AWC S氏の災難    ポテト


        
#573/1336 短編
★タイトル (ZWN     )  96/ 4/15  18:12  ( 67)
S氏の災難    ポテト
★内容
s氏の災難    

 ある朝s氏はふとんの重さで、目が覚めたのだった。
そしていつもどおりにノソノソとふとんから這い出した
途端に頭上から、恐ろしい声が降ってきたのだった。
「ギャー、だれかゴキブリキラー持ってきてー。早く。」
 その声は日頃聞き慣れた妻の声だった。
(たかが、ゴキブリぐらいで、朝からうるさい奴だな。)
 s氏はなにも気づかずに、台所に歩いていった。
(昨日のただ酒が、まだ残ってるのかなあ。台所が今日
はいやに広く見えるぞ。)
 S氏はただのものが大好きだった。会社の経費で飲め
るタダ酒、もらいたばこ、もらい菓子(会社宛て来た菓
子はS氏の所から先には配られないのだ。自分のものと
してひとりじめにしてしまう。)駅で配っている無料の
ティシュなどなど。
「ただ子、ゴキブリそっちへ行ったからね。新聞で叩い
いておくれ。」
(なんて奴だ、わしに対する嫌味か。座敷ブタみたいに
ブクブク太りやがって。)
「やだー。母さんどいにかしてよ。ゴキブリと父さんは
母さんの担当じゃないの。」
(な、なんて娘だ、父親とゴキブリを一緒にしゃがって。)
 S氏は台所の入り口で驚いて立ち止まった。
(ど、どうしたんだ。こんな大きなテーブルなんぞ買い
おって。またわしの小遣いが減らされるのか。トホホ。)
 そこには見上げるほど大きなテーブルがおいてあった。
 と、いきなり息苦しいガスがS氏のからだを包んだ。
(く、苦しい。ガス漏れか?)
 振り向いたそこには、巨人化した妻が殺虫剤を持って、
にたりと笑いながら立っていたのであった。S氏は総毛
立つほどの恐怖に見舞われて、台所中を逃げまわるので
あった。
(前から化け物と思っていた妻が、本当の化け物になっ
た。どうしたらいいんだ。だれか、たすけてくれー。)
 ヒューと、S氏の頭上を越えて巨大スリッパが飛んで
いった。振り向くとそこには、やはり巨人化した娘がも
う片方のスリッパを持ってにたりとほくそえんでいたの
であった。
 S氏は巨人化した妻と娘のすきをみて、風呂場に逃げ
こんだのであった。しかし、そこもまた巨大化していた
のであった。S氏は口をあんぐり開けて、
(ど、どうゆうことなんだ。わしが寝てる間に一体なに
があったんだ。原爆でも落ちたのか?)
 S氏の脳細胞ではとても理解することは出きなかった。
うつろな目で、ふと目の前の鏡を目にした途端、
 ギャオウー、ギャー
 人間とも動物ともつかぬ声をあげてS氏はその場にひ
っくりかえってしまった。S氏が目にしたものは黒ぐろ
した体のゴキブリの姿だったのだ。

「どこに逃げたのかしら。」
 自分を探しまわる妻の声でS氏は気がついた。恐る恐
る鏡を見ると、そこには一匹のゴキブリが写っていた。
(わしはこれからどうしたらいいんだ。)
 S氏が途方にくれておのが姿をながめていたとき、い
きなり風呂場の戸が開いて巨人娘が入ってきたのであった。
「やだー。なんでこんな所にいるのよ。Hなゴキブリねえ。」
 そう言うが早いか、いきなりシャワーの栓をひねるとS氏
めがけて水をかけはじめた。
(うわー、やめてくれー、わしは泳げないんじゃー。)
 もちろんS氏の声は娘に届くわけもなく、哀れS氏は豪雨
のような水攻めの中、排水溝へと流れ落ちていったのであっ
た。
 その後のS氏の消息はようと知れず、残された家族は嬉々
として、遠い所へ転居したのであった。





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