AWC 新しいメッセージは、ありません・3(3)修正版  武闘


        
#713/1336 短編
★タイトル (FWG     )  96/11/30   1:22  (131)
新しいメッセージは、ありません・3(3)修正版  武闘
★内容

四、海ハラ

 最初の罵声はログオンできなかった時に発した。誰かがパスワードを盗用の上、変
更していたのだ。結局、アクセスするのに、仕事用のパスワードを使用するはめにな
った。盗用されたところで、クレジットカードは使用していないのから買い物はでき
ない。心配するのは課金ぐらいである。調べてみても、使用された時間はたいして長
くはない。それにインターネットにも接続してはいないようだ。とりあえず、IDとパ
スワードを失効させておけば、これ以上の問題は起きない。ただ、盗用したものが何
をしていたかは問題である。
 電子メールは不在で凍結してある。使用不可にしてあるから問題なし。
 調べてみて、すぐに分かったのは、盗用したものがアクセスしていたボードだ。
 文筆創作コーナーである。

「畜生!」
 ダウンロードしたばかりのログを読み、海ハラは罵声をあげた。
 オフラインの忘年会から数えて一週間ぶりに文筆創作のコーナーを覗いた。
 その結果が二度目の罵声である。
  最初に目に飛び込んだのは、以下のメッセージだった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
感想>「クロワッサン」     海ハラ
 (ボードでは)初めまして、もなかさん。「クロワッサン」、拝読しました。いき
なりきつい書き方になるかもしれませんが……とにかく、始めます。

 始めに忠告を一つ。
 下手な人の作品は、短めにお願いします。
 下手な作品、つまり読むに値しない作品でありながら「感想を下さい」と言われて
も、読む方は非常に苦痛だとは思いませんか?
 感想を書くなんて拷問ですよね?
 正直に「下手で感想を書きたくなんかない」と言うわけにもいきませんよね?
 これは一般論で「クロワッサン」が下手な作品だと言ってる訳ではありません。
 一般論として忠告してるだけです。
 ちょっとロジックが崩壊してますが、ひどい作品を読んだ後ってこんなもんです。
 ひどい作品が「クロワッサン」を指している訳ではありません。
 ええ……もちろん、某作品です。

 さて、本題に入ります。
 クロワッサン、楽しめました。
 面白いですね。
 ただし難点もあります。
1・勝手に改行するのは止めましょう。
(例)
 君の瞳が光を宿すとき、魔性の女が目を醒ます。マニキュアに彩られた妖しげな
爪が僕の首筋を這い上がり、温い息が腹部を刺激する。耳を軽くかまれ、背筋に
身震いするような刺激が生まれる。
 僕の名前を呼んだね。
 「カイル……」
 僕は君に名前を呼ばれるのが好きだ。

「妖しげな」で改行しないで「妖しげな爪」で改行して下さい。
  一行の文字数がバラバラです。統一して下さい。
 パソコン通信では「30文字」か「35文字」が適切かと思われます。
 ちなみに私は「36文字」で改行してます。
 禁則文字を入れると「37文字」です。
 またセリフで「」で閉じるとき、先頭に一升空けないで下さい。
 常識ですよ。常識! まさか、そんなことも知らない馬鹿ではありませんよね?
(ちょっと言い過ぎかな? 冗談ですので気にしないで下さい)
 刺激という単語も連続して使っています、言い換えするなど工夫しましょう。

2・言葉の間違いが多い。(誤字、脱字、感字など)
 薄皮を剥ぐは、薄紙を剥ぐです。
 ちなみに「寄る歳」は「寄る年波」です。
 文書の超基本を知らないわけではないでしょうに……。
 もなかさんの為、嫌々ながらでも指摘を続けたいと思います。
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 メッセージはさらに続いている。「クロワッサン」にあてた感想だけでファイル数
にして五つあるのだ。1ファイル300行が上限だから1500行近くあるというこ
とだ。それに対して表題の「クロワッサン」は1ファイル、200行に満たないシ
ョートショートだった。
 
「こんなこと、俺は書いてない……」
 海ハラは岬に面したベランダの窓を開けた。潮風が鼻をくすぐり、深呼吸で心を落
ち着ける。
 振り返ればスクリーンセーバーが起動していた。
 WWW でダウンしたスタートレックが飛んでいる。
 エンタープライズ号の機体の背後には、「海ハラ」を偽った刺々しいメッセージが
潜んでいる。
 ログはその後、どう展開したのか?
 生唾を飲み込む音が、自分の胸に響くようだ。
 誰かがパスワードを盗み、俺の名前でメッセージを出していたのだ。
「畜生!」
 海ハラはキーを押し、ログを読み始めた。
「海ハラ」を偽るものは、その矛先をアクティブメンバーに向けた。
 批評とはいえない批判のメッセージが羅列されている。
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感想>太陽にジャンプ  海ハラ
 ガムラさんの「太陽にジャンプ」を拝読しました。
 何とか……何とかね。やっと、読んだというところでしょうか。
 これは作品とは呼べないですね。
 詩とも呼べないですね。
 毒のある文書というより、食中毒を起こすような文書ですね。
 まるでサルモネラ菌。いや、サルモネラ菌も怒るような文書ですね。
 どこがひどいかは一々言いません。
 口が腐るから。
 さっそく削除して下さい。

PS:シグオペのスカリーさん、ガムラさんが自主的に削除しない場合、スペシャル
IDで削除して下さいよ。
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感想の感想>海ハラさんへ  ガムラ
あれは感想なんですかー。ひどいですねー。
そりゃー下手だと思いますよ。
だけど、言い過ぎでは?
私は読んで泣けてきました。
はっきり言います。
事と次第によっては許せません。
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バカダ、もといガムラさんへ  海ハラ
「事」は「読んだ」。
「次第」は「吐き気がする」。
以上です。
削除を要請するに十分な理由でしょう。
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 やりとりは延々と続き、足下には空のビール缶が増えていった。
 海ハラの最後のメッセージを読んで、肩を落とした。
 怒鳴る元気も失せている。

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もう、消えます>海ハラ
馬鹿の相手をするのは疲れました。
ええ、馬鹿というのはオールドマンとか、もなかのことです。
ガムラは馬鹿でなくアホです。馬鹿よりちょっとはましでしょう。
どちらにせよ、聞く耳を持たない人たちですね。

もう二度とボードには出ません。
話もしたくないから……。
私も男です。一度口にしたことは曲げません。
では、サヨウナラ
                         馬鹿ヤロウ!




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