AWC 大吉 $フィン


        
#553/1336 短編
★タイトル (XVB     )  96/ 2/15  23:16  ( 35)
大吉                                      $フィン
★内容

 「やったぁ、大吉だぁ」とある神社の隅っこで、とある少女が自動販売機の大吉
のおみくじを引き当てた。決して美人とは言えない少女が、まわりに誰もいない神
社の隅っこでにやにや笑っているのは少し無気味なものであるが、大吉を引き当て
ただけに嬉しさを隠すことができずにいた。
 「ふっふっふっふ、おめでとう」自動販売機の中から煙のようにロボットが現わ
れた。
 「ああ、あなたは誰なのです」少女は大事に持っていた大吉みくじをぐちゃとさ
せて驚いた。
 「ふっふっふっふ、わたしはこの自動販売機に棲み着いているものである」ロボ
ットはにこやかに笑った。
 「ええっ、あなたは自動販売機に取り憑いている浮遊霊なのですか」少女はロボ
ットの見えない足を見て言った。
 「失礼なっ、どうせいうのなら、あなたは神様ですか、それとも悪魔ですかと言
って欲しかった」足のないロボットは幾分気を悪くしたようすで少女を見て言った。
 「それはそうとその神様だが、悪魔だかわからないあなたが、どうしてわたしの
前に現われたのです」少女はロボットに聞いた。
 「よくぞ聞いてくれた。あなたはこのおみくじ自動販売機で大吉を引き当てた一
千人目の人なのだよ。その記念として、あなたの希望するものを適えてあげよう」
ロボットは優しく少女に言った。
 「わかったわ。それじゃ、この世は苦しいことがたくさんあるから、わたしを永
遠に幸せにして」少女は幾分頬を上気させながら言った。
 「うむ、わかった。それじゃ」ロボットはブリキの手を空の彼方に向けた。
 「あそこに光がみえるじゃろう。あれが幸せの光じゃ、あの方向に走っていけば
おまえさんも幸せになれるじゃろう」
 「わかったわ。わたし走っていくわ」少女は、微笑みを浮かべたまま光の中にダ
ッシュした。

 そして・・・
 きききっ、どっかん、ぴーぽ、ぴーぽ、ぴーぽ

 一週間後、とある病院の一室で
 「最善を尽くしたのですが、おたくのお嬢さんは、永遠に植物状態患者になりま
した」医者が少女の家族に告げたのであった。





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