかけ笑ふ
幾ばくかのオモイの為に
囁きに埋まる
此処に居る根拠(わけ)だから
違う、
否定する事の
掴まれた喉
呑み込めないことのない唾
血の味がした
現在と信じられなくない今
不感です。
だらり
垂れ逝く
首ねっこを除いて
支配されるのは心地良さ
このままでいいや、って
いったい何に縛られていたのだろうか
自分の一歩一瞬きに生命を賭ける
好む好まざるに関わらず
此処には死が居る
邪心ではない真の堕心に絆されく
鼬(いたち)の翼は 蹄鉄を叩く音がする
微睡(まどろ)み恋う 月さえ消えゆきても
物語の中に 影は尚一層濃いものとなり
大樹の葉影で 彩りの無い縁に佇み住む
寄り添い眠る 瞼の開けられない閃光と
偽白(しろ)い満月の 呼吸のできない熱射
真闇(くろ)い太陽の 強烈な臭いを発している
その人は
この翼で羽ばたいて 真黒い太陽の中にいる
手足の触れない狭間で
自由を賭け
望むもの
その血で飛ぶ
剥きだしの土肉(つち)の隙間で蚯蚓が二つに割けている
[No.48-No.59]
A-Pierrot
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